コラム10
基礎有機化学60

<σ電子の共役>
 共役といえば、動きやすいπ電子の連続的な連なりによる電子の非局在化のことだが、σ電子の部分的供与による弱い共役というものもある。電子不足のラジカルカチオンに隣接したアルキル基のσ結合から部分的に電子が供与されると、ラジカルやカチオンがいくぶん安定化される。このσ電子の供与を超共役という。

 アルキル基のもつ電子供与性は、有機化合物の構造や反応を理解する上で大変重要だ。ラジカルやカルボカチオンの安定性がアルキル基が置換することによって、一級二級三級の順に増すことはそのひとつである。ついでながら、カルボアニオンの場合は同じ理由で安定性の順序が逆になる。


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