四国山中の愉快乗物たち
2011.10
延び延びになっていた古いネタで申し訳ありません。数年前の秋に出張先の高知市からレンタカーで2泊3日の行程で祖谷渓と馬路村をまわってきました。そのときの四国の山奥にあるバラエティに富んだ鉄道系乗物のおはなしです。
1.祖谷渓温泉ケーブルカー
2.奥祖谷観光周遊モノレール
3.馬路森林鉄道
4.水力インクライン
5.魚梁瀬森林鉄道
1.祖谷渓温泉ケーブルカー
一カ所目は旧西祖谷山村の中心部一宇から車で10分ほど下った祖谷渓温泉。温泉宿が自前でもつ軌道・索道はいくつかあるがここは中でも有名どころです。崖上に立つ温泉本館から祖谷渓の深い谷底にある露天風呂施設へケーブルカー(斜行エレベータ)で行けるようになっています。露天風呂だけの入浴もできるので宿泊しなくてもエレベータに乗ることができます。
乗り場の案内。
諸元。
本館乗り場から下方を見下ろす。
搬器内部の運転台。無人運転、戸閉を確認してボタンを押すだけ。
ケーブルカーのような搬器内部。定員17名。
下りてゆくと谷底駅が見えてくる。
渓谷内の休憩施設。
谷底駅から本館側を見上げる。
谷底駅に下りてくる搬器。
2.奥祖谷観光周遊モノレール
祖谷渓温泉から祖谷渓沿いに小一時間ほど険しい山間の狭隘路を上ったところに位置する旧東祖谷村のいやしの温泉。知る人ぞ知る奥祖谷観光周遊モノレールはそのすぐ横にあります。山間に延びる全長4.6キロの長大路線を2人乗りの小さな搬器が約1時間かけて一周します。途中はすべて何もない山の中。よくもこんな何もない山奥にこんなスケールのモノレールを作ったものですが、乗ってみると不思議と長く感じません。1時間の前方展望動画をお楽しみください(笑)。なお水曜日は運休です。
乗り場。出発待ちしている搬器が見える。ここからスタートして一周回って右側の線路にもどってくる。
乗り込んだところ。
車内の注意書き。
発車してしばらくは戻ってくる線路と複線状になっている。途中に保守用の横取りポイントがある。
ここからループ部となり単線になる。
一周回って駅舎にもどってきた。
前方展望動画(約1時間)
3.馬路森林鉄道
いやしの温泉に一泊した翌日、次の目的地馬路村へ向かいます。直線距離だと35キロしかありませんが険しい山地を横断する道路がないのでいったん南国市までもどって大きく迂回し、太平洋側の安田町から安田川をさかのぼること150キロの遠回りになります。おまけに山中の道路は祖谷渓とどっこいどっこいの狭隘さで運転には要注意です。馬路村にはこちらも馬路温泉という温泉施設があり、そのすぐ近くに馬路森林鉄道の周回線があります。この後に紹介する魚梁瀬森林鉄道とともに馬路村内を縦横に走っていた森林鉄道を復元したものです。もともとの路線を利用したものではないので遊園地鉄道のようなものではありますが、それなりに雰囲気を感じられます。こちらも車窓展望動画がありますが一周300 mなのであっという間です。なお、この馬路森林鉄道・インクライン・魚梁瀬森林鉄道は基本日曜日のみの営業ですのでご注意を。
駅舎と出発待ちしているSL風のDL。
駅入り口。
魚梁瀬森林鉄道の年表。
観光用にそれらしく作られた機関車。
それなりに雰囲気の感じられる線路。
車窓展望動画(約5分)
4.水力インクライン
森林鉄道のすぐ横に水力インクラインがあります。実際に急傾斜地の木材搬出に用いられていたケーブルカー式のインクラインを水力式で観光用にモデル化したもので、搬器の水タンクに上部で給水下部で排水することにより、水の重量で搬器を下ろす仕組みです。
水力インクライン全景。
説明パネル。
崖にへばりついた山麓駅乗り場と出発待ちしている搬器。
搬器。左下の塩ビパイプに車体から水が排出されているのが見える。
下を向いている運転台。
車内から急傾斜の上方を見る。
山上駅到着寸前。停止ダンパの先に巻き上げ滑車と給水用塩ビパイプ。
車体上部の給水口に給水しているところ。
山上駅の貯水タンク。
山上駅からの眺め。左下の緑屋根の四角い建物が村営馬路温泉。
5.魚梁瀬森林鉄道
馬路村中心部から羊腸の山道を30分ほどたどり、魚梁瀬ダム湖を渡った先にあるのが魚梁瀬集落。そこに本来の魚梁瀬森林鉄道が保存されています。こちらも400 mほどの周回乗車路線があり、併設されている保存機関車の車庫を見ることができます。まるで遊園地のような馬路村の方よりは実物の色彩が色濃く残されているのが好印象です。
魚梁瀬森林鉄道周回路線を走る谷村式コピーDLと復元木造客車。
乗り場の案内。
木造客車に乗って発車を待つ。
車窓風景。
周回線に併設されている森林鉄道館。
入口から中を望む。
動態保存されている野村組工作所製DL。
同じく保存機関車2両。