第8期 2017年10月21日(土)~26日(木)
高瀬駅~第71番弥谷寺~第88番大窪寺~第1番霊山寺 156.8 km (累計 1208.6 km)
0.出発まで
1.2017年10月19日(木)札幌=神戸=高知
2.2017年10月20日(金)高知=高松
3.2017年10月21日(土)高松=高瀬駅~71番弥谷寺~78番郷照寺~宇多津
4.2017年10月22日(日)宇多津~79番天皇寺~80番国分寺~高松一宮
5.2017年10月23日(月)高松一宮~83番一宮寺~86番志度寺~志度駅=高松
6.2017年10月24日(火)高松=志度駅~87番長尾寺~88番大窪寺~白鳥温泉
7.2017年10月25日(水)白鳥温泉~1番霊山寺~板東駅=徳島
8.2017年10月26日(木)徳島=高松=神戸=札幌
0.出発まで
4年がかりの区切り打ちも今回がいよいよ最終回となった。前回は高瀬駅で終わっているのでそこから香川県内の札所をめぐって88番で結願、さらに足を延ばして1番にもどって満願という行程。香川は狭いので距離はそれほどないが札所が多く、最後の1番へは長丁場でもあり意外と時間がかかる。例によって秋は3日しばりがあるので高松を拠点として戻ってくるプランを考える。最終日の夕方に1番にお参りして高松へもどるとすると、朝88番門前の宿を出たのでは厳しく、前日にもう少し進んでおきたい。となるとこの間の宿は白鳥温泉しかなく温泉でもあることなのでまずここが決定。そこから順次逆算していって、金曜夜に高松入りしておいて翌朝高瀬へ行き、土曜は宇多津、日曜に高松一宮、月曜に志度と泊まる行程になった。いずれも高松から近いので高松の宿に連泊するベースキャンプ方式も考えたが、時間の無駄だし芸がないということで、土曜朝に高松駅に荷物を預けて月曜夜に志度からもどって荷物をいったん回収して高松泊まり、翌火曜朝に預け直せば再回収は木曜でよいので、その日は88番を打った後で白鳥温泉に泊まり、水曜に1番まで歩いた後に戻ってこなくても徳島に泊まって翌朝高松へ戻ればよく楽だ。ということで木曜日に高知入りして翌週木曜に帰札という秋にしては最長の8日間という日程になった。
日程が決まったので宿の確保にかかる。高松の宿はたくさんありそうだが繁華街の瓦町近辺が多くて高松駅近くは意外と少ない。初日は夜着いて朝早いのでしょぼそうだけど駅に近いステーションホテル、翌日は宇多津駅前のアネシス瀬戸大橋一択、一日とんで月曜は高松へもどって片原町近くのホテルワカバ、火曜は白鳥温泉の一軒宿、水曜は徳島の定宿サンルートと、ここまではすべて楽天で予約可なので簡単だ。日曜の一宮は一宮寺近くにきららという温泉施設があって宿泊可というのに目をつけていたが、ここだけは直接予約しかできないので一か月前くらいに電話してとった。日程には余裕があり、険しい山もないので天気に恵まれれば気持ちのよい歩きができそうだ。天気さえ良ければ..。
1.2017年10月19日(木) 札幌=神戸=高知
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
千歳,850,ADO118,1045,神戸
神戸空港,1107,ポートライナー,1125,三宮
三宮ターミナル,1214,高知EXP,1624,高知駅
札幌=神戸=高知駅
朝6時起き。6:50出発、7:55空港着。高速は込んでいたけど駐車場は空いている。カウンターも空いている。チェックインと荷物預け、きわめて普通。少し待って8:30過ぎから搭乗。ほぼ満席。定時発だが向かい風で遅れて10:50着。荷物を受け取ってちょうど11:07のポートライナーに間に合った。神戸は小雨。バスターミナルはこれまでで一番空いている。駅のセブンでパンを買っておく。しかし肝心のバスが待てども待てども来ない。大阪から来るバスはみんな遅れているようだ。結局約30分遅れで12:43発となった。高速湾岸線のリフレッシュ工事のためとのことだった。三宮から乗ったのは5人くらい。隣の1B席に客がいたのにびっくり。近くて気になるのでカーテンで仕切る。見晴らしが悪いけど仕方ない。運ちゃんは愛想悪い。4年前に最初に乗ったときはずいぶん丁寧で驚いたが、最近は無愛想で案内も簡素なことが多い。舞子から1人乗車。室津13:27-13:40、吉野川15:08-15:20と休憩。発車時に人数確認なし。なんだか理由を言ってたが聞き取れなかった。高知インター南で5人下車。高知駅には16:40着、ほぼ雨は上がっている。すぐに駅前の高知ホテルにチェックイン。なかなか立派なホテルだ。ダブルだったのがツインに変更でラッキー。すぐに外へ。司は予約客のみで満員とのこと。仕方ないので近くの土佐市場でかつお定食とする。ビール2杯。まあまあだ。ローソンに寄ってホテルへもどる。
2.2017年10月20日(金) 高知=高松
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
高知駅,1740,黒潮EXP,1950,高松駅
高知駅=高松駅
昨年に続いて学芸高校の仕事を終えたその足で移動する。高知駅発高松行きのバスは17:40と19:00があり、後者だと余裕だが待ち時間が長いうえに高松着が遅くなって翌朝早いことを考えるとちょっときつい。さりとて交流会が17:00に終わってすぐに駅まで駆けつけての17:40はさすがにリスキーだ。ということで少し早めに退出させてもらうことにした。もともとぼくのところはお客さんが少なく17時近くになるとヒマになるので問題はなかろう。予想通り16:45にお客さんもはけたので案内されて出る。外は雨が降りだしている。金曜夕方で雨ということでいくらか渋滞したがタクシーは30分で高知駅へ。駅内のセブンイレブンで夕食を確保して、一時預けの荷物を引き取って、バスターミナルへ。ここからの高速バスはなぜかいつも一番遠い乗り場なので、傘を差したいくらい降っている。乗り込んだバスは定時に発車。金曜夜のせいか結構乗っていて、最終的に20人くらいになったろうか。ただ昨年の松山行きほどではなく、隣がいないので楽だ。高知市内の渋滞で19分遅延。その後は快調に走ったが、結局そのままの遅れで高松駅に到着。こちらは雨は降っていない。ステーションホテルは駅前の裏側でもう高松築港駅の前だった。古くて狭いがまあ一晩だし問題ない。買っておいた夕食をそそくさと食べて寝る。しかし台風で天気予報が悪化の一途。どうなるんだろう。
3.2017年10月21日(土) 高松=高瀬駅~71番弥谷寺~78番郷照寺~宇多津駅
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
高松,517,1041M,553,高瀬
高瀬駅,603,,707,71番弥谷寺(5.8 km, 1:04),0:44
71番,751,,832,72番曼荼羅寺(3.4 km, 0:41),0:28
72番,850,,900,73番出釈迦寺(0.5 km, 0:10),0:25
73番,925,,956,74番甲山寺(2.6 km, 0:31),0:30
74番,1026,,1044,75番善通寺(1.4 km, 0:18),0:36
75番,1120,,1201,76番金倉寺(3.5 km, 0:41),0:28
76番,1229,,1320,77番道隆寺(4.0 km, 0:51),0:32
77番,1352,,1520,78番郷照寺(7.2 km, 1:28),0:26
78番,1546,,1601,宇多津(1.2 km, 0:15)
高松=高瀬
6時ちょうど発の特急に乗るつもりで5時にアラームをかけて寝たが、4時には起きてしまう。天気が下り坂なのでできるだけ早出が吉ということで、1本早い5:17の始発に乗ることにする。仕度して朝食にチョコパンを2個。トイレはなし。フロントのキーボックスに鍵を入れてまだ明けやらぬ外へ出る。幸いまだ雨は降ってない。改札手前の待合個所の右にコインロッカーがあり、荷物を預ける。高瀬までの切符を買って入場。すでに入線しているいしづち101号は5連ガラガラ。アンパンマン列車だった。朝暗いうちからアンパンマンの元気な声のアナウンスが場違い。高瀬まで車内検札はなし。高瀬で下りたのはぼくだけ。車掌があわてて集札にくる。
高瀬駅~71番弥谷寺
4か月ぶりの高瀬駅。工事中だった駅内飲食店が開業していた。もっともまだ開いていないが。外はやっとうっすらと明るくなってきた。ほんの少し雨が降り始める。とりあえず笠だけで歩き始める。寒くはないが暖かくもない。駅前を左手に進む。人が全然いない。どんどん歩く。途中で少しずつ雨が強くなってくる。どこで雨具を着るかが見極めにくいが、この先天気が好転することはないし、ちょっと肌寒くなってきたので防寒着がわりにポンチョを着てしまうことにする。適当な場所がなく、かも田という仕出し屋のシャッターの前の軒先を借りる。着てしまえばいくら降っても平気だし暖かくて快適だ。家並みを抜けて田舎道をたどり、少し上りになって左手にふれあいパークみのの駐車場をみて山に突き当たったところが71番の入口だった。
暗い高瀬駅前を歩き出す
弥谷寺入り口に到着
このころにはザーザー降りになってもう諦めの境地。正面の山肌に堂宇がへばりついている。雨天でただでさえ暗いところへ鬱蒼とした木に覆われて薄暗い階段を上る。途中に有名な俳句茶屋があったがまだ閉まっている。その先の駐車場の先に山門があり、写真を撮っているときに車から下りてきた軽装のおやじが傘差して来たのでお先にどうぞと通ってもらう。どんどん上って行った一番上が本堂で眺望がよいが雨に煙っている。傘おやじはどこへ行ったのか、他に誰もいない。お参りして階段を少しもどった段に大師堂がある。岩にはまり込んだような場所だが立派な造りで、靴を脱いで建物内に上がる。すぐ左手に納経所があって人が詰めている。ストーブを焚いていて暖かい。その前を一旦過ぎて右手にまわりこんだところがお大師様で、そこで灯明線香も上げられる。屋内の読経も変なものだ。横から別棟の観音堂みたいなのを一回りして納経所へ。3人も人がいて、そのうちの1人がさっきの傘おやじだった。どうりで上に誰もいないわけだ。
薄暗い弥谷寺山門
観音像
山上からの遠望
本堂
大師像
大師堂
靴を履いて雨の中へ出る。帰りは俳句茶屋が開いていて電気が点いていたが、この天気では商売あがったりだろうな。降り口で大荷物背負った歩きのじいさんが先行している。おはようございますと挨拶したが、じろりと睨んで無言のまま行ってしまった。
71番弥谷寺~72番曼荼羅寺
72番へは階段を下り切ったところから左手の山道をたどる。雨でぬかるんで歩きにくい。おまけにすべるし。こんなのは序の口以下だと後で思い知るのだが。すぐに山を抜けて里道になる。高速道路の下をくぐって11号線を右折して72, 73, 74番の結節点に出る。まず左手の72番へ。通り過ぎて左手に回り込んだところが山門で、うろうろしていた歩きの若者に74番はどっちですかと聞かれる。分岐点に大きく表示看板が出ているのだがへんろ地図では2通り道が書いてあるので迷ったのかな。雨の中を車の客が来はじめる。今日は土曜日だ。境内にはいると先行する歩きじいさんがいた。懲りずに声かけたらまたシカトされた。耳が遠いのか。
雨中のお参りは難しい。笠からしずくが垂れないように顔は上向き加減にして、かつしずくが垂れても濡れないように手を遠く伸ばして灯明台の中でロウソクを着け、線香を取りだすときどうしても濡れた手でさわってしまうので、乾いている反対の端にロウソクの火を移す。納め札も濡れるし、お経を読む経本もびしょ濡れ。以上を荷物背負ったままこなして、納経所の軒先で笠とってポンチョ脱いで荷物下して、ザックから納経帳を取りだして納経。また仕舞って荷物を背負ってポンチョ着て笠かぶって出発、という段取り。屋根付きの休憩所でもなければ腰を降ろして休むことすらできないし、その割にいろいろ手間取るので時間がかかる。いいことがない。納経所はボタン押すと愛想いいじいさんが出てきた。
72番曼荼羅寺~73番出釈迦寺
元の結節点にもどって右手の山の方へ少し上ったところがすぐ73番。この札所間は68, 69番は別として一番近い。途中で雨なのにお祭りなのか若衆がそろいのハッピきて太鼓の音もする。子供たちも着飾っている。あいにくの天気で気の毒だ。
ここの納経所のじじいは態度悪い。奥でスマホ見ながらふんぞり返っている。そそくさと記帳した後すぐに同じ姿勢にもどる。
73番出釈迦寺~74番甲山寺
元の辻まで下りて地図の道を標識に従って74番へ。地図が濡れて見にくいしコピー紙質が悪いので水に弱くすぐにこすれて見えにくくなる。今日はまだ先が長く見えなくなると困るのでできるだけ濡らさないように気をつかう。雨が激しくなってきた。後で観測値をみたらこれで時間6~7ミリというところだ。川沿いの74番はわりと広々としている。納経所の無愛想なおやじは気配を消していていないのかと思ってすみませんと声かけたらすぐ横にいてびっくり。寒くなってきたので軒下のイスで白衣を出して着る。これも防寒着だ。ついでにチョコパン2個で早めの昼食とする。
74番甲山寺~75番善通寺
対岸に渡るとすぐに善通寺の町中にはいり75番へ。境内を通り抜ける路地で横からはいると参詣路に交わって右手に立派な門がある。山門のようだがすでに境内なのでそうではなかろう。はいった先の正面は立派な御影堂で、これはつまり大師堂だ。さすがに人出でにぎわっている。本堂に先にお参りしなければならないので取って返して先ほどの交点を逆方向へ。右奥の木の陰に五重塔があり、左側が金堂という名の本堂だった。さすが大寺で名前がわかりにくい。こっちも人が多い。本堂前でお参り。ここの香炉には線香は寝せてくださいと注意書きがあり、中心から放射状にずらりと寝せてある。真言宗は3本立てるものだと思っていたが、なんでここだけ寝せるのだろうか。お参りの後で本尊を見に中へはいろうとすると、内部が濡れるので雨具は脱いではいってくださいとのこと。面倒だが笠、ポンチョ、ザックの順に脱いで脇へ置く。お手数おかけしてすみませんといわれたのが救い。再び大師堂へもどってお参り。こちら側に納経所もある。人出が多いせいかここは女性2名体制でまあふつう。
75番善通寺~76番金倉寺
また本堂の方へもどってその先の簡素な赤門から市内へ出る。やはり御影堂入口にあった立派なやつが山門なのだろう。正面から続く広い車道はオーバーパスでJRを越えるが、へんろ案内表示通りに手前から左手の細道へそれて簡素なアンダーパスで線路をくぐる。高速のインターの下を抜けて道なりにゆくと76番の山門へ突き当たる。境内はゆったりと開けていて天気なら気持ちよさそう。駅名は金蔵寺だが寺はなぜか金倉寺。金の倉らしく小判がたくさん吊るしてある。じいさんが丁寧に納経。合い紙を白いやつに変えてくれる。
76番金倉寺~77番道隆寺
雨は少し小降りになってきたか。また表示に従って細道を多度津まで北上する。77番の手前で、横手の家から、すみませんおへんろさーん、と声がかかる。待っているとおばちゃんが出てきて、手作りの小さな焼き物のお地蔵さん人形をくれた。息子だか誰だかが作っていると言っていた。雨の中なのにわざわざありがたいことだ。77番は目の寺ということでにぎわっている。数え年の数だけめの字を書く紙を売っている。納経所の先客が普通のと別に薄い納経帳も出している。何種類か朱印の種類があるようだ。ここもじいさんがゆったりと筆を運ぶ。
77番道隆寺~78番郷照寺
ここから78番までがちょっと遠く、ほぼ11号線に沿って宇多津の先まで行く。雨の日は車の多い街道歩きが不快だ。ペースがだんだん落ちて朝予定より40分早い特急で出たのに余裕時分が20分くらいになった。丸亀市内を抜けて一旦宇多津駅入口を過ぎて、右手に少しはいったところが78番。大師堂の横に万体観音堂というのがあってはいってぐるりと一周する。3万体だかの小観音像に圧倒。朝72番門前で74番への道をきかれた歩き青年が出るところだった。そういえばシカトじじいはあの後見なかったがどこいったか。
78番郷照寺~宇多津
少し打ち戻って宇多津駅へ。駅前にあるはずのホテルが見つからず地図でさがしてしまった。前を通り過ぎていたのに入口がそれっぽくないので見逃したのだった。2階のフロントへ。古新聞ありますかときいたら今朝のしかありませんけどどうぞと。共用の新聞綴じのやつかと思ったら、宿泊客用に積んであるのだった。話が通じにくい。一部もらってゆく。冷蔵庫のドリンクもサービスでコーヒーをもらう。部屋は訳あり安部屋だが窓の眺望がないほかは普通で問題なし。すぐに出て駅内のセブンで食料の買い出し。
宇多津駅前のホテル
お接待に頂いたお地蔵さん
4.2017年10月22日(日) 宇多津駅~79番天皇寺~80番国分寺~高松一宮
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
宇多津,556,,732,79番天皇寺(7.5 km, 1:24),0:34
79番,806,,937,81番白峰寺(7.6 km, 1:31),0:26
81番,1003,,1127,82番根香寺(4.9 km, 1:00),0:28
82番,1155,,1329,80番国分寺(7.0 km, 1:23),0:27
80番,1356,,1549,高松一宮(8.9 km, 1:45)
宇多津~79番天皇寺
前夜20時頃から途中何度か目が覚めたもののよく寝て4:20に起床。お遍路中はなぜか寝つかれないことが多く、こんなに寝たのは記憶にない。廊下の客が遅くまでうるさかった記憶があるのに。三度新聞紙を入れ替えた靴はほぼ乾いている。靴下はまた汚れそうなので昨日のを履く。外は本降りの雨でさすがにめげる。好天ならホテルの無料朝食を食べてのんびり出るつもりだったが、台風が今夜通過の予報でもあり、予定より2時間繰り上げ出発とする。昨日買ったパンで朝食。トイレは出がけに普通に出る。フロントには人がいた。台風だとお寺が閉まることもありますよと不吉なことを言う。
5:55出発。外は天気が悪いせいもあってまだ暗い。この雨の中、屋根の外へ一歩踏み出すのは勇気がいるが、えいっと歩き出してしまえばどうってことはない。昨日と同じだ。夜じゅう降っていたとみえ、歩道を覆って水が流れていてもはや靴が濡れそうだ。往還へ出て左折し、途中から右手の公園を越えて細道を直進し坂出市街へ。道はそのまま本町アーケードにつながっていて、前回歩いた新居浜喜光地商店街を思い出す。屋根はほんとにありがたいとつくづく思う。便意がやってきたので駅前通りを右折して坂出駅へ寄りトイレを借りる。
元の道にもどって前進。町はずれから右手の細道へ折れJRの踏切を渡る。このあたりは四国随一の繁忙線区なので頻繁に列車が来る。折しもやってきた高松6:00発のいしづちが丸いフォルムの8000系だった。これにはまだ乗ったことがない。そうと知ってたら昨日こっちに乗るんだったかな。左手遠くにこれから登る五色台の山が見えてくる。八十場の水を過ぎて立派な神社へ着いた。
五色台遠望
横から入って社殿前から鳥居の方へ進むとそのまま同じ敷地の先が寺になっている。広い神社とはうってかわって右手にせせこましく本堂と大師堂がある。扉が閉てられている。神社には熱心なお参りのグループがいたがこちらは誰もいない。そそくさとお参りをすませる。さて納経所はどこだろう。反対側のその方向は金属の扉が閉まっていて施錠されている。神社の方に回ってみたがそちらもはいれない。ここもいろいろと問題の多い寺なので雨を幸い閉めているのだな。もちろん飛ばすわけにはいかないので、本堂前から電話してみるとすぐに出て今行きますとおやじの返事。本堂で待っていると、赤カッパの歩きおやじがやってきて、78番は7時前に入口が閉まっていた。開かれた寺がそれじゃいかんでしょという。だいたい境内は夜でも開いているからな。それいえばここも7時までシャッターが閉まっている寺として有名だ。電話のおやじが出てきて金属の扉を開けてくれた。その先の納経所に行ったら外人さんが軸を乾かしている。あれれどっからはいったんだ。とみると先の鳥居側はそもそも仕切りがなくそっちからまわって来ればよかったのだ。なんだよそれならそうと案内表示でも出してよね。順打ちだとこちらは出口側になるので気づかなかった。おやじが納経してくれるのかとしばらく待ってたが一向にもどってこない。外人さんは行ってしまった。仕方ないので窓口を開けて声をかけるとおばさんがでてきた。無駄に待って損した。納経はふつう。しかし時間をロスしたぞ。
79番天皇寺~81番白峰寺
鳥居をくぐって先へ進む。まっすぐ行って分岐点に出る。直進方向80番、左折方向81番の表示がある。先を行く外人さんは直進して行った。ぼくは左折して踏切を渡り81番方向へ。前方に赤カッパおやじが見えてきた。この人納経所に来なかったし杖も笠もなくてストック2本突いて歩いている。お遍路じゃないのかな。しばらく後ろを行くうちに雨の中を軽装でジョギング中?の地元のおやじに道を聞いているところに追いついた。少し並んで歩く。なんでこちらからまわるのですかと聞かれたが、多少短いんじゃないですかとか、まあ大した理由ではないのだが。掛け連れはペースが乱れるので嫌いだ。おやじが角のファミマに寄っているうちに先へ行く。道は五色台の山に突き当り、右折してドライブウェイとなる。雨の朝だしそもそも人が歩くような道ではないが、下りてくる地元のおばさんがいて、上って行った突き当りから階段を上ると近いですよと教えてくれる。たぶん地図の道だ。車道を上ってゆくと正面の切り立った岩壁に見事な滝が見えてくる。かなりの落差を垂直にごうごうと流れ落ちている。雨続きなので水量が多いのだろうなどとこのときはのんきに考えていた。車道がヘアピンカーブする先端が歩き道の入口。最初はゆるやかな登りだが折り返して石段になる。これが延々と長い長い。途中途中に踊り場をはさむもののほぼずっと続く。しんどい。白衣を着ているので暑くなる。何しろさっきの滝の上まで上るのだ。何百段かを上り終えるともう寺はすぐだ。じきに山門に出る。鉤の手に曲がった先が階段となり、途中に干支ごとのお堂が並んでいる。どこが本堂やら大師堂やらきちんと書いてないのでわかりにくい。上りきった正面が本堂らしくその右手が大師堂らしい。お参り客が数人。階段を下りて納経所へ。愛想ないじいさんが運筆。出るとちょうど赤カッパおやじが階段を上っていくところが見えた。
五色台の崖に懸かる滝
山上の大師像
白峰寺山門
本堂
大師堂
81番白峰寺~82番根香寺
山門を出て左手の根香寺道へ。車ははいれませんと鎖がしてある。横手から流れてきた水が路面をビシャビシャ流れている。靴をぬらさないように越す。すぐに石道になって水たまりとぬかるみ、やがて道いっぱいに水が流れていて川の中を歩いている状態に。靴をぬらさないといってもよけようがない。沢登りかまったく。そのうちバシャンと足を突っ込んで水浸しになったらあとはもう気にならなくなった。というか濡れないで歩くのは不可能だ。流水が道を横切っているところが何カ所かあってもう渡渉状態。鬱蒼とした森の中で暗いし、道自体はしっかりしているものの周りに人気はないし、遭難するんじゃないかと不安になる。自衛隊の柵の先に右手に車道に出られる分岐があって、後から考えるとここから車道へ出て歩けばよかった。距離は少し長いけれどとても四国のみちは歩ける状態じゃない。脇を流れる沢はものすごい水量で轟々いってる。すべって落ちたら一巻の終わりだ。やっとのことで国分寺分岐の十九丁に到達。霧が出てきて見通しが悪い。そこからさらに歩いてなんとか車道に出た。やれやれ。しばらく車道を歩き分岐点にあるみち草という店を過ぎて右手に歩き道入口がある。車道とほぼ並行している道を行くと三差路に出た。そこからまたじゃぶじゃぶの下り歩き道を下る。驚いたことに上ってくるおやじ遍路と遭遇。この間初めて人に会った。こんな日こんな道でも歩いている人がいる。向こうもそう思ったかも。そこを下り切ったところが82番だった。
根香寺道への入口
川のような山道
山門をはいると石段を一旦下りてまた上って正面が回廊つきの本堂。ぐるりと一回り。もどって大師堂。横の納経所は若い坊主。大師堂前の屋根つき休憩所のベンチでやれやれと最後のチョコパンを食べてたら赤カッパおやじがきた。いやあ大変でしたね。80番から上ってきた外人さんに会ったそうだ。80番への道は下りられますかねときいたら、上れたんだから下りられるでしょうと。楽観的だなこの人。それもそうか。ここまでずぶ濡れで歩いているときはもう土道は危険だしこのまま車道を下ってしまって大回りして80番へ戻ろうと考えていた。それがそういわれて気が変わった。車道下りたらえらい遠回りだし、なんとかなるかと当初予定通りに行くことに。ただし十九丁まで山道をもどるのはさすがにやめて車道を行くことにした。
82番根香寺~80番国分寺
三差路までは歩道を上りそこからはくねくねと車道をたどる。来た時の歩き道より若干長いが格段に歩きやすい。十九丁からの歩道との交差点を見落とさないように注意して歩く。車はほとんどこない。やがて標識のある分岐に出る。ここから左の山道を下る。かなり急なジグザグだがそれほど歩きにくくはない。川の中という感じではなくこれなら根香寺道よりましだ。なんとか下りきって墓地の横から下界に出た。こっちにして正解だった。赤カッパおやじはお大師様だったのではと感謝する。しばらく直進して街道へ突き当たる手前の細道を右折。逆打ちになるので表示を見落とさないように注意が必要だ。曲がり角で振り向いて順方向の表示を確認する。やがて80番の山門前に出た。ここは大規模な寺だ。国分寺は四つ目だがどこも立派。正面に本堂。おやじが香炉に板をかぶせようとしている。雨が吹き込んで灰が濡れないようにとのこと。いよいよ台風対策か。すきをみてお参り。右手の大師堂は建物の中で、はいると土間になっていて回りがぐるりと物販売り場で左手に大師さま。中でお参り。歩きらしい女性が無言のお参りしていて、横で声出すのがはばかられる。納経もこの中。まことに愛想のないおばちゃん。
80番国分寺~高松一宮
あとはJRを渡って地図通りに一宮へ。雨はますます強くなり、歩道はあるけど往還をたくさん通る車にしぶきをはねかけられる。町を外れて低い峠を越えて平野にでて都市郊外ふうの景色になる。高速のインターを過ぎやがて一宮寺の分岐。もうこの雨ではお参りは不可能で、明日朝にすることにして直進。道路沿い左手に温泉施設きららの看板が見えたときはうれしかった。日曜のせいかこんな雨でも駐車場は車がいっぱいだ。
入口をはいって雨具を解き靴を脱いでびしょ濡れ泥だらけの靴下に恐縮しながら受付カウンターへ。宿泊ですというと宿泊券を買えという。なんと入浴券といっしょに券売機で宿泊券を売っている。千円札数枚を投入して簡素な軟券を買ってもどると、新聞いりますかと向こうから尋ねてくれたのにはびっくり。雨の遍路を扱いなれているのか。それはともかくこの受付の女の子ニコニコ愛想よくて気持ちいい。キーをもらって案内しますといわれ別の女性が出てくる、またクツはいてゴソゴソとポンチョ着て外へ出る。右手先にみえる4階建てアパート風がそれだという。わかりますからとそこから一人で行く。反対側の玄関をはいって一階廊下左端の104室。はいるとワンルームアパートそのもので流しもバスもついている。やれやれ着いた。とるものもとりあえず風呂へ行く。まさかまたポンチョ着て行くわけにいかず折り畳み傘を取りだして差す。さっき受付終わって出るときに傘お貸ししましょうかといわれたが借りておけばよかった。カウンターでタオルありますかと聞かれ、ありゃ部屋のを持って来るのだったかと思ったら、無料で貸してくれた。宿泊客はサービスなのだろう。浴室はそんなに広くはないがとにかく手足を伸ばせて快適。極楽だ。風呂を上がってその足でロビー横のレストランへ。まだ夕食には早いので客は誰もいない。讃岐和膳というざるうどんと天ぷらと寿司のセットを選ぶ。味はまずまずだが、ただうどんのつけ汁が薄い。
食べてフロントにタオルを返し部屋にもどる。あとは片づけやらメモ書きなど。洗面台はあるがセッケンのたぐいがバスにもないのが誤算。これでは顔も洗えない。明朝は顔洗いにまた大浴場かな。そうこうするうちにスマホにピロピロと緊急エリアメールがはいってびっくり。大雨による避難準備情報だった。さすがは台風。結局強まったり弱まったりしながらも雨は終日降っていたが多い時でも一時間10ミリは越えてなかったようだ。それでも一日降水量が100ミリを越えていてびっくり。平均5ミリでも120ミリの計算だもんな。歩いているときは風がほとんどなかったのは幸いだったが山から下界に降りてからは白衣にポンチョでも肌寒かった。しかししんどい日だった。よくも無事に81,82番を打てたものだ。今夜中に台風は通過して明日は天気が回復するようだから、なんとか予定通り打ち終われそう。
5.2017年10月23日(月) 高松一宮~83番一宮寺~86番志度寺~志度駅=高松
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
高松一宮,805,,811,83番一宮寺(0.6 km, 0:06),0:24
83番,835,,1129,84番屋島寺(13.8 km, 2:54),0:20
84番,1149,,1311,85番八栗寺(5.5 km, 1:22),0:29
85番,1340,,1501,86番志度寺(6.6 km, 1:21),0:20
86番,1521,,1530,志度駅(0.8 km, 0:09)
志度,1537,4344D,1604,高松
高松一宮~83番一宮寺
朝6時に起きる。昨晩はやはり寝つきが悪かった。しかも外の話し声が気になる。玄関横に喫煙所があったのでそこで話しているらしい。台風一過、少し風があるが雨は上がって日が差している。大浴場へ行くのも面倒なので顔は洗顔シートで拭いてすます。7時5分前に本館へ行ってレストランへ。誰もいない。愛想悪い女の子が朝食券を買えという。また券売機かいな。もどって洋朝食券を買って戻る。でてきた洋食はまあまあ。その後地元ふうの客がきたが宿泊客らしき人は見かけなかった。ロビーでは朝から碁を打っている年寄り。月曜の朝なんだが。
朝食
アパートにもどって荷造りする。靴はほぼ乾いた。靴下は泥だらけのうえにまだ濡れているので廃棄することにした。少し寒いかなと思ったがTシャツだけで出る。出がけにトイレへ。本館へいくと靴を脱ぐまえにカウンターから女性が鍵を受け取りに来てくれた。レストランはともかくカウンターの人は昨日といいサービスいい。8:05に出発。一宮寺は昨日歩いてきた街道を渡ってすぐだ。反対側の駐車場側からはいってしまう。誰もいないと思いきや歩き青年がお参り中。他に人はいない。天気だとお参りが格段に楽だ。全然違う。昨日無理してこなくて正解だった。納経はふつうのおやじ。帰りはきちんと山門から出る。
83番一宮寺~84番屋島寺
出て高松市内を地図通りに北上する。前方にさっきの青年がみえる。ほどなく便意がきたので、セブンイレブンでトイレを借りて缶コーヒーを買う。地図の道は車が多いのに歩道がなくて歩きにくいので一本東に並行する大通りを歩くことにする。こっちの方が歩道が広くて歩きやすい。高速道を歩道橋で越えるとそのまま11号線になり、高知から乗ってきたバスで通った道だ。大きなゆめタウンがある。「ゆめ」は「夢」じゃなく「You Me」なのだった。北向き車線から駐車場への入り口が国道をまたぐ立体路になっているのがすごい。その先の小川を渡ったところから右折して川沿いの細道を歩く。途中で女性がミニバイクを押しながら話しかけてくる。歩きですか、何回目ですか、8回目です、すごいですね。いやたぶん誤解されている。札幌は今年よさこいに行ったとか。一旦先へ行くとまた追いついてきてWeddingイベントなんとかいうチラシをくれる。なんだそっち系勧誘かいな。別れてその先で11号線を右折。左側歩道に地図?見ている歩き青年2人がいる。右歩道をずんずん追い越す。
屋島が近づいて潟元から左折して住宅地の上り道になる。車道なのだがどんどん急になる。きつい。車道から山登りの歩道になっても急坂で息切れがする。町中では風が吹くとちょっと寒いが日が出るとTシャツでちょうどいいくらいだったが、山登りはさすがに汗をかく。広い道は舗装されていて歩きやすく、降りてくる人とどんどんすれ違う。散歩がてら上る人も多いのだろう。みんな挨拶してくれる。その中の犬を連れたじいさん、ドライブウェーが台風の影響で通行止めで本堂も納経所も閉まっている、山門前の本坊へ行けば納経してくれるらしいよ、とのこと。え、それは一大事。その後会った夫婦連れも同じことを教えてくれた。車が通れなくて寺の人が来られないのかと最初は思ったけど、そうじゃなくて車の客が来ないので開けてないのだと気がついた。歩き遍路は勘定に入ってないらしい。どうも香川の寺は感心しないな。途中で降りてくる女性が飴のお接待。地元の人は親切なのに。
やっと山門に着く。立派な門が二つあり二つ目手前の左の方で茶店が店を開けている。本坊とはあっちのほうかな。境内へはいって正面の本堂は戸が閉てられている。お参りはできるので支障ない。右手に大師堂があり、こちらも同じ。お参りしていると、坊さんらしいじいさんが横の納経所らしき戸を開けている。近づいていくと、先に来ていた夫婦連れが納経されますかと声をかけてくれる。この人らが呼んだのかな。ということで折よくじいさんに納経してもらえた。しかし墨がかすれて下手くそな筆だ。境内は広々としているが車の客が来ないので人気がない。横のベンチで宇多津で買ってあったセブンイレブンのマーガリンパンを一個とさっき買った缶コーヒーで昼食とする。
84番屋島寺~85番八栗寺
反対側の派手な赤門から出て左に血の池をみながら崖端まで車道を歩く。前方の眺望がすばらしい。正面にこれからのぼる八栗の山がみえる。角がホテル跡の廃墟で、そのすぐ先の左側に歩きの下り口がある。崖を下りるのでいきなり足場の悪い急坂の下りだ。しかも台風の雨の後なのですべるし慎重に下る。すぐに先ほどの夫婦連れが難儀しているのに追いつく。大変そうだ。どんな方法で周ってもご利益は変わらないというが、あんなに難儀して歩いて同じということはなかろうに。お大師様なんとかしてあげてよと思う。先へ通してもらい、その先でドライブウェーを横断する。車注意と書いてあるが今日は無用の注意だ。そこからは少し勾配がゆるくなる。途中にイノシシよけの柵と扉があり、開けて通る。この辺の山はどこもイノシシ注意だらけだった。そういえばテレビニュースで高松のどこかのスーパーにイノシシがはいり込んで大捕物したとかやっていた。
屋島から八栗遠望
転がるような下り道
イノシシは通れません
屋島を下り切って下界に出、川にぶつかったところを右折、しばらく新興住宅街を行きその先の左手の橋を対岸へ渡り、こんどは八栗の上りになる。住宅地の細道が入り組んでいて道順がややこしく、へんろシールを見落とさないように注意する。大きなうどん屋の店先をかすめてのぼるとケーブル乗り場への道にでて駅が見えてくる。脇を大川観光バスがすりぬけて駅前で止まる。団体遍路がわらわら降りてくる。む、やばい、あれと重なったらいやだな、ケーブルで行くから向こうが早いかな、でも年寄りでもたもたしているから追いついてしまうかも。ケーブル駅の横手から続く車道を歩く。ここは県道になっていて上まで車で上がれる道だった。屋島より低いし、傾斜もそれほどでないのでずっと楽だった。下りてきた人は一組だけ。
八栗ケーブル乗り場
大師像展望台
八栗から屋島遠望
大師像のある展望台に出る。こんどは向こうに屋島がみえる。そこから山門はすぐだ。はいるとさっきの団体がきている。みんな灯明と線香を上げるので本堂前は混雑。しゃあないな。相前後してお参り。読経がかぶるのが一番困る。団体はぞろぞろと大師堂へ移動していくが、少し待機して終わるのを待つことにする。みんな行ってしまってからゆっくりお参り。本堂前にもどって納経所へ。団体のツアコンが終わったところだった。納経はふつうのおやじ。終わってベンチで仕度していると正門の方からなんと赤カッパおやじが上ってきた。もう赤カッパは着てないが、よう五色台の同志と声かけられてわかった。向こうがよくわかったものだ。ひとしきり昨日の苦労話で盛り上がる。さてとお参りに行ったので先に出る。
85番八栗寺~86番志度寺
大師堂の先から下りる道も普通の車道で歩きやすい。途中の溜め池にホテイアオイの大群落が満開。琴電を渡って突き当たった11号線を左折。そろそろ疲れてきた。行けたら長尾まで歩くつもりだったが、予定変更して志度寺で終わりにすることにする。どうせ明日は時間に余裕あるし。房前で横道にはいって直進。持って歩いている長尺杖を買った表装の詠智会の前を過ぎ、志度の町中へ。このあたりはまだまだ昔ながらの旅館が多い。結願前夜に格好の場所なのだろう。道なりに行くと山門に突き当たる。
ホテイアオイ群落
境内は木が鬱蒼としていて見通しが効かない。こんな寺は珍しい。どっちになにがあるのかわからない。先の方へ行き過ぎて大師堂があり、本堂へもどる。誰も人はいないが灯明台にずらりとロウソクが並ぶ。さっきの団体だな。バスなら今日中に88番まで行けるのだろうか、しかし屋島寺はどうしたのだろう。扉がないのですぐにロウソクが消えてしまう。お参りしていると背広のじいさんがやってきた。納経所は山門の方へもどって反対側の建物の中、はいるとで真ん中に島があってぐるりとお守りなどの売り場と、納経カウンターになっている。若い坊さんが納経。いちいち合掌してていねい。
86番志度寺~志度駅=高松
出て来た道を少しもどり、左折した先が小さな琴電志度駅。15:40の電車に間に合うなと思って行くと、その先すぐにJR駅が見えたので念のため乗換案内で検索したら15:37の列車があることがわかった。琴電は瓦町で乗り換えだしJRの方が早いだろうとそっちにすることに。11号線を渡り橋上駅できっぷを買い改札スタンプを押してもらう。単行1500系がやってきた。転換クロスメインの車両でクロスとロングが対称配置の高知あたりによくあるタイプより居住性はよい。折よく座れたし快適だ。
琴電志度駅
JR志度駅
高松に着いて、コインロッカーの荷物を出してガラガラとホテルまで引いて歩く。大した距離ではないが日が傾いて寒くなってきた。行き交う人はみなコート着てるし。大通りを左折して三越の先の小さなホテルに到着。階段を上がって2階がフロント。407号室。記帳も受け取りも何もなく鍵だけポンと渡される。鍵を回すが開かない。何度もガチャガチャ回しているうちに反対にねじりながら押すと開いた。中は狭いがサイドテーブルが長大でいろいろ物が置けるので使い勝手がいい。すぐに大通りのローソンへ行って買い出し。このへんのコンビニはきつねうどんばかりで天そばがない。
ホテルワカバ
屋島で頂いた飴
6.2017年10月24日(火) 高松=志度駅~87番長尾寺~88番大窪寺~白鳥温泉
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
高松,622,4307D,656,志度
志度駅,704,,829,87番長尾寺(7.1 km, 1:25),0:23
87番,852,,1001,前山(5.3 km, 1:21),0:13
前山,1014,,1218,88番大窪寺(10.1 km, 2:04),0:49
88番,1307,,1527,白鳥温泉(11.4 km, 2:20)
高松=志度駅
いよいよ結願の日。朝4:50にアラームをかけておいたが4:30には起きてしまう。例のごとく眠りは浅い。買っておいたパンを食べて5:50出発。フロントに人がいた。外は薄暗い。寒そうなので長袖をはおって出る。10分で駅へ。荷物を同じ22番ロッカーに収納。1番線にちょうど到着した折り返し列車に乗り込む。これも1500系単行だ。客は5, 6人。途中から乗ってくる人もいる。栗林、屋島で上りと交換。屋島では上りうずしおも交換。志度で下車。長袖はしまって代わりに白衣を着る。これでちょうどいいくらいだ。
高徳線4307D
乗車券
志度駅~87番長尾寺
街道を長尾方面へ歩き出す。小学生が登校中で挨拶しながら歩く。中学生はみんな自転車で来る。左手高台にオレンジタウンの新興住宅地をみながらゆるやかに上って行き、一旦左手の旧道にはいったあと、橋の手前で県道を渡る。車が多く信号が橋の向こうにしかないのでけっこう危険。川沿いの道は狭く、車をかわしながら進み左折して橋を渡る。その先が工事中で迂回路を歩く。長尾の町中にはいり右折するとすぐに87番だ。広やかに開けた境内は志度寺と大違いだが誰もいない。灯明台にはロウソクが2本点いている。先客はそれだけらしい。ゆっくりお参りして納経はふつう。トイレに寄って出る仕度していると歩きの青年が2人到着。昨日の人かな。そそくさと先に出る。
87番長尾寺~88番大窪寺
交差点までもどって山の方へ右折。やがて山裾が近づいてきて左手に小さな前山ダムが見えてくる。ダム湖は小規模であの雨の後にしては大した水量ではないのが意外だ。右手に道の駅が見えてきてその手前左手に前山おへんろ交流サロンの建物がある。
前山ダム
前山おへんろ交流サロン
その前でタバコ吸ってるのはなんと赤カッパおやじだ。どの道を行きますかと聞くので、いくつかルートがあるのでここで情報を仕入れます、今日はどこに泊まりですか、白鳥温泉です、じゃ一緒だ(なんと)、とやりとりがあって中へ。ざっと展示をみて給茶機があったのでお茶をもらう。職員のおやじが電話中。案内の女性が女体山は林道が崩れて車は通れず人は通れるらしいけれど、確認が取れてないので危険だしこのまま県道を行った方がよいとのこと。ええー、またも台風の余波か。車道はずいぶん遠回りになるし嫌だな。どっちにしても3時間と言ってたけど。電話のおやじもその状況の確認をしているようだった。昨日も女体山コースへ行った人はいないとのこと。だけどここに立ち寄らなかったらその情報は得られないので行ってしまうのでは。林道に通行止めがしてあるのだろうか。簡単なアンケートを書いて、おやじが歩き遍路証明書を発行してくれる。日付名前番号入りだ。489番だった。札所案内のDVDとバッジもくれた。県道は交通量がそこそこあるのに歩道がなくて歩きにくいらしい。もう一本旧遍路道という山道があって、そちらは途中まで廃土運搬ダンプが通るので注意が必要と。どっちもどっちだが、歩道のない県道歩きよりはいいかなと旧遍路道へ行くことにした。
外へ出ると赤カッパおやじはもういない。どこへ行ったかな。少し戻って旧道入口へ。表示はきちんとしている。まあ一本道なのだが。ずっと一車線の舗装路でくねくねと上ってゆく。ダンプがやってくると止まって横へよける。かなり上の方に廃土捨て場があって、そこから先はおだやかな舗装路歩きになる。遠回りなので気が急いて早歩きになるが、意外とスムースに県道に抜けられた。結果的に県道歩きよりはよかった気がする。後で調べるとダンプの横を歩かなくてもほぼ並行する赤坂遍路道という歩き道があるらしい。遍路地図に載ってないので気づかなかったし、入口も見落としたらしい。
県道を少し歩いてすぐに377号線の三差路で工事中の歩道を迂回する。その先の槇川からは左手に並行する細道になって歩きやすい。山あいの快適な道だ。もう88番は近いがなんか実感が湧かない。着いてしまうのがもったいないような。2キロほど手前で軽のおばちゃんがお接待。アメとおかきを一握り握らせてくれて、手を包んでもう少しですねがんばってと激励。これにはちょっとウルっときた。もう残り距離は考えないで一心に歩く。やがて0.7キロの表示、その先に立派な山門が見えてきた。
迂回した旧遍路道
最後のお接待のお菓子
あと0.7 kmの標識
ん、あれは?
山門が見えてきた
大窪寺山門
山門の中の正面階段を上がったところが大師堂で団体がお参り中。その先に下りると左が小じんまりした本堂で右が門前町に下りる門。何しに来てるのか犬連れた外人3人連れが真ん中で立ち話していてじゃまだが、思ったより人は少なく静か。観光客ふうの中年女性3人連れがきたので本堂をバックにシャッターを押してもらう。まずは本堂にお参り、立派なカメラもってあちこちアングルを移動しているおやじがうざいがじきにいなくなった。大師堂へ回るとこちらも団体はいなくなっていて静か。どちらも落ち着いて読経できてよかった。納経所は本堂の手前左側。戸開けてはいると右手に窓口ふうの納経受付。特にどうということもなく他と同じようにさらさらと納経。くしまさんの言うように、ごくろうさまでもおめでとうでもない。単に88分の1という感じ。上の方に結願証明書見本が額に掲げられていたが、一枚どうですかでもない。気づかない人もいるだろう。出てイスでメール打ってるとなんと赤カッパおやじがやってきた。県道をずっと歩いて今着いたそうだ。早いですねぇと驚いていた。速足で旧道をきたので結果的に追い越したようだ。パン2個で昼食。残り1個は非常用に残しておく。
88番大窪寺~白鳥温泉
小一時間いると寒くなってきたので出る。小ぶりな門を出ると門前に有名なうどん屋と遍路宿がある。左手へ行くと377号線に出る。ほどなく右手に遍路道の案内標識がある。地図にはないがシールも四国のみちもそっちへ行けとなっている。これまで遍路道入口を見落とすことが多かったので、多少不安ではあったが行ってみることにする。車道から下って行き民家の横を過ぎると土道になる。谷底へ下りてゆくようで薄暗くなる。やがて左手に沢が沿い、大雨の後なのでザーザー流れている。どこへ出るのだろうか出られるのだろうか。標識はちゃんとあるのでとりあえず進む。やがて左手の沢の渡渉点となり対岸には石段が続いているが水量が多く飛び石を覆って流れていて渡れない。ここでまた靴を濡らすのはいやだし、へたするとひざ下くらいまで水深があるので危険と判断して引き返すことにする。後で確認するとその後少しで元の車道に合流するところだった。ふだんならどうってことないところなのだろうが渡れない、ということで泣く泣く元の分岐へ引き返す。片道700 mくらいのロスとなった。
渡れなかった遍路道
やれやれと車道に出たところへ赤カッパおやじがやってきた。まったく都合よく会うものだ。うどん屋に寄っていたのだそうだ。顛末を話してそこから一緒に歩く。天皇寺の朝会ってから3日目だが、ゆっくり話したことがなかった。徳島の人で家は1番から5キロくらいなので、家から歩いて遍路。定年延長して68歳で退職したばかり。以前車で2回回ったので今回が3回目で初めての歩き。3回の区切り打ちで春、春、秋の3回目。今回は大洲から。お金がかかるのでもう納経はしない。なるほどそうだったのか。札幌から来たというと、奥さんは伊達の人だそうだ。五色台の雨の日は一宮まで歩いたというので、きららに泊まりましたよといったら、同じだという。全然知らなかった。隣の部屋のようだ。そっか夜話し声してたのはこの話し好きおやじが喫煙所で誰かつかまえてたんだなと納得。それにしては風呂はともかくレストランでも会わなかったのが不思議。17時過ぎに飯食ったといってたのでぼくの方が少し早かったのかも。朝はたぶん赤おやじが早発ちだろう。八栗で後からきたのは、どこかで昼飯に寄っているところをぼくが抜いたのだろう。地図にしっかり書き込みしてよく調べて歩いている。
はらいがわトンネル
五明トンネル
はらいがわトンネルを過ぎてどんどん下って行き、五明トンネルあたりからなんとなく先へ行く。境目という場所が県境で徳島県にちょっとはいってまたもどる。大イチョウの樹の分岐を左折。道が細くなる。車はほとんど来ない。中尾峠から右手にショートカットの歩き道があるが、入口に細い木が寝かせてあるのか自然に倒れているのか、道をふさぐように横たわっている。何の表示もない。ひょっとして通行止めの意味かと、学習した頭が注意信号を発するが、ままよと行ってみることに。もどってもここは大した距離ではない。普通に歩けて左手に池があったけど橋があったので元の道へでられた。やがて右手に建物が見えてきて老人施設とつながった白鳥温泉の温泉施設だった。
白鳥温泉
はいってチェックイン。靴を抜いで上がり、2階の一番奥の松の間。部屋番号もついているが和風だ。6畳一間でトイレも洗面も共用。湯沸かしとお茶はある。すぐに風呂へ行く。狭いが地元の人が5人くらいなので十分。ゆっくりして上がって2階の自販でCCレモンを買ってるとエレベータが着いて赤カッパおやじが出てきた。明日のルートについてひとしきり話す。大坂越えはやめてトンネルを抜ける道を行こうかなという。遍路地図にない車道で長大トンネルで土成に抜ける道があるのだそうだ。下で買ったというミカンをくれた。これもお接待。
17:30に夕食。他の人は18時らしくひとりだけ。一般の宿泊客の他に工事関係者が泊まっているようだ。若いおやじがひとりで配膳している。結願祝いだがまだ明日も歩きはあるのでアルコールは抜き。そそくさと食べて30分で出る。何かわからない魚煮付けはうまかった。鶏鍋も付いていたが味が薄い。日記は夕食前に書いてしまったし、そのあとは寝るまでが長い。20時過ぎにフトン敷いて就寝。
7.2017年10月25日(水) 白鳥温泉~1番霊山寺~板東駅=徳島
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
白鳥温泉,815,,1248,大宮口(20.9 km, 4:33),0:07
大宮口,1255,,1405,3番金泉寺(5.5 km, 1:10),0:03
3番,1408,,1445,2番極楽寺(2.5 km, 0:37),0:04
2番,1449,,1506,1番霊山寺(1.2 km, 0:17),1:03
1番,1609,,1621,板東駅(0.8 km, 0:12)
板東,1630,4343D,1651,徳島
白鳥温泉~大宮口
途中何度か目が覚めたものの6時までよく寝た。トイレに行ったらちょうど赤カッパおやじが出発の格好して出てきた。トンネル経由で行くことにしたという。6:55に朝食へ。工事関係者が4人もう食べている。なんだもっと早く来るんだった。宿泊客は1人分だけ。赤カッパおやじはともかく他にも夫婦連れとか子連れとか客がいたはずだがもっと遅いのかな。15分で食べる。昨夜から少し腹が張っていて出そうな感じだが出ない。今日の行程はずっとトイレがないので不安だ。ぐずぐずしていてどんどん時間が経つ。あきらめて8時過ぎに出る。
朝食
フロントでうろうろしているじいさんが宿の人だった。外は青空。それほど寒くなく白衣を着てちょうどいいくらい。山あいを1時間くらい歩いて人里に出ると便意が。ほらね。藪の中というわけにはいかないし、この先の交差点にGSと交番があるのでどちらかで借りるしかないかと思って歩いていくと左手の田んぼ後にやぐらが組んであり、お遍路さんなんとかと書いてある。簡易トイレもある。田んぼでは男の人が数人作業をしている。すいませんトイレお借りしていいですかときくとどうぞというのでありがたく拝借。やれやれ助かった。気持ちよく用を足して、ありがとうございました助かりましたとお礼。なんでも少し前までは田んぼに空海さんのアートが書かれていたのだそうだ。それを見るやぐらだったのか。どこから来ました、別格は回らないの、とかひとしきり話。来年は50年記念だかで別格では大きな念珠を配付するとかいってた。あとで調べると地元有志がやっている空ちゃん田んぼというイベント場所だった。なんともちょうどいいところにあったものだ。まったくお大師様のおかげだ。
そこから快調に歩く。右折して橋を渡り工場敷地に突き当たって迂回する途中からJRを渡って東海寺の横を通って海沿いの11号線へ。讃岐相生駅で飲み物を調達するつもり。すぐ横は瀬戸内海が明るく輝いてきれい。前回の北条菊間あたりを思いだす。讃岐相生駅には自販もなくあてがはずれた。トイレだけ借りてその先にローソンがあるしなと歩き出す。右手に酒屋が開いていて自販はないが店内にお茶が売っていたのでここで調達する。100円は安い。信号を右折して県道1号へ。屈曲の多い県道は離合も困難な細道で車では大変そうだ。さらに分岐して細道でJRをくぐったところが大坂峠の登り口。
讃岐相生の瀬戸内海
大坂越えへの道
最初は広い道で歩きやすい。ところどころ擬木階段になって山道らしくなる。あっけなく県境に着いてあれれと思うが峠はまだまだ先だ。それでも大した上りではなく総じて楽だ。ヘビが行く手を横切る。マムシではないが3匹もみかけた。見晴らしの利かない峠から下って車道に出たところが卯辰越えへの分かれ道だが、予定通り大宮へ下りることに。その先一か所急な階段があって踏板が狭いので慎重に下りる。やがて人里に出た。ここまで途中に休憩所がひとつもなく腰を下ろせなかったので、下りたところの倒木に腰かけて最後のマーガリンパンを食べる。峠道でかかってきていた友人に折り返し電話して飲み会の予定を入れる。
大宮口~1番霊山寺
このペースだと1番に着くのは15時過ぎくらいになりそう。板東発のJRは15:31だからちょっと慌ただしい。次の16:30に乗ることにしてのんびり歩く。2600系新型特急気動車の試運転列車が通る。乗ってみたいが営業開始は12月だ。あとは地図通りに阿波大宮駅前を過ぎ、県道1号へ出てそこから左手の細道にはいり板野の町中を歩いていくと、やがて懐かしい赤い山門が見えてきて3番金泉寺に到着した。そういえばこんなだったなと3年半前の記憶がよみがえる。境内を見渡しただけでお参りは省略。裏から出て草がかぶっている飛び石をたどって旧街道へ。ここは雨上がりに歩いたところだ。逆打ち用の簡素な青テープが所々にある。ほどなく川端郵便局に阿波川端駅。その先で大きなザックを背負った歩き青年と行き合う。なんとも初々しい。これから歩くのか。うらやましいような。左手の細道にはいって墓地の中を通って2番極楽寺に到着。団体用納経所、お手植え大杉、なにもかもが懐かしい。山門から出て街道を進む。もう1番は近い。途中でなんと五体投地しながら歩いてくる人とすれちがった。膝当てつけて10歩くらいごとに身を投げ出している。ごくろうさまですとすれ違ったが、まさかあれで全部歩くわけじゃなかろうな。信じられない苦行だ。そもそも五体投地はチベットかラマ教ではないのかな。
金泉寺が近い
赤い山門が見えてくる
逆打ち用シール
極楽寺へ
見覚えのある風物や看板を眺めながら行くと左手に1番霊山寺の堂宇が見えてきた。門前一番街、そして山門。ついにもどってきた。マネキンも健在。境内は観音様も鯉のいる池も懐かしいが、こんなに狭かっただろうか。最初に来た時は広い寺だなと思ったのに。子供の頃みた景色を成長してからみたようなそんな戸惑いを覚える。ここは最初の寺で初めは比較対象がなかったからだな。88寺を回ったあとでは印象も変わる。奥の本堂は内部が修理中とかではいれずに、中にあった納経所は山門右手の駐車場横に移設されていた。本堂、大師堂と型どおりに89回目の最後のお参り。納経所へ行くと坊さん3人体制。奥の人がこちらへどうぞというので、歩いて88か所回って戻ってまいりました、満願成就の記帳をお願いします、と納経帳を差し出す。どこへ書きますかと聞くと最後だというので、大窪寺の次のページに願行成圓と日付を入れてくれ、御影のかわりに絵葉書セットをくれた。
山門脇のベンチに荷物をおいてトイレにいってもどると横に見覚えのあるザックが置いてある。Walking around?とか外人観光客に話しかけられる。何日かかるとか距離はとか簡単な質問に答えていると、案の定赤カッパおやじがやってきた。いやー会えると思わなかったとびっくりしている。ぼくは絶対会うと思ってましたよ(笑)と答える。ひとしきり話に花が咲く。長いトンネルを抜けた先は熊谷寺と十楽寺の間で、そこで荷物を送ってしまったのでザックはこんな軽々だという。もう今日帰るのにマメなことだ。大坂越えはわりと楽でしたよといったら、ヘビいなかったかと聞く。大嫌いなのだそうだ。あそこはヘビの多いところなのか、それでトンネルにしたわけか。元会社の同僚だという近所の俳人じいさんもやってきた。なんだかんだで時間をつぶす。やがて帰りますわと赤カッパおやじが去る。ぼくも腰を上げる。
1番霊山寺~板東駅=徳島
門前の信号を渡って直進し細い道を左折して少し歩いて10分ほどで板東駅へ。最初のときは高速バス停からきたのでここは初めて。駅前でGPS時計の停止ボタンを押す。正真正銘これで歩き遍路はおしまい。5, 6人乗る人がいる。やがてまたまた1500系単行がやってきて、またちゃんと座れた。
板東駅
駅名標
勝手知ったる徳島駅に到着。駅前の定宿サンルートにチェックイン。部屋は10階。すぐに買い物に出る。サンクスがファミマになっていて弁当がいまいちだったので駅側のホテル下のセブンへ。ロング缶2本も買う。もどって最上階の風呂へ。ゆったりつかってもどり、満願祝いの祝杯。ビールを1本買い足す。
8.2017年10月26日(木) 徳島=高松=神戸=札幌
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
徳島,922,3008D,1032,高松
高松駅,1115,高松EXP神戸,1358,,三宮
三宮,1355,ポートライナー,1413,神戸空港
神戸,1605,ADO121,1800,千歳
徳島=高松
アラームを7時にかけたが6時に起きてしまう。9:22の特急なので時間がありあまる。買っておいたパンを食べてのんびり。トイレは2回しっかり。こういうときはちゃんと出る。8:40には出てしまい、駅でしばし待つ。今日も天気はよい。うずしおはいまや貴重になった185系2連。がっくりというところだがもう乗ることもないかと思えばよかったかも。
うずしお8号
きっぷ
結構乗る人がいて、発車時で50%近い。途中からも乗ってきて相席になるところも。板東、阿波川端、阿波大宮と通過して大坂峠のトンネルへ。抜けると瀬戸内海に見覚えのある島二つ。讃岐相生通過。驚いたことに志度や屋島から乗る人もいた。車掌は発車時に検札して停車駅ごとに席番チェックしてまめに検札しにくる。今どきめずらしい。定時に高松着。段取りをどうするかなと考えていたが、待合スペースが空いていたので、ロッカーから荷物を出してまず着替えることにする。イスに荷物をおいてシャツとズボンをもってトイレで着替える。脱いだものをキャリーバッグにしまって靴も履き替える。笠と杖を包装して完了。荷物を引っ張ってお土産さがし。ここも駅内セブンイレブンが土産物売り場併設になっていた。うどんと学校にかまど饅頭を買う。現金支払いしたがEdyが使えるんだった。しまったな。待合イスへもどってパッキング。すべて収まった。
高松=神戸=札幌
そろそろいい時間になったので北側のバスターミナルへ。空港リムジンと市内バスの案内があるが高速がない。係のおばちゃんに聞くと高速バスは反対の南側だという。そういえば高知からのバスを降りたのはそっち側だったなとそっちへ行くともう神戸行きバスが停まっていた。ちょうど発車10分前くらい。また愛想のない四国高速バスだ。運ちゃんがドア前でじいさんと立ち話。合間に乗客の切符をチェック。発車間際まで話していて乗り込むとすぐに発車。だらけてるな。途中乗車客が結構あるのにびっくり。ゆめタウンやインターはともかく高速に乗ってからも志度とか引田とかのバス停から乗ってくる。予約なしの飛び込みもあり乗車時に現金で払っている。緑SAで12:48-12:57停車。10分休憩しますだけで何時何分と発車時刻を言わない。そういえば前回もそうだった。四国高速の流儀なのか。一応発車時に人数確認はしていたが不親切。三宮ミントには13:53に5分早着。すぐにポートライナーに駆け込む。市民病院までは立ちんぼう。空港のADOカウンタは無人。ANAもプレミアム表示の荷物預けしかなくて一般客はどこなのか不明。自動チェックインした後で係にきくとここでいいという。3点預け。笠はビニールなし。上がって神戸キッチンでソーセージとビール。やはりこうなる。1杯でがまんして搭乗待合室へ。少し待つ。東川高修学旅行生が一緒。人数は多くない。隣席が空いていたので楽だった。ジェット気流のおかげで新千歳には10分早着。