第3期 2015年6月3日(水)~8日(月)
牟岐駅~第24番最御崎寺~第30番善楽寺~文殊通 169.1 km (累計 352.5 km)
0.出発まで
1.2015年6月3日(水)札幌=神戸=徳島=牟岐~鯖瀬
2.2015年6月4日(木)鯖瀬~尾崎
3.2015年6月5日(金)尾崎~24番最御崎寺~26番金剛頂寺~奈半利
4.2015年6月6日(土)奈半利~27番神峯寺~夜須手結山
5.2015年6月7日(日)夜須手結山~28番大日寺~30番善楽寺~文珠通=菜園場町
6.2015年6月8日(月)高知~神戸~札幌
0.出発まで
今回は第2期の終点牟岐から出発。次の札所は室戸岬までない。室戸岬周辺に集中している24番から26番の前後が離れていてかつ宿がほとんどないので、行程がかなり制約される。朝自宅を出てその日のうちに牟岐に到着するためには、なんとか徳島14:20発のむろと3号に乗りたい。これだと牟岐が15:31着なので、その日のうちに少し歩いて鯖瀬の鯖大師まで行けるだろう。翌日は室戸岬まで1日で歩くのは不可能なので、中継点として尾崎に泊まるのが普通だ。というかこのあたり他にまったく宿がないのでそれ以外の選択肢はない。それでも鯖瀬から40キロ超を歩かねばならない。その翌日が悩ましい。尾崎から室戸岬を越えて24~26番を打っても昼過ぎなので、室戸界隈に泊まるのでは早すぎる。かといってその先は遠く奈半利まで宿はない。前日よりもさらに長く43キロを超える上に3カ所の札所に寄らねばならないがので時間がかかりそうだ。う~ん、室戸に泊まるか。そうすると次の宿は27番の登り口あたりなんだけど、このへんは浜吉屋はじめ評判のよくない宿ばかり。頑張って奈半利まで歩けば市街地手前にホテルなはりという大浴場つきのホテルがある。これは魅力だな。奈半利の翌日はというと、27番の山登り往復をこなしたあとで安芸までか、もう少し進んで手結あたりまで。その次はなんとか28-30番を打って高知市内にたどりつけそうだ。出発日を入れると5日間、ただしその日に帰ってくるのは無理なので帰りは6日目となる。そうするか。
往きのフライトは前回と同じ始発神戸便のつもりだったが、なんとダイヤが変わって千歳発が1時間遅く9:00になった。10:55に神戸空港に着いて三宮発11:40のバスに乗らないとむろと3号には間に合わない。ギリギリ間に合いそうだけど、今回は荷物を預けないとならないしきわどすぎる。困ったなと考えて神戸~徳島はJRバス以外に徳島バスがあったことに気づき、そっちを見てみると神姫バス三宮ターミナルを12:10に出て徳島に14:00に着く便があった。やれやれこれなら乗れるだろう。帰りは時間に余裕があるが高知から神戸へのバスの本数が少なく、高知を10:40に出て三宮14:53着、神戸空港17:20発新千歳19:15着という案しか見つからなかった。高知~羽田~千歳と乗り継げば早いけれど運賃が高く、ホテル代かけても1泊して神戸経由の方がずっと安い。
とりあえず四国の出入りは決まったので、2週間ほど前に宿の確保にかかる。楽天トラべルでホテルなはりもその翌日に目をつけていた安芸のホテルタマイもすでに満室。なんと。こんな時期のこんな場所と思って油断した。なはりはネットでは前後も軒並み満室だけど室数限定らしいので直接申し込めばあるかもしれない。タマイは逆に前後はガラガラなのにこの日だけ満室。なにかイベントがあるのだろうか。しまったなどうするかな。日程は動かせないし他に宿のある安芸はともかく奈半利は動かせないので、5/20に直接電話してみる。と、本館ツインのシングルユースなら泊まれるとの返事。よかったよかった。しかし油断ならない。その前日の尾崎も民宿が2軒しかないので泊まれないと全体の旅程に影響する。全体の行程を再確認したうえで翌5/21に他の宿も予約してしまおうと電話。まずロッジおざき。なんなく宿泊可でほっとした。次が初日の鯖大師。まあ大丈夫だろうと思いきや、なんとその日は休みです。休みなんてあるのかよ。鯖瀬に他の宿あったかなと探して、海山荘という聞いたことのない民宿をみつけて電話してみたところOKだった。やれやれ。安芸の方はネットでみると他のビジネスホテルはたくさん空いているみたいだったのでタマイにこだわらなきゃ大丈夫そうだな、とかあれこれ考えているうちに奈半利~安芸は近すぎるから手結まで行こうという気になって、評判の良い住吉荘に電話を入れて予約する。これで4泊分が決まった。最終日は高知だから大丈夫だろう。いろいろチョイスはあったけれど値段や場所との相談でサウスブリーズホテルというのを5/25に楽天から予約。高速バスも予約してすべての手配を終了した。
1.2015年6月3日(水) 札幌=神戸=徳島=牟岐~鯖瀬
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
千歳,900,ADO116,1055,神戸
神戸空港,1120,ポートライナー,1138,三宮
三宮ターミナル,1210,edy108,1400,徳島駅
徳島,1420,5053D,1531,牟岐
牟岐駅,1537,,1642,鯖瀬(5.6 km, 1:05)
札幌=神戸=徳島=牟岐駅
6:00起床、7時過ぎに車で出発して8:05空港着、AIRDOカウンターへ。すいている。手荷物を3点預ける。X線検査のお兄さんに、お遍路ですかときかれる。荷物でまるわかりだ。笠はビニル袋に入れてくれるが、杖はそのままだった。身軽になって8:30に搭乗待合室へ。手荷物検査では、ライターとスマホだけトレイに出す。ライターは1個だけですかときかれる。中にはいってトイレをすませる。8:45に搭乗開始。B737は満席だ。9:05に離陸。向かい風が強く飛行時間1:55とのアナウンス。7A席、手回り品はウェストバッグだけなのでらくだ。
神戸空港11:05に到着、11:07に機外へ、手荷物引き取り所で11:13にターンテーブルが動き出し、すぐに受け取って11:20のポートライナーに乗れて11:38には三宮着。きわめて順調で予定よりずいぶん早い。時間があるのでバスターミナルの先のセブンイレブンで昼食と非常用のチョコパン、マーガリンパンを調達する。神姫バスターミナルは狭い穴倉のような営業所で、高架下のアーチひとつに1列2台ずつバスがはいる。角の待合室は狭く、イスはほとんどうまっている。空席を見つけて買ったパンでそそくさと昼食。トイレはあった。発車10分前に改札開始。中央通路から狭いバスの横を乗車口まで歩いていくシステム。徳島行きの乗車客は6人。愛想のない運転士が乗車票をチェック。定時に発車、神戸は雨上がりで暗い。すぐの阪神三宮に停留所があり飛び乗り1人。アナウンスは簡単なテープのみで、昨年のJRバスのていねいな案内とはえらい違いだ。各座席にコンセントがある。舞子で3名乗車、その後鳴門公園3、高速鳴門3、徳島大1、徳島駅3と下車。途中は雨が降ったりやんだり。徳島も同じ。高速を降りてから便意を催したので後部のトイレにはいる。バスのトイレは初体験だが、その狭いこと。飛行機の比ではない。身動きできないうえに曲がり角など大きく揺れるので往生した。
徳島駅13:56着。きっぷを買ってすぐにホームへ。むろと3号185系2連はがらがらだ。先頭車運転台寄り12-15列16席が指定席で指定客は2名のみ。途中もほとんど乗り降りなく牟岐へ。日和佐で各停と交換。前回最後に牟岐から乗ったやつだ。感慨深い。
神姫バス三宮ターミナル
案内板
むろと3号
乗車券
牟岐駅~鯖瀬
牟岐駅に降り立つ。前回の記憶がよみがえる。もどってきたなと思う。トイレに寄って、身なりを整え、笠をかぶって歩き出す。小雨が降っているがポンチョを出すほどではない。55号線を右へ。出てすぐの有名な遍路休憩所はシャッターが閉まっていた。オフシーズンなのだ。そういえばここまでまだ一人も遍路の姿をみていない。鯖瀬まではトンネルがいくつか。1時間ほどなのですぐだ。今回から杖を少し長いのに変えたので、少し勝手が違う。持ち手の上が笠に当たったりする。微妙なものだ。左手の内妻海岸は波が荒い。サーファーがいっぱい。数えると22人もいた。この先サーフィンスポットが続く。八坂八浜のトンネル手前で海陽町にはいる。鯖大師入口が右手に見えてきて、そちらへ街道から少し入る。コンパクトだけどお堂がいろいろあって看板出して宣伝している。手前の会館は人気がなく、やはりやってないみたいだ。本堂前には作業する人が2人。こんにちは、ごくろうさま。お経を上げて賽銭納札だけする。別格霊場で記帳してもらうかどうかは悩ましい。納経帳には余白ページがあるけれど10ページしかないし寄ったところだけ虫食いに集めるのもな。というわけでここはパスとした。
もどってきた牟岐駅前
牟岐トンネル
八坂トンネル
内妻海岸のサーファーたち
内妻トンネル
海陽町にはいる
鯖大師
鯖瀬駅を出る牟岐行き4570D
街道へもどると右手にへばりつくように鯖瀬駅があり、その先すぐの左手分岐に海山荘の案内看板があった。建物はその奥の高台にあるので看板がないとわからない。坂を少し上って海を見下ろす高台にぽつんと1軒建っている。ただし古い。おばちゃんが1人のみ。広い玄関をはいって受付する、宿帳は前の客が5/31だった。朝食はいらないといったら6時にできますよといわれたけどやはり断ることにする。開放的なホールから左の階段をあがって2階に7室。あてがわれた海側の角部屋は眺めがよい。4畳半にテレビ、エアコン、布団がある。お茶は急須にお湯とティーバッグがもうはいっている。浴衣はあるがハブラシはない。すぐに風呂にはいる。1階の奥に男女わかれている。脱衣所にタオルが積んであって使ってもいいみたい。洗い場は3人分、湯船は2人はいれるかな。ついでに下着を洗濯する。18:03に夕食。1階の大広間にぽつんと1人。宴会用なのだろう、正面にステージがある。さすがに1人ではわびしい。波の音が聞こえるのはいいが、BGMがかかっているのが場違い。しかも、やさしい悪魔の次がいつでも夢をときた。いったいいつの時代だ。2膳完食。その後、夜は時間を持て余す。古い洗面所はトイレ共同。コップもない。19時までテレビをみてあとはうだうだ。20時にフトンを敷いて寝る。
海山荘入り口
建物外観
室内
眼下は海
ステージつき夕食会場
夕食
2.2015年6月4日(木) 鯖瀬~尾崎
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
鯖瀬,608,,754,海部(8.5 km, 1:46)
海部,754,,917,宍喰(6.2 km, 1:23)
宍喰,917,,1006,甲浦(3.7 km, 0:49)
甲浦,1006,,1042,東洋(2.8 km, 0:36)
東洋,1042,,1509,尾崎(20.4 km, 4:27)
鯖瀬~東洋
5時に目覚ましをかけ、スヌーズで5時半に起きる。ばたばたと支度。洗濯物は半乾き。今回からマメ対策で足裏と指をすべてテーピングする。慣れないので時間がかかって6時ちょっと過ぎに階下へ。支払い4536円と格安。お釣りがなく細かいのありませんかといわれる。小銭をやりとりしてなんとかなったけれど準備しておけばよかった。
海山荘の朝
阿波海南駅
牟岐線の純粋トンネル
細長い那佐湾
天気はよい。Tシャツの上に白衣をはおって出たけれど暑くなりそうですぐに脱いでしまう。55号線は早朝から車が多い。大砂海水浴場を過ぎて浅川で道が分かれるが農道経由は距離が長いと標識にあったので国道を行くことにする。国道沿いの休憩所で休憩、チョコパン1個食べる。海南市街にはいると、立て続けにローソンが3店もある。海部の手前右手に有名な枠だけのトンネル。まだ健在なんだ。海部から那佐湾へ。上り坂でこんにちはと自転車遍路が抜かしていった。今回はじめてだ。登校する高校生が自転車でどんどん向かって来る。声をかけるとおはようございますとみんな返してくれる。リビエラししくい手前の道の駅で休憩。靴をぬぐと気持ちいい。水床トンネルを抜けて高知県へはいる。お世話になった徳島県、どうもありがとう。
甲浦湾にはカラフルなカヌーがたくさん浮いている。カヌー学校かな。甲浦の海の駅でまた少し休憩。その先の東洋町生見はサーファーばかり。民宿にもサーファーの車がずらり。このあたり交通安全東洋大師の遍路標識がひんぱんにある。
甲浦湾のカヌー
生見海岸
東洋大師の標識
室戸への道
東洋~尾崎
野根の集落を過ぎるととたんに家並みがなくなる。ここから佐喜浜手前まで悪天候時は通行止めの案内がある。ここの10キロはほんとに何もないところだ。伏越の鼻近くで海に降りて休憩する。国道からところどころ石段で海岸に降りられるようになっている。下は大石がごろごろの海岸。チョコパン2個で昼食とする。天気がよくぼーっと海を眺めていると気持ちいい。まったく別世界、非日常も極まれりだ。いつまでも休んではいられないので階段を上って国道へ。その少し先のゆるい上りで立ち止まっている歩き遍路を発見。きいてみると今日は同じロッジ尾崎泊まりといっていた。お先にと追い越す。地図にある法海上人堂は山側で荒れている。トイレと水と記載があるけれど、崩れそうなトイレはともかく水はない。蛇口があるけれど出ない。沢があるが飲めそうな感じではない。この区間は自販機も何もないので残り少ないお茶を大切に飲む。暑いので脱水するとシャレにならないし。歩道は山側にあるが眺めのいい海側の白線沿いを歩く。暑い。時折吹く風が気持ち良いから真夏よりはまだましか。しかし太陽がじりじり。さすが南国高知だ。
海岸に降りて休憩
室戸市にはいる
同じ景色が延々と続く
佐喜浜集落にはいる
室戸市にはいって入木で廃GSの向かいに久々の自販機を発見。やれやれ、コーラがうまい。佐喜浜への旧道にはいると前方に夫婦二人連れ歩き遍路の姿が。声をかけてすぐに追い越す。今日は民宿徳増泊りといっていた。佐喜浜町内にはいってまたじいさん遍路が前に。このあたりにくると結構歩いている人がいるな。港の堤防で休憩しているうちに先へ行ってしまった。ここで最後のチョコパン1個食べる。今日はこれしか食べてない。そこから尾崎は近い。じいさんが見えてきたがロッジ尾崎を通り過ぎて行ってしまった。すぐ先の徳増に泊まる人の方が多いのかな。15時過ぎに瀟洒なつくりのロッジ尾崎に到着。ちょうど9時間かかった。若奥さんが掃除中だったが、もういいですか、と入れてもらう。宿帳は6/2の次だった。杖を洗ってくれる遍路宿ならではのサービスは森本屋以来だ。風呂はもう沸いていて、洗濯物あったらしますから出してくださいと。ありがたいことだけど、今日の分だけなので辞退する。
ホールの先が食堂で左の急な螺旋階段を上がって2階に6室ある。1号室は海に面した北東角で最高の位置だ。中はととのっている。冷蔵庫つきでビールや水などがはいっている。お湯のポットもある。浴衣、ハブラシ、タオルもある。ベランダの外は道路をはさんですぐ海だ。国道を行きかう車がうるさいが眺めはすこぶる良い。共用部分にあるきれいな洗面所はワンボウルでその奥にトイレ個室と男性小用。個室はなんとシャワレット。さすがに評判の良い宿だけある。すぐに風呂へ行く。ホールから奥の階段を地下に降りる。湯船は大きく十分2人ははいれそう。入浴剤入り。洗い場も2人分。タオルは脱衣所にあるのを使っていいのかも。さっぱりして玄関先にあった自販機でコーラを買ってくる。時間が有り余る。海を眺めながらのんびりする。なんとぜいたくな時間だろう。
途中で抜いた歩きの人はなかなか来ないなと思っているうちに18:05に夕食どうぞと声がかかる。廊下に出ると奥の部屋にスリッパがあっていつの間にか着いていたらしい。階下の食堂には2人分の料理が並んでいる。先に食べ始める。途中で同宿者が下の風呂から上がってきた。金色短髪で見違えてしまった。一旦部屋に上がってから降りてきたので、途中で会いましたよねと確認する。やはりそうだった。ぼくはもう食べ終わっていたけれど、お茶のみながらすこし会話。徳島の人。日和佐までは以前歩いていて、今回甲浦までJRできて歩き始めた、気合い入れなおして回るつもり、全部回ったら日和佐~甲浦は別に歩きに来る、と。しかし聞いていると荷物が重くて送り返したとか、野根の先で抜いたにしてはずいぶん着くのが遅いし、大丈夫かな。でも人はよくて話して楽しい。ネット情報で宿選びして、浜吉屋評判悪いですよね、逆に泊まってみようかなと思ってるとか。合間に宿のおばあちゃんがいろいろ話しかけてくる。相当なお年にみえる。ゆっくりだけど耳もちゃんと聞こえるし受け答えもしっかりしている。部屋にもどり、テレビの下にあったおとずれ帳に感想を書いて、21時には消灯。眠りは浅く断続的。
3.2015年6月5日(金) 尾崎~24番最御崎寺~26番金剛頂寺~奈半利
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
尾崎,544,,845,24番最御崎寺(15.6 km, 3:01),0:21
24番,906,,1032,25番津照寺(7.0 km, 1:26),0:27
25番,1059,,1210,26番金剛頂寺(4.4 km, 1:11),0:33
26番,1243,,1711,奈半利(19.3 km, 4:28)
尾崎~24番最御崎寺
朝4:30に起きる。水を飲んで少ししたら珍しく便意がきた。トイレにいって完璧に排泄。すっきり起きてしまう。朝食にマーガリンパンを2個食べる。身支度して5:40にチェックアウト。気温は前日より下がるというのでTシャツに白衣を着る。若奥さんが、もう少し早く出たかったんでしょうと申し訳なさそうにいう。いい人だな。
外はもう明るく青空とくもりのまだら。今日は雨の予報だがすぐには降りそうにもない。水平線から日が出たばかりで、この季節北海道と1時間は違う。降り出さないうちにできるだけ先に進んでおきたい。すぐ左手の夫婦岩を過ぎて、三津まで国道をどんどん歩く。歩道には見慣れないみずみずしい黄緑の雑草の大きな株があちこちに繁茂している。右手にジオパークセンターがあらわれると岬は近い。大きな大師像に到着。上まで上がれるようになっているらしいが、いかにも観光地の客寄せ人工的過ぎて近くへいってみようという気にはなれない。休んでいるとなんと昨日佐喜浜で抜いた夫婦がやって来た。昨日はへろへろだったのに、今日はやけに元気そうだ。ぼくもかなり早いペースでここまで歩いてきたのに、徳増からこの時間に追いつくとは速いな。歩いてきたのかな。
日の出
夫婦岩
謎の雑草
室戸ジオパークセンター
大師像
そのすぐ先に空海の名の由来となった御厨人窟がある。中に入ってもどうということはなく、振り返って海の写真を撮っただけで出る。そこから24番への登り口はすぐだ。雨がぽつぽつと降りだしてきた。さほどではないのでそのまま歩く。山の上の堂宇まで距離にして700 mほどなのにジグザグの階段急登が結構きつい。登りきると山門があり、左手に大師堂、階段を上がって本堂がある。久々のお参りなので段取りを思い出す。まだ早いので参拝客は数人しかいない。遍路に冷たいと何かと評判の悪い高知最初の札所の納経所は愛想のないおやじだった。
御厨人窟
洞内からの太平洋
最御崎寺上り口
急坂
最御崎寺山門
本堂
大師堂
24番最御崎寺~25番津照寺
さて、ここからの降り口がわからない。納経所前に地図が貼ってあり、本堂横から遍路センターの方へ行くのだとわかった。駐車場からつづらおりの車道を下る。最後のヘアピンカーブのあたりで雨が強くなってきたのでポンチョを着ることにした。秋には着なかったので1年ぶりだが段取りを覚えているのでスムーズに着られた。歩くのにも不自由ない。急坂を下りきって右折、室戸市街へ旧道を行く。上の方から前にじいさん遍路が2人見えたけれどどこへ行ったかそのうちいなくなった。一旦55号線に出たところでその先の交差点と勘違いして向かいの細道にはいりかけてもどる。また旧道にはいって再度国道に出たところで渡るのが正解だった。先へ進んでいるつもりでも実際はまだまだ手前という錯覚はよくあることだ。
角にヤマザキショップがあり、張り出した軒先にイスがある。雨の中荷物を降ろしたりするのにちょうどいいので、ここで昼食を調達することにする。はいってパンとお茶を買う。支払いは電子マネーが使えなかったので現金。いまどきのコンビニにしてはめずらしい。人のいい店のおやじが、歩きですかどちらから、札幌です、へえ~、登別の第一滝本館に行ったことあるけどあそこはすごいねえ地獄谷とか、とよくあるリアクション。
そこから25番はすぐだ。町中の狭い路地の奥みたいなところに立体的に納まっている。山門の右に大師堂と納経所、正面は見上げるような階段で上り切ると右側が本堂。雨でぬれているので急な階段がこわい。納経所は若いおばさん。ニコニコはしているけれどよけいなことはいっさい言わない。大師堂前のイスで歩きっぽい人が休憩していたけど、本堂にお参りに行ってる間にいなくなっていた。
室戸市街への下り坂
津照寺は町の中
山門
本堂への長い階段
大師堂
25番津照寺~26番金剛頂寺
ここからの順路も少しわかりにくいが、地図の通りに細い路地を曲がり抜けて先へ進む。コンビニをさがしてわざわざ室戸市中心部へ寄り道しなくてもよいので助かる。やがて55号線に出て進む。雨が止んできた。元橋手前右側に立派な屋根つきの休憩所があったので、そこで昼食とする。ちょうどいい場所だ。
地図をよく読んで側道を26番方向へ。このあたり遍路地図がわかりにくい。分岐点に立派な民宿うらしまがあった。この先しばらく宿はない。分岐を山の方へ曲がるとあとは遍路シールに従ってゆけばよい。登り坂がだんだん急になり、段々になってジグザグに上る。やがて駐車場横の階段に出る。厄坂61段と書いてある。その上が山門。本堂では先達連れ2人が大声で読経中だ。横で読むとリズムがくずされて読みにくい。納経所はまた愛想のかけらもないおやじ。やはり高知はいかんな。トイレの場所をきいたらちゃんと教えてはくれた。山門の横に水洗のきれいなトイレがあった。ベンチで荷物を整理していると隣に歩き遍路がいたので声をかける。歩きですか、ええ、今日はどちらまで、もうおわりです。これだけ。取り付く島がなくて話が続かない。うるさそうですらある。お先にと先に行く。
元橋の立派な休憩所
金剛頂寺への上り
階段
金剛頂寺山門
本堂
大師堂
226番金剛頂寺~奈半利
ここからの降り口がまた分からない。またあの坊さんにきくのも気が進まない。遠回りにはなるけれど車道を行けば歩き道に合流できそうだったので、一旦階段を下りて車道をのぼる。道はあらぬ方向へくねくねカーブして不安になったころ、右手の宿坊からの道に出会う。あとから考えると本堂の横あたりから宿坊へつながっていてここへ出られるようだ。24番の出口と似ている。そこからの下り道は細くて草がかぶったりしているところもあるが、シールや標識に従って行けば大丈夫。やがて急な枯葉道の下りとなり、下りると細道いっぱいを工事車がふさいで何やら工事中だ。狭くて横を抜ける隙間すらない。迂回路なんてもちろんない。仕方ないので横の石垣をよじのぼってたどり飛び降りる。ひどいな。キラメッセあたりからやがて55号線にもどる。あとはところどころ平行する旧道をたどりながらひたすら奈半利をめざす。
草の中の下り道
枯葉の道
ここからが長い。ここまで上り下りに脚を使ったのでバテる。おまけに休憩所がなくて休むところがない。吉良川旧道の自販機横の分岐路の路肩に腰をおろして休憩。雨が上がったようなのでポンチョをぬいで丸めてザックのコードに挟み込む。これは何かと便利だ。羽根の手前でなんと前方に大きなザックの歩き遍路が見えてきた。ゆったりしたペースで歩いているが、こっちも疲れているので追いつかない。どこから来てどこへ行くのだろう。羽根市街から国道を離れて中山峠道へと進む。山道はいやだけど絶対的な距離の短さの魅力に負ける。手前の橋で水を飲んで休憩。また雨が降り出してきたのでポンチョを着る。が、峠の登りにかかると暑い。しかも雨は大したことない。またすぐにポンチョを脱いでたたむ。上り坂は大したことないけれどだらだらと長い。羽根方面が遠望できるコルに出てやれやれ峠かなと下っていくとまた上りになったりする。雨がまた強くなってきたのでまたまたポンチョを着る。まったくなにをやってるんだか。おかげで前を歩いていた遍路は離れて見えなくなった。下りはすべるので慎重に下りる。この山道でなんだかんだずいぶん時間をくった。
中山峠道への上り
峠から羽根市街
下り道
やっと着いたホテルなはり
加領郷に下りてまた55号線に出たらあとはすぐだなという気になっていたけれど、それは間違いで結構ここからが長かった。雨が本降りになって横を走る車がザーッと水をはねかける。くそっ、歩き遍路にはねかけるなんてなんと罰当たりな。前方にホテルの看板が見えてきた。やれやれと思ったらあと1.7キロとあるのにはめげた。ふだんなら大した距離ではないのだけれど、この場に及んでは絶望的な遠さに感じる。ウルトラ最終盤に通ずるものがある。おまけに風も強くなって大荒れになってきた。ポンチョのおかげで体は濡れてないけれど靴や足回りがびしょびしょだ。奈半利市街が近づいて左手に大きな貯木場が雨に濡れている。北川、馬路から切り出したのだな。木の香りがする。なんとか17:10に到着。やれやれ。今日は疲れた。
フロントでチェックイン。記名しようにも手が濡れているので、タオルを貸してくれた。靴を乾かすのに新聞紙あげましょうかとか親切だ。すぐ横の階段を上がった左奥の2階201号室ツイン。何はともあれバタバタとすぐ風呂へ。同じ階の扉を出て外階段を下へ降り、渡り廊下から別棟へ渡った先だ。空いている。露天に出ると雨がざーざー降っている。日焼けした手足が飛び上がるくらい痛い。おまけに左膝を曲げると大腿裏側が張ったように痛い。総じて左側のダメージが大きいのはなんでだろう。今日はさすがにきつかった。明日ちゃんと歩けるだろうか。
室内
夕食定食
風呂から上がって、フロント横のレストランへ。洋食にしたかったけれど、やはり和食主体のメニューだったので折衷の夕食定食というわけのわからないのになった。まあまあうまい。海老フライも冷凍なんかじゃなくてふっくらとしている。さすがにビールを飲みたくなったけどがまん。明日はまた晴れて暑い予報。まったく極端だ。ホテルは気ままでいいけれど荷物整理したり、部屋でくつろぐのがやりにくい。やっぱり和室はいいなあと思う。到着が遅かったので日記を書くのに手間取って寝たのは21時半過ぎ。わりとよく寝た。
4.2015年6月6日(土) 奈半利~27番神峯寺~夜須手結山
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
奈半利,626,,752,唐浜(7.0 km, 1:26)
唐浜,752,,840,27番神峯寺(3.3 km, 0:48),1:40 (4.0 km)
27番,1020,,1056,唐浜西(4.3 km, 0:36)
唐浜西,1056,,1326,安芸(9.6 km, 2:30)
安芸,1326,,1625, 夜須手結山(14.5 km, 2:59)
奈半利~27番神峯寺
5時に起きる。昨日とはうってかわった好天だ。朝食はマーガリンパンとチョコクロ各1個。チェックアウトして6:20に出発。どんどん歩く。奈半利と田野の市街はつながっていて旧道には古い家が多い。
安田川の新しい橋の途中の休み所で休憩。分岐からゆるゆると27番への車道を上る。スタスタと身軽に下りてくる歩きおやじ。ふもとに泊まって朝一で登った人だろう。それにしても早い。7時一番に納経したのかな。同類の人ともっとすれ違うかなと思ってたけれどその後は誰も出会わなかった。途中坂が急になる手前右手に突然立派な家があってびっくり。その先からカーブする車道をショートカットする歩き道が分かれている。マムシ注意とあってビビる。しばらく山道を上ると車道に出る。渡ってまた歩き道を上るとまた車道に出る。それを3回繰り返すと急坂急カーブの車道となり、駐車場に出た。
田野の海岸
奈半利川
神峯寺への分岐
車道を上ってゆく
歩き道のショートカット
山門前の石段
横に立派な茶店がありうどんなんかもある。少し上って山門とトイレがあり、進んだ左手に納経所、右手奥に手水場がある。山の湧き水が流れていてきれいだ。荷物をベンチにおいて正面の石段を上って左手の本堂へ。古い立派な建物だ。斜面に建っているので、横からはいった本堂の正面は奥行きがなくてすぐ崖で、遠く海が一望のもとに眺められる。いいところだ。大師堂へは元の石段の右手へ行く。途中神峯神社への参道を横切る形になっている。このあたりの位置関係が入り組んでいてよくわからない。大師堂は明るく立派。山上は車で来た人がちらほら。石段を下りて納経所へ。おばちゃんは無言。またかよ。ここも車の人は300円よぶんに払うシステム。荷物をおいたベンチにもどるとちょうど便意が。きれいな洋式水洗トイレをありがたく拝借する。よしよしうまくいった。
さてと山門までもどって、ふと天気も体調もいいし時間も早いのにこの上にある展望公園へ行かないのはもったいないような気になる。またベンチにもどって荷物を全部置き、空身で登ることにする。
境内から本堂への階段
本堂
本堂前からの太平洋
大師堂
大師堂横から神社の方へ車道を上る。大きな三叉路に出て看板をみると左が神社駐車場方向なのはわかるが、展望塔への上り口がわからない。車道はまだ上り方向へ続いているのでとりあえずそちらへ行ってみることに。カーブしながらのだらだら上りが続く。上ってるのだからいいのだろうという気がするがだんだん不安になる。やがて下りに転じて目の前に茶畑が広がった。ありゃこれは安田方向へ下りる道ではないか。が~ん、せっかく上ったのにと泣く泣く戻る。戻りはほぼ下りだから楽ではある。イチニイチニと駆け足でどんどん下る。あっという間に元の三叉路へ。今度は駐車場方向へ向かう。すぐに駐車場らしい広場に出て右手にちゃんと登り口があった。長短緩急2種類の歩道があるので短い方を上る。足元がすべる。しまった杖をもってくるんだったな。手ごろな枝をひろって杖代わりにする。なんだかんだでやっと展望塔に着いた。ほんとうにただ塔があるだけ。中の階段を15段×5上って最上階へ。確かに絶景だ。室戸方面からはるか土佐湾をへだてて足摺方面まで真っ青な海が一望。時間を大きくロスしたのでそそくさと帰ることにする。下って例の紛らわしい三叉路までくると、軽装の中年夫婦がじっと看板をみている。展望塔行かれるんですか、こっちですよ、と教えてあげる。荷物までもどってこんどこそ下山。
展望公園から室戸岬方面
土佐湾方面
27番神峯寺~夜須手結山
下りの山道は剣呑なので遠回りでも車道を行くことにする。重装備の歩き遍路とすれ違う。最初の山道分岐には自転車が1台。デポして山道を登った人もいるらしい。下り道の途中の立派な農道分岐で標識が右を差している。少しだけ短絡路のようなのでそっちへ行く。立派な舗装道路を下界へ降りてまた55号線へ。当初の予定タイムより少し遅くなったかな。27番の往復は上り43分、下り36分とハイペースだったのに、山上でのロスが効いている。結局上に1時間40分もいたのだ。しかも足をつかってしまった。まだ先ははるか長いのに大丈夫かな。とにかく少し休みたい。開店前のプレハブお焼き屋の横の自販機にイスがあったので日向ではあるけれどコーラを飲んで休憩。チョコクロを1個食べる。
大山から伊尾木への防波堤歩道
終点の標識
その先、大山岬手前で国道は遍路地図にはない新しいトンネルへ。トンネル内には歩道がないので歩行者は旧道を行けと標識に記してある。旧道をのんびりいくとさらに岬の先をまわる遊歩道へ。大きな洞窟になっていて中にドライブインがある。今にも崩れそうだ。すぐ先の道の駅大山でまた休憩。お茶を買う。休んでばかりだ。ここからは防波堤上の歩道になる。眺めがよく歩きやすいけどさえぎるものがなく日がじりじりと照りつけてとにかく暑い。伊尾木駅を過ぎたあたりでこの先行き止まりの表示。下りて踏切をわたり55号線へもどる。ごめんなはり線は踏切あるんだな。国道に出るとすぐ左手にローソンその先すぐの右手にもローソン。近すぎないか。左手のやつにはいって昼食のパンを買う。ここは見覚えがある。駐車場のかたちとか。4年前の秋にレンタカーで奥祖谷から馬路へ向かう途中で寄ったところだ。しかしなつかしいな。また来ることになろうとは。座るところがないのでとりあえずザックにしまって歩き出すと右手のローソンにお遍路休み処とイスがあるのに気づく。車の間をぬって道を渡り、ありがたく利用させてもらうことにした。ここで昼食とする。しかしやはり日向で暑い。
伊尾木のローソンの休み処
旧安芸駅カリヨン広場
安芸川を渡って安芸市街地を旧道へ進む。シールにしたがって1回カギの手に折れて直進して出た開けたところがカリヨン広場。県交通の営業所がある。休憩所とトイレもある。自販機でゆずはちみつサイダーを買ってまた休憩。炭酸入りの方が10円高いけどおいしい。ここは旧安芸駅跡だった。昔来たときはまだあった趣のある木造旧駅舎は平成7年取り壊しだそうだ。あれがここだったのか。
ここから堤防上を少し歩いて旧線跡のサイクリングロードへ。とりあえずは歩きやすい。疲れてはいるけれど前日よりは歩けているし歩行ペースもそんなに落ちていない。足が慣れてきたかな。しかし休憩が多いのでこれでは16時着は無理っぽいな。16時半だな。予定に休憩時間を入れていないのが間違いだ。この暑さでは1時間ごとに休まないと歩けない。休憩時に面倒でも靴を脱ぐとすごくいいことを学習した。次の歩き出しが全然違う。なにごとも経験だ。テーピングも効果絶大で今のところマメはゼロ。
穴内の先で道が崩れて工事中とのことで赤野まで国道を歩けと迂回させられる。車が多くて歩きにくくうんざりする。歩道は山側にしかないが、渡るのも面倒なのでそのまま白線の外をたどる。大型トレーラーが轟音とともにすり抜ける。こわい。八流山の手前で工事中の誘導員から声をかけられる。歩きの注意かなと思ったら、この先の坂の上のレストランを越えたら自転車道通れますよ、とのこと。仕事と関係ないだろうになんて親切なんだろう。ありがとうございます。レストラン矢流まで上るとその先に遍路シールがあってほんとに自転車道へもどれた。
その少し先に車と共用の赤野休憩所がある。当然休む。駐車場にアイスクリンの屋台が出ていて、ああ高知だなと思う。愛想のないおばさんから買って四阿で食べる。250円。ミルクシャーベットみたいなものだけど、こんなだったかな。なんか思ったより淡白な感じ。進行方向琴が浜の砂浜がとてもきれいだ。高知の海岸は岩場も砂浜もとにかく美しい。風が強く、笠が飛ぶほど。日向で風が吹くと気持ちいいのだが。日陰にいると逆に寒い。空気が乾燥しているのだろう。
安芸から防波堤のサイクリングロード
赤野休憩所で琴ヶ浜とアイスクリン
赤野トンネルに入る奈半利行き快速5838D
廃線跡サイクリングロードのトンネル
芸西村にはいって右手に接待所がある。栗野映子とかいうやつかな。小屋にきれいな飾り付けがされているが無人。休んだばかりなので通過する。左手には海水健康プール。このへんは周囲に農家があってその裏庭のようなところを通過する。サイクリングロードなのに軽トラが後ろから走ってきたりしてびっくりする。許されてるのか。かと思えば軽トラの横のじいさんにこんにちはと声かけたら立ちション中だったり。西分の手前で小屋を連ねた萩森善根宿紹介所休憩所というのがあってじいさんが客待ち?していた。小屋にも十分泊まれそうにみえた。もうちょっとだなと思いだすと長い。看板に住吉荘とみえてよしと近づくと洋寿荘という老人施設でがっくりする。そこに休憩所があってそこから歩きの青年がよろよろ出てきたのに出くわす。少し話しながら歩く。野宿と善根宿でまわっている、いけるところまでいくつもり、今日は神峯寺のふもとからこの先の善根宿へ行く、いろいろな人がいておもしろい、ザックのストリングに宝号が見えるように白衣をたたんで入れるのはいいですね、ソーラーパネルつけて歩いている人もいました。それで扇風機回したらいいね、とウケたり。話しやすい人で楽しい。やっと芸西村を抜けて坂を下るとほんとうに看板が現れ分岐点へ。そこで彼と別れる。あとはすぐに着いた。
延々と続くサイクリングロード
やっと住吉荘、手前右が宿舎
客室
窓から太平洋
三叉路の手前右にそれっぽい建物があるが、看板は左の向かい側の建物にあがっていたのでそっちへはいる。すぐにおかみさんが出てきて、宿はあっちですと元の方へ。バケツに水と柄杓で杖を洗わせてくれる。スリッパが2足並んでいてもう1人くるという。階段を2階へ。6室あって手前左手へ。開放的なつくりで入口は3枚戸、ねじ錠はかかるけれど、そもそも玄関も無施錠だしセキュリティなんてあったものじゃない。窓からは海が見える。これまで奈半利以外は部屋からみんな海が見えた。廊下の突き当り右が洗面所。洗い場が2つでわりときれい。アメニティもそろっている。奥がトイレ。廊下突き当りの階段を降りた先が風呂になっている。脱衣所も風呂も狭いが、どうせ1人用だからいい。日焼けが痛くて湯に入るときに歯を食いしばる。重症だ。さっぱりしてガラガラと玄関を出て外の自販機にCCレモンとお茶を買いに行く。夕暮れが気持ちいい。CCレモンのうまいこと。こういう酸味飲料が飲みたかった。
18時に本館の2階で夕食。相客は未着なのでひとりで食べる。海の幸が豪華。豪華すぎて食べきれない。毎食完食が目標だけど、金目鯛頭焼き物とトコブシみたいな貝を残す。こういうのは想定外だが過食はよくないのでしかたがない。汗かいて水ばかり飲んでいるせいもあるかな。食べ終わってもう1人がやっと着いたことを知る。朝奈半利から来てだいぶお疲れのようでしたとおかみさんがいうので、ぼくも奈半利からですよといったら早いですねと驚いていた。ということでこの日はすれ違いで会っていない。尾崎の金髪青年も到着が遅くてすれ違いかけたし、こういうパターンは2度目。ぼくが早く着きすぎるのか。でも早く風呂に入って夕食までのんびりするのが至福の時間だからな。早立ち早着きが基本だし。
夕食
追加の潮汁
5.2015年6月7日(日) 夜須手結山~28番大日寺~30番善楽寺~文珠通=菜園場町
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
夜須手結山,717,,927,28番大日寺(11.1 km, 2:10),0:25
28番,953,,1206,29番国分寺(9.5 km, 2:13),0:45
29番,1251,,1428,30番善楽寺(8.2 km, 1:37),0:25
30番,1453,,1547,文珠通電停(4.1 km, 0:54)
文珠通,,,,菜園場町
夜須手結山~28番大日寺
朝5:20に起きる。今日も晴れ。中天に下弦の月がかかっているのを見て思いだした。星空を見るんだった。南が海で開けている最高のロケーションではないか。しかもこの時期なら南十字星の頭が見えたかも。それでなくても南天は見事だったろうな。おしいことをした。5:40に突っかけで外へ出る。海辺は風が気持ち良い。
朝の住吉湾
朝食
6時に本館へ。朝食は納豆がついていてびっくり。ごはん1膳にして完食。食べ始めたところへメガネの若い人が現れる。兵庫の人、週末ごとに2,3日ずつまわっている、今回は、バスで高知入りして1泊して始発で昨日奈半利から歩き始めた、今日は30番まで歩いて夜行バスで帰る、一回に60キロくらいしか歩けないので20回くらいかかる、2年くらいで回る。週末遍路か、兵庫だから近いとはいえ往復が大変だろうに。高知は修行の道場だから人情がきびしい、特に東側は三国参りの風習で遍路に冷たいといわれる、挨拶しても返事しない、道で行き合う手前でぷいと道をそれたりする。あるある、超ウケた。楽しい人だ。昨日の野宿君や金髪君もそうだけど、同年輩よりこういう若い人の方が話が合うな。教師やってるせいかな。ぼくはいくつくらいに見えてるんだろう。お先にと下へ降りて玄関でお勘定。あとは適当に出発してよいというオープンなシステム。おかみさんと、北海道からですか、布団はそのままにしておいてください、道はこの先は遠回りなので来た道を自転車道までもどったほうがいい、などと立ち話。
部屋に戻って支度しているうちに便意。完全排便。気持ちいい朝だ。歩き出すと体調は悪くないし、天気もいいのになぜかペースが上がらない。今日で終わりで急ぐ必要もないと思うから気合が入らない。今日のルートは都市近郊で入り組んでいるので注意深く地図を見ながら歩く。55号線を離れて内陸へ。左手に旅館かとりがある。鉄筋の大きな建物にびっくり。遍路宿といってもさまざまだ。大日寺手前の歩き道からはいって階段をのぼると駐車場からの車道に出る。団体が歩いている。今回団体とぶつかったのははじめてだ。
そういえば日曜日だ。大日寺という寺は4番、13番に続いて3カ所目だ。境内は狭く、本堂と大師堂のみ。先達が声を張り上げているのとかぶって読経がやりにくい。そうだそうだこういうことあるよなと思いだす。おまけに大師堂では団体さんがみんなロウソク、線香をあげるのでごった返し、待たされる。納経所で待たされたらいやだなと思ったらそっちは大丈夫だった。若い坊さんが楷書で納経。これは珍しい。
またサイクリングロードの続き
大日寺山門
本堂
大師堂
28番大日寺~29番国分寺
さて29番方面はどっちかな。遍路地図に拡大図があるがわかりにくく、結局車道を駐車場方向へ遠回り、といっても大した距離ではない。あとは細道をシールに従ってゆく。当初案のペースよりだいぶ遅れている。速く歩こうと思えば歩けるけど、まあいいやこんな日もあってもいいという気になる。微妙に細道を縫うルート。道にあふれそうなくらいたっぷりな水路の横を戸飯島橋へ。渡ったところの休憩所でもう休憩。その後もだらだらと歩く。右足の甲が痛い。靴ひもをきつく締めすぎているのだと気づく。足先の方がゆるいので甲のところできつく締めると歩いているうちに紐がずれて全体に均等にしまるようになる、という気でいたけれど、それにしても甲を締めすぎている。ためしに緩めに結んでみたらとても歩きやすかった。そうかきつく締めるだけが能ではないのだと学習した。ひょっとしてマラソンもそうなのではないか。足が靴の中で多少動いてもテーピングしてあるからマメになる気づかいはないし、いつも締めすぎだったのかも。
疲れたなあと歩いている途中、農作業のおっさんに挨拶しようとしたら向こうから声がかかった。お遍路さん、この先に休憩所ありますよ、そこが大日寺と国分寺の中間点です、と。そのとおり松本大師堂という休憩所があってありがたく休ませていただく。ネコ車にネギとネコ載せて押していたおっさんがお大師様の変身だったのではないかという気になる。近郊の農地の中なのでここまで自販機というものがない。その先の自動車工場前にやっと見つけてCCレモンを買えた。イスがないので手に持って飲みながら歩く。生き返った。土讃線の踏切にかかりちょうど高知行き単行DCが通過。JR線は海部以来だ。渡って元気よく国分寺へ。手前の川沿いの細道から寺の正面に出る。と、寺をでて先へ進むよろよろした若者が。あれ。昨日の野宿君じゃなかろうか。ぼくより先へ行って泊まったはずだから前を歩いていても不思議はない。いつものぼくのペースなら追いついていただろうけど、今日のペースでは無理だ。と思っているうちに行ってしまった。
国分寺への道
野田踏切で高知行き4231D
国分寺山門
本堂
大師堂
酒断地蔵尊
国分寺も15番に続いて2ケ所目だ。15番も大きかったがここも負けずに大きい。お堂がたくさんある。正面の本堂が茅葺きで風格があり立派だ。右手の奥まった先にある納経所は人気がなく、声をかけたら奥で頭の後ろで手組んで椅子にひっくり返っていたハゲ坊主が出てきた。寺は立派だが坊主がだらしないな。
29番国分寺~30番善楽寺
国分寺からの道がまた地図ではわかりにくい。正面を直進してあぜ道のようなところを行く。あとはシールにしたがってくねくねと細い道を歩く。疲れたころに休憩所があった。蒲原遍路小屋5番。こういう番号のついた遍路小屋があちこちにある。順に整備されているのだろう。細長い小屋だけど新しくてきれい。もちろん休む。元気なときは休憩所があっても通過してしまうけれど、今日は心折れてつい休んでしまう。気持ちは大きいな。ほどなく384号線へ出て少し上ると逢坂峠。ここから高知市にはいる。やっと高知だ。左手の墓地の事務所みたいなところの横に行けとシールがあり、よくみると階段で墓地へ下りられるようになっている。そこから墓地の中と続く民家の細道を抜けて先の街道に出て渡ると30番はすぐだ。道なりに左手の方へ行けばいいところをまっすぐ木の間を抜けたら参道に出た。おお着いたとみると立派な鳥居があってその先に社殿がある。ん、なんか違うのでは。これお寺じゃないじゃん。土佐一宮という神社だった。参道を左にすすんだ左側にお寺の入り口があってそれが30番だった。
山門がなくて開放的で広々としている。今回最後のお参り。納経所は珍しくスリムな若奥さん風の人。相変わらず愛想ないけど。歩き遍路っぽいおやじがいたので声をかけてみたけど、ここにくる道がわかりにくいという話ばかり。今日はこの先の宿へ行くだけとのこと。どうもおやじとは波長が合わないな、といってもぼくより若そうだけど。何か自分が年齢的に異界にいるみたいな気になる。
30番善楽寺~文珠通=菜園場町
ここも寺からどっちへ行くのかがわかりにくい。今回はなぜかみんなこうだ。門前のシャッターを降ろした店に竹林寺方面の矢印が貼ってあった。道に入ればあとはシールが要所要所にある。このあたりになると挨拶にちゃんと返してくれる人が多い。もう市街地にはいってきたのにわからないものだ。あとはどんどん南下して大きな通りからななめ道にはいるとすぐに線路が見えてそこが文殊通電停だった。今回はここで打ち止めだ。
折り返しの電車が待機している。そうかここは折り返し便があるんだな。写真を撮っているうちに電車が来たので走って飛び乗る。おかげでGPSの停止ボタンを押しそびれた。車内はがらがら。乗ると笠や杖がじゃまだ。電車は速い。すぐに菜園場町で、車窓からサウスブリーズホテルが見えた。16時過ぎにチェックイン。予定より1時間延だな。
今回の打ち止め、文珠通電停
チェックインしてまず乾杯
ここは小ぎれいでなかなかいいホテルだった。ただし展望大浴場は17時から。う~ん、先にシャワーで汗流すかなと思ったけど、荷物片付けたりなんやかやしているうちに時間になった。8階の大浴場を独り占め。相変わらず日焼けは痛いけど極楽極楽。さっぱりして部屋に戻り買っておいたスーパードライを開ける。ん~、うまいけど100点満点でいうと80点くらいかな。前回の徳島のホテルでもそうだったな。久々で汗かいた後なのにいまひとつ突き抜けたうまさを感じない。なんでだろう。でもまあやれやれだ。
着替えて外へ出る。ぶらぶら歩いてはりまや橋の司本店へ。18時前なのになんだか込んでいてカウンター席に通される。日曜日のせいかな。まあ込んでいるのはいいことだ。今回は自重して少し安い土佐定食にする。改めてビールで乾杯。なんだかな~。今日は朝からおかしかったな。昨日はあんなに頑張って歩いたのに、今日はプッツンしたみたい。これで終わりだと思ったらほんとうに終わってしまったみたい。ビールを3杯飲んで司を出て歩く。まだ薄明るい。気温もちょうどいい。心だけ沈んでいる。途中のファミマで朝食のパンと夜食のソバを買ってもどる。
またビール
土佐定食
通し打ちなんて現役のうちは絶対無理だ。たった5日で問題山積だもんな。メールは見ないと割り切れればいいけれど、そうもいかなくて。帰ったらあれもこれもかと憂鬱になる。帰りたくない。歩いている間は雑事を忘れられたかというとそうでもない。まったく何のために歩いてるんだか。回ってる若い人がうらやましいな。今朝の兵庫君は、香川くらいまで来ると先が見えてさびしくなって、終わった後も2周目にはいってのめり込んでしまう、ぼくもそうなると思います、と言ってたな。尾崎の金髪君、住吉手前の野宿君、兵庫君、そして善楽寺おやじ、話したのはこれだけか。オフシーズンなんだろうな。でも同宿者が気の合う人でよかった。春は満室になるくらい多いらしい。そういうのもちょっとなという気がする。などなど気がついたら寝落ちしていた。こんなことは初めてだ。
6.2015年6月8日(月) 高知=神戸=札幌
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
はりまや橋,,土佐電鉄,,高知駅
高知駅,1040,高知EXP,1434,三宮ターミナル
三宮,1440,ポートライナー,1458,神戸空港
神戸,1720,SKY175,1906,新千歳
はりまや橋=高知駅=神戸=札幌
朝7時起きというぜいたく。十分に寝た。それでも時間がありあまる。外はくもり。ほどなく雨が降り始める。そうひどい降りではないけれどどうやって出るかを考える。いっそポンチョを着て駅まで歩くか。笠でしのいで電車に乗るか。9:40にチェックアウト。雨が少し弱まったように見えたので笠のみにして出る。菜園場町電停で東方を見晴るかしても全然電車が来そうもないないのではりまや橋まで歩くことにする。しとしと降っているが笠で歩けないほどではない。すぐ電車がきて高知駅へ。ターミナルに荷物をおいてバスの時間までお土産を買ったりして時間つぶす。雨が強くなってきた。ラッキーだった。
バスは一番遠い8番乗り場。15人くらいか、結構乗っている。予約時に迷ったけど、乗ってみると1C席よりも断然1Aの方がよかったな、失敗した。3列シートで足載せがあって快適。冷房が効きすぎていて寒く一旦荷物室にしまったザックから薄手上衣を引っ張り出してひざ掛け替わりとする。愛想のない運転手。案内はテープガイドのみ。というかこれが標準なのだなきっと。山間部から池田あたりまでは雨は降ってないが、その後は降ったりやんだり。買っておいたパンで車内で軽い昼食。吉野川SA12:03-12:13、室津SA13:40-13:50と休憩が2か所ある。3回目にしてはじめて北神戸迂回でなく通常ルートで神戸へ。それでも20分早着した。
ミントのターミナルから上に上がってすぐにポートライナーへ。神戸空港で笠を風呂敷に包む。まだ2時間以上あったけれどチェックインがはじまっていたので荷物を預ける。また自動チェックイン機から荷物タグがずらずら。X線検査の後カウンターへ。杖はそのまま、笠もそのまま通過。長さ制限が撤廃されて超過料金がかからなくなったそうだ。身軽になってまた3階の神戸キッチンへ。カレーオムライスシーザーサラダプレート。サラダはよかったけどカレーオムがいまひとつだった。もちろんビール。千歳行きは定時。空いている。機内でも薄手上衣をひざ掛けにする。やはり1枚はおるものがないと寒い。9分早着。