第4期 2015年10月24日(土)~27 日(火)
文殊通~第31番竹林寺~第37番岩本寺~土佐入野駅 142.1 km (累計 494.6 km)
0.出発まで
1.2015年10月22日(木)札幌=神戸=高知
2.2015年10月24日(土)はりまや橋=文珠通~31番竹林寺~35番清瀧寺~長谷寄通=堺町
3.2015年10月25日(日)高知駅=長谷寄通~36番青龍寺~須崎
4.2015年10月26日(月)須崎~37番岩本寺~黒潮拳の川
5.2015年10月27日(火)黒潮拳の川~土佐入野駅=高知
6.2015年10月28日(水)高知=神戸=札幌
0.出発まで
今回は昨秋同様高知出張に引き続いての再開。前回ちょうど高知市内で終わっているので都合がよい。秋の部は出張荷物を預ける関係で2泊3日で出発点に戻ってこなければならないという制約がある。となると初日に高知駅に荷物を預けて3日目に37番岩本寺まで打って窪川からもどるというのが順当なところだ。が、次の回を考えるともう少し進んでおきたいところだけどなと考えて、ひらめいた。初日は高知市内の札所をめぐってお隣の土佐市高岡泊まりになるが、高岡営業所からは高知市内行きのバスがあって30分くらいで高知へ戻ってこられる。つまり初日は高知のホテルに荷物をおいてまわり、バスでもどって翌朝高知駅に荷物を預けてバスで高岡へ行けば1日余分に使えるではないか。それなら窪川なんかに泊まらないで、少しがんばって足を延ばせば黒潮町拳ノ川に土佐佐賀温泉こぶしのさとというよさげな温泉宿泊施設があるからそこへ泊まろう。翌日はほぼくろしお鉄道線に沿って歩くので適当な駅から高知へもどることにすれば便利だ。中村まで行ってしまうと足摺へのコースからはずれるので、手前の土佐入野あたりがいいところかな。というわけで行程が決まった。
高知のホテルはもう定宿となったツーリストインを確保。本当は前回気に入ったサウスブリーズホテルにしようかなと思ったのだがなぜか週末が満室でとれなかった。次の日は須崎泊まりだが、その翌日にこぶしのさとまで行くと45キロ近いうえに峠越えがあるので、よほど朝早く出なければならないことを考えてビジネスホテルに素泊まりすることにする。楽天で扱っているホテルは1軒しかなく、細長い市街の手前にあるのが難点。翌日の行程を考えるとできるだけ先の方まで進んで泊まりたいので、遍路地図にある小さなホテルのうち、ビジネスホテルさつきに1週間ほど前に電話して予約。黒潮町拳ノ川のこぶしのさとは8室と小さいうえに秋の行楽シーズンなので用心してネット予約開始の2カ月前にすでに確保してある。肝心の高知への行き帰りは、時間はかかるけどコスパのいい神戸空港経由としてチケットを押さえた。なんと帰りのSKY便は5200円という破格。出張も含めて木曜出水曜帰の6泊7日の長丁場となった。
1.2015年10月22日(木) 札幌=神戸=高知
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
千歳,900,ADO116,1055,神戸
神戸空港,1115,ポートライナー,1133,三宮
三宮ターミナル,1220,高知EXP,1640,高知駅
札幌=神戸=高知駅
朝6時に起きる。7時過ぎに車で出発。結構車が込んでいて8:15過ぎに空港到着。すぐにAIRDOカウンターでチェックインして荷物を預ける。長尺物があるので13番でとかいわれたけどX線検査のあとの目の前のカウンターでここでいいですということに。このままでいいですか、いいです、と3点預ける。だけど神戸で出てきたときに笠はビニルにくるまれていた。杖はそのまま。壊れ物のタグつき。神戸行きはほぼ満席。10:55定時に到着。
神戸はくもり。11:05には荷物を受け取れて、11:07のポートライナーはタッチの差で間に合わず11:15になった。それでも余裕だ。空港の荷物引き取り所で笠をもって待ってるおやじがいる。そういえば飛行機で前の席に座っていた人だ。箱入りの杖が出てきてとっていた。なんでおやじのだけ箱入りなんだ。この人三宮ミントのバス乗り場にもいたが、どこへ行ったんだろう。三宮に着いてエスカレータを下りたJR高架下にセブンイレブンがあり、昼食のパンとお茶を買う。ミントのバス乗り場は相変わらず込んでいる。なんとか空席に座ってパンを食べる。まだ時間は30分もある。
発車案内
シートの説明表示
高知行きのバスに乗るのは初めてだ。ここが始発ではなく大阪からくるバスは高速が込んでいて遅延。7分遅れて12:21発車。大阪からの客は1C席の女性のみ。三宮で2人乗車。国交省の乗客流動アンケートを渡される。3列シートの1A席はやはり最上だ。各席コンセント付き。舞子で4人乗車。舞子発車後に案内放送。JRバスだけど去年の高松便に比べて簡素だ。あれが特別だったのか。室津13:11-13:20、吉野川15:09-15:19と休憩、全体に10分遅れで運行。高松道が通れないとかで鳴門で高速を一旦降りて徳島道へはいる。4時間は長く、さすがに退屈する。インター南1名、高知駅5名下車。4か月ぶりの高知に到着。南国の生暖かい空気だ。駅のセブンイレブンで夕食を調達し、歩いてツーリストインへ。17:30からの風呂にいったらもう4人もいて上がる人も。何時からやってるんだ。18時に夕食。時間を持て余して20時過ぎには就寝。
2.2015年10月24日(土) はりまや橋=文珠通~31番竹林寺~35番清瀧寺~長谷寄通=堺町
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
はりまや橋,623,土佐電鉄,636,文珠通
文珠通電停,640,,709,31番竹林寺(2.6 km, 0:29),0:27
31番,736,,846,32番禅師峰寺(5.7 km, 1:10),0:28
32番,914,,1108,33番雪渓寺(9.7 km, 1:54),0:28
33番,1136,,1244,34番種間寺(6.8 km, 1:08),0:36
34番,1320,,1502,35番清瀧寺(9.6 km, 1:42),0:23
35番,1525,,1604,長谷寄通バス停,(3.3 km, 0:39)
長谷寄通,1629,バス,1708,堺町
はりまや橋=文珠通~31番竹林寺
朝5時に起きる。よく寝た。ただしなんか動き出すのが面倒な気がする。どうも今回はおかしい。さあ行くぞという気にならない。観念して出かけるという感じ。携行食に買ってあった黒糖ロールを1個食べる。朝のトイレは気配もなし。6時に外へ出る。フロントは無人だ。外はもうかなり明るい。Tシャツ短パンの上に白衣を着て出たが、少し涼しい。はりまや橋への途中、飲み屋街で酔客が店から出てきて大声で騒いでいる。土曜の朝だからな。元気なことだ。はりまや橋西の電停で電車を待っていると、桟橋方向から左折して伊野方面行きがきた。回送ではなく営業電車。高知駅~県庁間だけでなくこちら側の単線渡り線も営業しているとは知らなかった。後免行きの始発電車は定時に来た。結構客が乗っている。途中の乗り降りも結構ある。文殊通でですかにチャージしてから降りる。2回タッチが必要。
文珠通電停
絶海池の日の出
文珠通電停に4か月ぶりにもどってきた。いつもながら時計が巻きもどる。写真を撮って第4回目のスタート。電停横の道を南進したら地図より一本西寄りだったようですぐにつきあたる。左折して大きな道に出て右折。絶海池というたいそうな名の川を渡る。ちょうど日が昇るところだ。シールに沿って左折し、その先の地図にある角の酒屋が閉まっていて目立たなく、細道への右折をあやうく見落とすところだった。ここからは狭い路地にはいり、すぐに五台山への上り道になる。左側が狭い斜面のミカン畑で何と登山路と平行してモノレールが敷かれていた。
竹林寺への細い路地
上り口にミカン山モノレールが
上りにかかると汗ばむくらい。ほどなく植物園内へはいり込む。柵も何もなく突然出る感じ。表示に沿って右手に行くとあとは園内のメーンストリートに出る。開園前なので誰もいない。園内に遍路道表示は少なく、左手が開けている中を右方へ回り込む感じなのがなんか逆方向な気がしてちょっと不安になる。やがて左前方に五重塔が見えてきて安心する。五台山を南側から時計回りに巻いているのだ。正面ゲートに到着。当然閉まっている。遍路用に案内があって、右手のトイレの横の狭いところを通って階段を数段上ると扉がありそこから道路へ出られた。植物園正門と向かい合うように竹林寺の山門が立って石段になっている。昔来たはずだが全然記憶がない。お寺は朝早い参拝者がいる。遍路らしき人はいない。石段を上って右手に本堂。久しぶりにお参り。五重塔は再建日をみたら前回来た学生時代にはなかったかも。40年近く前だからな。納経所は石段を下りた左手で、朝早いと人がいないといううわさを聞いていたが、ちゃんとおばさんがでてきて無愛想ながら応対してくれた。
31番竹林寺~32番禅師峰寺
門前交差点の横に細い下り口があってそこから一気に急坂を下る。下りの方が歩きにくく、杖で支えて慎重に下る。すぐに下界に出てあとは地図通りに橋を渡って左折、堤防の道へ。通学生が自転車でやってくる。挨拶しようかな、しそびれる。市街地は難しい。車も時折くる。狭いけれど通勤時なので向かってくる車ばかりで逆方向の車は来ない。川から離れてさらに東進。前を行く散歩らしき人。追いつきそうになったところで左方へ行ってしまう。右折してその先に短い石土トンネルがあり、そこを抜けると石土池に突き当たる。雨がないせいか水が少ない。釣りしてるのかボートが浮かんでいる。休憩所があり、地元のおっさんが休んでいる。おはようございますと声をかけると、峰寺はこっち行って突き当りに標識があるよ、今日は雪蹊寺、種間寺越えて高岡くらいまでやね、とかなかなか詳しい。言われた通り突き当りを左折、すぐのトンネル手前で右手の細道にはいる。ちょうど峰寺通のバス停がある。ぐるっと回ってトンネルの真上にきたあたりに歩きの登り口。花の写真を撮っていたら、ミニバイクの遍路が車道を上って行った。そこから山道になる。大したことはないが気温が上がって暑く息が切れる。しかも空腹だ。
山門に到着、石段を上る。右手に本堂と大師堂、左手は眺めのいいベンチ。低いとはいえ海際の山上なので太平洋が一望だ。お参りの後、最後の黒糖パンを1個食べ、暑いので白衣をぬぐ。例によって畳んでくくり紐にはさむ。笠もかぶる。そろそろ遍路らしい人がちらほらお参りしている。歩きの人はいない。石段を下りて左奥の納経所はここも愛想のないおやじだった。
32番禅師峰寺~33番雪渓寺
また山道を下ってもどると登り口で大ザック重装備のおっさんが休んでいた。野宿遍路だろうか。おはようございます、すごいですねえと思わず声をかけるとニコニコ笑っていた。バス停の方へは行かず1本海側の道へ。昨日の朝、仕事前にここまで歩くという案もあって、今だいたい9:20くらいだからもし来たとしても9:33のバスには余裕で間に合った。ここから浦戸大橋までは平行して何本か道がありどれをとっても大差ない。一番山側の歩き道を行く。なぜか右膝が痛みだす。時折走った後違和感があって消炎薬を塗ったりしていたところ。いやな感じだ。今回薬はもってきてないしな。まだ始まったばかりなのに。かばいながらぎくしゃくと歩く。そのうちに症状はおさまって、その後はほとんど問題なかった。橋に近づくとしだいに便意を催してきた。このあたりは何軒かコンビニがあるので心強い。三里支所近くのファミマにはいって用をたす、ついでに昼食のハムカツサンドとチョコクロ、カフェラテを購入。
そこから広い道を海側へ出て橋への道路を右折。車の通行量が多い。ほどなく浦戸大橋にかかる。両側に一段高い歩道はあるものの信じられないくらい狭い。車道側にガードレールがないので通過する車がすぐ脇をすりぬけてめちゃ恐い。トラックもどんどん来るしこれはヘタなトンネルよりよほど恐い。左側の歩道を自転車を押して歩く若者がいるが、よく自転車押して歩けるなというくらいの狭さだ。右側歩道を慎重に通過。右手は浦戸湾だが屈曲しているので湾奥は見えない。頂上を経て下りにかかる。さっきの自転車の若者が車道をスーッと走り抜ける。
浦戸大橋にかかる
狭い歩道
橋の中間から浦戸湾
反対側は土佐湾口
渡り終えたところに右手に下る歩道がある。細い道を降りるとT字路に突き当り、狭いところにおばあちゃんが座っている。雪蹊寺に行くなら左へ行って道に沿って行けば一番わかりやすいよ、と道案内してくれる。遍路地図では右折して湾岸をうねうね行くはずで、そっちへ行こうと思っていたが、いやこっちに行きますとも言いづらく、心ならずも左に行くことになった。確かにわかりやすくはあるし距離もそう変わらないからいいが、町中だから歩くにはつまらない。そうはいっても遍路道をはずれているのでシールや標識はなく、分岐路も多いのでスマホの地図を確認しながら慎重に歩く。英光民宿を過ぎて南海中の角を右折、川沿いの順路に復帰して橋を渡ると正面が雪蹊寺だった。
門柱のみで山門がなく開放的だ。本堂は大きくて立派。車遍路がたくさん来ている。境内には果物売りの出店が出ている。お参りした後、台に腰かけて昼食とする。ハムカツサンドはキャベツ入りでなかなかいける。しかしチョコクロはよけいだった。習慣でつい買ってしまったが、普段でも結構ヘビーなのに、お遍路中はきつかった。普通に歩いているつもりだが予定より少しずつ遅れ気味。このあたりは札所が多いのでキロ12分計算だから、ちょっとロスすると遅れてしまう。
33番雪渓寺~34番種間寺
寺を出て種間寺方向へ右に出ようとしたところで、お茶お接待しますと車遍路のおばちゃんが500のペットボトルをくれた。久々のお接待。ありがとうございます。お茶は何よりだ。道なりに34番へ向かう。道路工事中のところから細道にはいってりっぱな春野保育園を左折。山あいを上って下ると諸木にはいる。対向車線をレース用車いすで懸命に登ってくる人。思わず、こんにちは頑張ってください、と声をかける。向こうは、あ、という感じだったけど、苦しい上りの最中に声かけて悪かった。遍路地図で右手に折れるところを見落として諸木郵便局まで行ってしまい右折。距離はそれほど変わらない。ところでまた便意が。このあたりには何もない。急場というほどではないけれどじわじわとくる。う~む、種間寺までもつだろうか。あと2キロくらいかな。種間寺へつながる県道へ出てひたすら急ぐ。初回のときの安楽寺前を思えばまだ大丈夫だ、だけどお寺にトイレあるだろうな。
どうにか広々と開けた種間寺前に到着。入口右手が広い駐車場でその手前にトイレがあった。やれやれ助かった。荷物を降ろして駆け込む。男女共用で個室が並ぶ。トレペもある。同行二人、お大師様がちゃんと助けてくれることになっている。境内はここも車遍路でにぎわっている。入口前に座っている外人4人連れ。お遍路してるのかな。本堂はまっすぐはいっていった右側で、そのあたりは意外と狭い。納経所はおばさん。応対はまあふつう。出たところへ、ぞろぞろと団体遍路が来た。今回団体に会うのは初めてだ。すれ違いでよかった。先達らしき人に総持寺と書いてあった。鶴見からきたのだろうか。とにかく暑く、汗がしたたる。出口にいたアイスクリン屋で各種ある中からゆずを買ってベンチで食べる。高知の味だ。自転車遍路が走り去って行った。歩きの人は相変わらずいない。
種間寺駐車場横のありがたいトイレ
入口
本堂
大師堂
34番種間寺~35番清瀧寺
次の35番までは10キロ近くある。脚がかなり疲れてきた。初日のせいか、暑さのせいか、トシのせいか、たぶん全部だろう。頑張って歩く。今日はこのあと一旦高知へ帰らねばならない。バスの時間が決まっているので遅れたくない。残りの時間を計算する。まるでウルトラの終盤だ(笑)。途中の自販機でコーラとCCレモンを迷ってコーラを買い、飲みながら歩く。やがて仁淀川の脇に出て一旦国道の下をくぐった先で堤防に上がり、もどって国道の歩道に出る。長大な仁淀川大橋にかかる。歩いても歩いてもしばらくは水面に出ない。高岡側に本流が流れている。しかし信じられないくらい清い。橋の上から水底がキラキラと透けて見える。四万十川といいこの仁淀川といい高知の川のなんと清冽なことか。
渡り終わって右岸堤防へ右折。しばらく歩いて左手に降り、土佐市高岡市街地へ。市街地はどの道を歩いても大差ないのでわかりやすい56号線を歩く。そういえば徳島から海岸伝いにはずっと55号線を歩いてきたが、いつのまにか56号線になっている。高知で変わったのだろう。いずれにしても幹線道路なので車が多い。35番への分岐を右に折れて細道を標識にそって歩く。この先は打戻りになるので、ちょっとだけ歩いてみましたという軽い感じの遍路姿女性とすれ違う。高速の下をくぐって細い道の上りになる。一車線がやっとで車が来ると止まってよけなければならないくらい。普通の車でも腹立たしいが、遍路ツアーのマイクロバスが3台も続けてきて余計に腹立たしい。なんとあの総持寺の連中だ。それにしちゃ遅くないか。どこほっつき歩いてたんだか。立ち止まって通してやっても遍路バスはありがとうでもなくふんぞり返っている。地元の車は無言で通り過ぎる。レンタカーはすみませんと挨拶してくれる。大阪ナンバーの車もちゃんとおじぎして通る。高知の人はまあいい。きっと狭い道をいつも通っているので譲り譲られが日常化しているのだろう。でも遍路バスがそれではいかんだろうよ、などと思うのは修行が足りてないのかね。途中から左手に歩道が分かれて歩きやすくなる。やや急な道を1回車道を横切って石段を上ると狭い境内に出る。
なんと境内が駐車スペースになっていて、本堂の前にマイクロバスが並んでいる。山の斜面で場所がないからといってなんということだ。切幡寺みたいに下の方に駐車場をつくってそこから歩いて登らせればよいのだ。本堂前では件の総持寺団体が大声をあげて読経している。個人遍路は脇をすり抜けて参拝しなければならない。これだから団体シーズンはいやだなあ。荷物置く場所すらままならない。しかも狭い境内なのに納経所が見当たらない。バスの運ちゃんにきいて右手の奥に見つける。矍鑠としたじいさんが端坐して書いてくれる。傍若無人な団体を一喝してくれないものかと思う。
35番清瀧寺~長谷寄通=堺町
また坂を下りて高岡市街へもどる。バス通りに出て20分前には長谷寄通バス停に到着。ここの交差点が次の36番への分岐なので、今日はここで終了だ。目の前のファミマでホワイトサイダーを買う。さすがに夕方で涼しくなってきたけれど、半袖で十分だ。向かいのビジネスホテルにコンビニ袋をもった白衣おやじが向かう。ここに泊まれれば楽だけれど、荷物の関係でそうはいかないのが残念。
長谷寄通バス停
16:25の県庁前行きバスが定時にきた。これに乗ってもよさそうだけど少し遠回りの経路なので予定の16:30を待つことにする。こちらは少し遅れて来た。がらがらだ。座ると目の前に荷物台があってリュックを置けたので楽だ。ただし座面が低くて窓外が見にくい。ほとんど乗り降りはなくどんどん進むので途中のバス停で時間調整している。案内放送は「運賃区界です」ばかり。高知市内にはいってすこしずつ客が増え、堺町には10分遅れくらいで到着した。都会だなあと思う。途中の電車通りのローソンで幕の内と小アンパン5個入りを買う。今夜はお遍路中なのでノンアルコール。お茶が十分うまい。
3.2015年10月25日(日) 高知駅=長谷寄通~36番青龍寺~須崎
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
高知駅,652,バス,734,長谷寄通
長谷寄通バス停,738,,930,36番青龍寺(10.1 km, 1:52),0:25
36番,955,,1537,須崎(25.1 km, 5:42)
高知駅=長谷寄通~36番青龍寺
ベッドに入ると脚も体中も疲れていてこんなんで明日歩けるのだろうかと不安になる。しかも疲れているはずなのになかなか寝つけない。遍路旅の夜は不思議だ。精神的に高ぶっているのだろうか。それでもいつのまにか寝入って朝になる。ちゃんと5時前に目覚め、スヌーズで5時半に起きる。今日は昨朝より少し余裕がある。パッキングは昨夜中にほぼ終わってるし。朝食にアンパン1個。朝のトイレはなし。6:15過ぎに出ようとして忘れ物のチェック。ポットのかげにGPS充電ケーブルを発見。あぶないところだった。エレベータを下りると例のばあちゃんがもう朝食待ちしている。この人住んでるんだなほんとに。形ばかりのチェックアウトをして、キャリーバッグをころがして駅へ。昨日と同じTシャツ短パンに白衣。駅のコンビニはやっているが銘品館は8時からだった。がらがらのコインロッカーに荷物を収納。駅前バスターミナルも待合室は開いていたがカウンターは6:40からとのことでシャッターが閉まっている。空港バスを待つ客が出入りする。座って待つうちにシャッターが開く。高岡方面行きは出てすぐの1番から。6:45の宇佐行きの後に6:52のゆすはら行きが定時に来る。これが長谷寄通への始発バスだ。先客は1人だけ。途中で何人か乗ってくるが下車客はまったくなくぼくが最初。途中はまた「運賃が変わります、運賃区界です」ばかり。残額を考えて、ですかにチャージはせずに現金で乗ることにする。長谷寄通到着。
朝の長谷寄通バス停
塚地峠上り口
塚地坂トンネル
抜けると宇佐湾
道路を渡ってファミマで用心のためにお金を下ろし、昼食のパンも買う。今回はミックスサンドとカフェラテだけにしておいた。ここから2日目の出発。もう7時半過ぎなので明るく暖かいが、風が昨日よりあって背中の笠があおられる。顎紐をザックの持ち手の輪にからめてあるだけなので動きやすい。もう少ししっかり固定する方法がないものかな。長谷寄通交差点から南下、水路に沿って歩く。右折して宇佐への街道へ。途中に塚地峠があって、トンネルの手前の立派な小公園から峠越えの遍路道が分かれている。そっちへ行ってもいいんだけど、朝から峠の上りはおっくうだな。塚地坂トンネルはちゃんと歩道が分かれていて歩きやすそうだしと考えて、トンネルを歩くことにした。朝だから元気なはずなのにどうもこの日はおかしかった。足が痛いとか疲労が残っているとかの自覚は全然ないのだけど。遍路地図のスリーエフは例によってローソンに変わっている。明るい宇佐漁港に出る。右に曲がると前方に宇佐大橋が見えてくる。橋の手前で向こうから遍路らしきおっさんが歩いてくる。おはようございますとすれ違ったけどどこへ行くんだろう。打戻りの方向じゃないし。宿に荷物おいて36番往復でもしたのだろうか。
取りつきから橋へ。ここはちゃんとした幅の歩道があって安心。ただし背中の笠が風にあおられるので押さえながら歩く。右手の浦ノ内湾、左手の太平洋、いずれもよい景色だ。おだやかないいところだ。渡った先の海岸沿いの公園でサッカー練習をする少年たち。それを見ている親たち。どこも変わらない。竜の浜(ドラゴンビーチ)というらしい。その先に立派なトイレと広い駐車場がある。しかし自販機のひとつもないのはなぜだ。三陽荘という大きな旅館に一歩一歩堂のマイクロバスが止まっていた。その先を右に入ってあとは表示に沿って山すそを行くと36番の石段上り口に到着した。土ほこりっぽい駐車場横の狭いところだ。
宇佐大橋遠望
宇佐大橋から右手の浦ノ内湾
左手宇佐湾
青龍寺の石段
境内へ続く
本堂
大師堂
一気に石段を上って境内へ。せまい境内は遍路客でにぎわっている。歩き遍路らしい人は相変わらずいない。風があるので線香が点けずらい。上に納経所はなく、石段を下りた右手のお守り売り場の横の小屋みたいなところだった。どこも納経所は立派なのにこんな質素なのも珍しい。仮屋なのかな。品のいいおばさんがていねいに応対してくれる。先客は境内で見かけて歩きかなと思った人だけれどバイク遍路だった。
36番青龍寺~須崎
ここから道は分かれる。半島上の横浪スカイラインを行くか、宇佐大橋までもどって内海沿いを行くか。前者のほうが少し距離は短いけれど、スカイラインの車道歩きでややアップダウンがある。後者はほぼ平坦でおだやかな湾内をうねうね歩く。最初は打戻りがどうも気に入らないし短いスカイラインを行こうかなと思っていたが、なんとなく元の道を歩き出してしまい、結局は大橋へ戻ることになった。ただ同じ道でも帰りは早く感じるのが救いだ。腹が減ってきたので、竜の浜公園のベンチで早い昼食とする。目の前の浜でおっさんが袋に砂をつめている。何やってるんだろうと見ていたら、砂袋を4つも5つも車に積んでいった。勝手に取ってもいいのだろうか。ここで白衣を脱いで例によってザックにくくりつける。
宇佐大橋を再度渡ってこんどは左折する。少し行くともう須崎市との市境で、その先がバスの終点の転回場所になっていた。ここからは湾曲する内海に沿ってひたすら歩く。今日も暑い。市域は広くまだまだ目的の市中心部は遠いけれど、もういやになってきた。膝は大丈夫だが脚全体が重い。ザックで肩も痛い。しんどい。おだやかな内海の景色がきれいで歩きやすいのだけが救いだ。灰方の商店前の自販機でもう休憩する。細長い湾の対岸はほんとにすぐで渡し場も何ヵ所かある。釣り船ならぬ釣り筏の宣伝があちこちにある。ほんとに小屋掛けした大きな筏が浮いていて釣り糸を垂れる人がいる。おだやかでほとんど波がないのであれでいいんだろう。黙々と歩く。まわりに遍路はおろか人がいない。ロードレーサーで通り過ぎる人。しばらく行くと向こうからもどってくる。また追い越される。行ったり来たり練習してるんだろうか、それにしちゃ変だな。そのうち、こんにちはと声をかけられる。いや、あれは違う人だ。練習会かなんかで数人が一定間隔で走っているということなのかもしれない。
須崎市域にはいる
灰方の商店
今日も暑い
おだやかな浦ノ内湾
釣り筏の看板
釣り筏
内海に突き出た岬の付け根を越える小さな峠が2ヶ所。最初のは小さく、二つ目はやや大きくて頂上に浦ノ内トンネルがある。歩道は分離してないけれどだいたい車などほとんどこない。そこから海辺へ降りて歩いているうちに今日の便意がきた。トイレがありそうな横浪集落はまだ2キロ先だ。昨日と同じでそれほど切迫してはいないけれど不快だ。いざとなったら右手の藪の中に駆け込む手があるかな。なんとか横浪にたどりついたらすぐにヤマザキショップがあって、店構えは小さいながらトイレがちゃんとあった。中のおばちゃんに声をかけて借りる。洋式シャワートイレには感謝。何か買い物をとCCレモンを買う。しかしおばちゃんはうんでもすんでもなく無愛想。まあ使わせてくれただけでもありがたいとしよう。
浦ノ内トンネル
外へ出て近くの鳥居の根元の石段に腰かけて休憩する。アンパンを1個食べる。その先を少し行くとスカイラインから来る道と合流し、坂を上った先に鳥坂トンネルがある。車がそこそこ通るのに歩道が分離してないので、今回から新調した単三マグライトの点滅機能を使ってみる。効果は絶大で対向車がびっくりしてよける。これはいい。坂を下ってまた休みたいなと思ったところに17番遍路小屋があり、なんと先客がいた。白いちょび髭おやじ、今回初めてのちゃんとした歩き遍路だ。通し打ちしている、歩き遍路はほとんどいない、車ばかり、車なら速いのに同じ道を歩いてるなんて物好きだよね、須崎はどこに泊まるんですか、そこはいくら、今朝青龍寺で運転手に聞いてビジネスホテルに何ヵ所か電話したけどどこも出ない、朝なのにね、しかたないので唯一応対のあったプリンスホテルに泊まる、などなど。60代半ばで定年後というところかな。なかなか気さくでおもしろいおやじだった。同年代でこんなに会話がはずむのはめずらしい。お先にと出る。話して少し気分が軽くなった。
須崎市街地が近づいて、左手に大きな住友大阪セメント工場が威容をあらわしている。その前で川を渡って正門前を右に折れ、川沿いに歩いて河口を渡ったところを左折する。左手は細長い湾になっている。小山の手前の入り組んだところで土讃線の踏切を渡る。ちょうど上り普通列車が通過したところ。2連がらがら。どこもローカル線は大変だな。山をかわして街道に出て左折し、あとは町中を道なりに歩くだけ。山をトンネルで抜けてくる56号線と交差するところの歩行者用の信号待ちがえらく長く待たされる。さつきの看板がみえてくる。15:40くらいに到着した。
鳥坂トンネル
住友大阪セメント
須崎港
ビジネスホテルさつき
はいるとすぐに狭いフロントで正面がエレベータ。フロントに電話でよんでくれと書いてあったので受話器をとって話すとエレベータが3階から降りてきて、予約電話のときの物静かなおばちゃんが受け付けてくれた。5階505室。建物の角が斜めにきれている方の角部屋なので三角形に近い台形で小さい窓が短辺にしかなく薄暗い。しかし十分広く、パンチ敷きで靴を脱いで上がれるので居住性はよい。冷蔵庫があり、トイレはシャワートイレ。風呂は洗い場つきのユニットバスと設備は完備している。ソファがあって倒れ込むと起き上がれない。いやー疲れた。なんでこんなに疲れてるんだろうという感じ。夕飯どうするかな。面倒くさいが食べないわけにはいかない。とりあえずブログでみた近くのスーパーというのにいってみることにする。
半袖短パンのまま外に出る。午後も遅くなると少し涼しい。なにか羽織って出るんだった。なるほどショッピングセンターがあって一角にレストランコーナーがあった。半端な時間で誰も客はいないけれどちゃんと食べられた。メニューはあまりなく、鍋焼きラーメンもあったけど、さすがにこんな店ではなと敬遠し、おとなしくエビフライカレーとする。カレーはいまひとつだけどサラダやスープがついてまあまあ。スーパーでお茶とコーラを買ってもどる。ペット2本で190円、さすがスーパー。フロントでキャリーバッグ引いた若いビジネスマン風がチェックイン中。へえ普通のお客いるんだな。横を抜けて部屋へもどる。風呂にお湯を張ってはいる。なかなか快適だ。洗い場があるけれどイスがないので浴槽に腰をかけて洗う。それでもホテルのユニットバスよりよほどいい。今日は疲れたな。予定より30分くらい早くは着いたけど。今日は札所1ヶ所だけなのでペース計算はキロ13.5分とかなりゆるくしてある。このくらいが予定を立てるのに適正な感じではある。しかし今日がこんなでは今日よりも10キロ近く長く峠登りもある明日が不安だ。夜は肌寒く、エアコンを暖房にしていれる。明朝は9 ℃まで下がるという予報だ。
近くのスーパー
夕食
4.2015年10月26日(月) 須崎~37番岩本寺~黒潮拳の川
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
須崎,559,,1243,37番岩本寺(32.8 km, 6:44),0:32
37番,1315,,1527, 黒潮拳の川(10.3 km, 2:12)
須崎~37番岩本寺
ベッドは寝心地がよく、疲れていたけれど普通に寝られた。朝はまた5時起き。まだ真っ暗で寒い。気温は予報通り9 ℃、また暖房を入れる。今朝はさすがに半袖では寒かろうと長袖長ズボンを出してフル装備とする。朝食にアンパンを1個。朝のトイレなし。せっかくのシャワートイレなのに残念だ。外が白むまではさすがに出る気にならず、結局6時に出発。無人のフロントに鍵をおく。
外はやっと明るくなってきた。寒い。街道を南下するとすぐにトンネルがある。歩道があるのかな。まっすぐ抜けるか迂回路をいくか迷う。迂回路方向へ行きかけて、遠回りはいやだと気が変わりトンネルへ、とすぐ右手に人道トンネルが別にあった。それを早く言ってよね、迷って損した。まあ市街地だからな。出ると右手に立派な24時間営業のファミレスジョイフル。えーこんなのあるんなら昨日ここに来ればよかった。左手にはスーパー、その向かいにBHマルトミがある。こっちに泊まればよかったかな。
歩いていると前から来たおやじが、一晩中歩いてるんですかと聞く、まさか。角谷、久保宇津、安和とトンネルを3つ抜けて安和へ。いずれも歩道が分離してなくてマグライト点滅して歩く。
日の出前の出発
角谷トンネル
トンネル内の歩道
土佐湾の夜明け
久保宇津トンネル
土讃線をオーバークロス
安和の海岸
安和トンネル
安和に着くころには日が昇って気温も上がり、さすがに長袖上下では暑い。上はともかく下は短パンに履き替えようかな。適当な場所はとさがして左手土手上の無人の安和駅のホームにある待合所に行くことにする。海岸を向いた片面ホームにきれいな木製ベンチと屋根がかかっている。長ズボンを脱いで短パンに履き替えたところに、おはようございます、と声がかかってびっくり。お遍路のおばちゃんだったので二度びっくり。お遍路がわざわざ立ち寄るところではないのに。ズボンを履き替えた後でよかった。ここは青龍寺と岩本寺のちょうど中間だからここに泊まった、この先はどこを歩くんですか、いや焼坂峠じゃなくてその先、大坂路は今通れないでしょ、そえみみず遍路道を歩くつもり、とのこと。このへんの民宿でも新しい情報きてないのかな。大坂路は今だけ通れるんですよ、と言いそびれた。教えてあげればよかった。下は着替えたけど上はどうするか決めてないうちにおばちゃんと会話になってしまったので、つい上も脱いでTシャツになってしまって、お先にと出る。少し行ったところで、杖忘れましたよと追いかけられる。しまった、なんと。よく話にはきくけれど、自分ではこれまで杖を忘れたことはなかった。よほどあわててたのか。恥ずかしい。
さすがにTシャツでは寒い。せめて白衣を着るんだった。風がないのが救いだけど、日向が恋しい。昨日とは逆だ。国道を行くと右側におやじ遍路が歩いている。このへんまでくると歩きの姿も見るようになった。道の反対側だから追い越せばいいかと思ってると、かがんで靴を直し始めたので、おはようございますと声をかけて先へ行く。半袖で元気なおやじだと思われたことだろう。道は意外とすぐに焼坂トンネルにはいる。800 m余と長いけれどなんとか通過。出入り口近くに反射タスキ収納箱があってちゃんとはいっていた。
道は久礼の町へ下ってゆく。国道から左手に分かれて町中へ。途中の案内板に大坂路工事通行止めの表示に解除の表記が貼ってあった。やはり通れるらしい。今日は月曜日で小学生が登校中。おはようと声をかけるとちゃんと返事がくる。いなかはいいな。左手に中土佐町役場があって自転車通勤の人が来る。
焼坂トンネル
紛らわしい標識
大坂路工事は解除中
大坂休憩所の案内板
大坂遍路道
ここから狭くなる
街中を抜けてまっすぐ大坂路へ。渡った大坂谷川にはまったく水がない。今月はしばらく雨が降ってないという話だったので干上がっている。そこから川沿いに気持ちの良い田舎の舗装道路が続く。すぐの大坂休憩所でアンパンを食べる。歩きよい平坦ないなか道がずっと続く。どこから山道になるのだろう。ところどころ人家もあり畑もある。だんだん山が迫り、はるか上を通る高速道路の橋をくぐる。道路があれだけ高いということはあの高さまでは登らなきゃならないのだとげんなりする。
やがて舗装が切れて沢沿いの土の道になる。その少し先が伐採現場だった。もっと大規模な現場かと思ったらそうでもない。確かに取りつきの道が狭いので作業車両が出入りすると危険ではあるだろうけれど、1日に何人も通らない歩き遍路を通行止めにするほどのものかという感じ。まあ逆に来るか来ないかわからないお遍路のために監視員をおくわけにもいかないということか。
土の道になり
やがて伐採工事現場へ
工事は中断中
すぐ横から山道に
急登が続く
最後は石段
その先から本格的な山道になる。七子峠まで1キロで200 m上る。途中に沢を渡るところがあって雨の後は滝になって通れないとのことだが、そもそも水がないのでどこが沢かもわからなかった。急坂で息切れがする。はあはあ途中で息を入れながら上る。突然ガンと衝撃。倒木が行く手に横切っていたのにもろに頭を強打した。どうしても足元を見ながら歩くので前方確認がおろそかになる。倒木がときおりあるなとは思ってたんだけどやられた。しかし痛かった。笠をかぶっていてよかった。後で見ると笠に跡がついて、笠フィットに血がにじんでいた。おでこにも赤い擦りむけ跡。最後は急な階段をのぼりきるとポンという感じで峠の駐車場に飛び出した。急ではあるがたいして距離はないのでそれほどではなかったな。駐車場の先の国道沿いに茶店とかありそうだが、順路はここからまたすぐに側道にはいるので休みそびれた。山すその細道は歩きやすい。畑ではさかんにショウガの収穫中だ。しばらくうねうね歩いて国道にもどって少し行くと雪椿休憩所。ここで休憩とする。またパンを1個食べる。
雪椿休憩所
お遍路さんガイドマップ
すぐに影野の町にはいる。ちょっと脇道にはいってすぐ国道にもどり、あとはずっと56号線を歩く。天気はよく日差しはあるが昨日より明らかに気温は低く歩きやすい。標高200メートルの高地のせいもあるかな。ペースも昨日とは全然違う。トシだの体力だのと昨日は嘆いていたけれど、これなら全然大丈夫だ。たぶん気温による消耗が大きいのではないか。朝予定より30分早く出たことを割り引いてもペースはさらに1時間早い。
仁井田で家から出てきたおばあちゃんがお接待と言って100円玉をくれた。これはびっくり。お金をもらったのは初めてだ。ありがとうございます。思わず手を合わせて南無大師遍照金剛を3回唱える。初めて言えた。高知道終点近くのローソンで昼のパンを買い、すぐ右手に道の駅があったのでそこの外テーブルで昼食とする。ちょうど昼時で道の駅もにぎわっている。名物豚まんののぼりが立っていて、こっちを買うんだったかとちょっと後悔した。作業員のおっさんが前に車を止めて同じテーブルで弁当を広げる。どこからきたんですか、へー北海道、と。トイレに寄って出発。市街地をバイパスする56号線から右に分かれてトンネルを抜けると窪川町市街。町中を抜けた突き当りに山門が見えて岩本寺に到着した。
意外と狭い境内にほとんど人はいない。はいって正面右手が本堂。向かいに庫裏。本堂は建物の中まで入れるようになっている。これは霊山寺以来ではなかろうか。おばあちゃんの100円を賽銭に入れて、長生きできますようにとお願いをした。地蔵菩薩特別拝観をやっていたので庫裏にはいり靴を脱いで拝観。中は正面にトイレ、右手が遍路用品、お守り売店でその奥の広間に仏像がある。寺の人は全く無人。仏像はもちろん商品もあるのに不用心じゃないんだろうか。監視カメラでもあるのかな。そろそろ出ようかなと思って天井画を見忘れたことに気づきまた本堂へ。なるほど見事な格子画だ。撮影禁止と書いてなかったから撮ってもよかったのかな。
窪川トンネル
突き当たりの岩本寺山門
本堂
大師堂
37番岩本寺~黒潮拳の川
ずいぶんのんびりした気がするけれど実際は30分くらいの滞在だった。山門を出て右手へ。ここから土佐佐賀温泉こぶしのさとまではまだ10キロ以上ある。56号線に出るところに水車亭という大きな菓子屋がある。もう朝から30キロ以上歩いているのに今日はまだまだ元気。ほんとに不思議だ。途中の片坂峠で短絡山道にはいるはずなので分岐を見逃さないように歩く。左手に土木工事現場があって、豚座組という変な名前の土木会社がやっている。仮設トイレがあってお遍路さんもお使いくださいと書いてある。なんという心遣い。今日は幸いここまで需要がないけれど、昨日一昨日だったらありがたく利用させてもらったところだ。会社名は変わってるけどいい会社だな。
峰の上というバス停を過ぎてあれ分岐を見逃したかなと思ったけど、地図の停留所位置がずれていて、分岐はその先だった。分岐には日中韓3カ国語で注意表記。写真と図入りで、11月~3月まで前半部分工事のため通行止め、迂回路は国道とのこと。今日はまだ10月なので大丈夫。山あいにはいって清掃工場跡地にお遍路さんは右の扉を開けてお通り下さいと書いてある。工場がやっていたときの名残りらしい。そこから山道になって上り下り。国道トンネルのポータルの直上の狭いところを渡って反対側の道路脇に降りる。ここまでがショートカット歩道の前半。下りたところは2つのトンネルの間でそこからまた山道がショートカットして下りられるようになっている。立派な竹林の中を下っていくと、自動車会社の裏に出て、階段を下りたところに休憩所があった。ここで一息入れる。朝に七子峠の登りで上がった台地をずっと歩いていま片坂峠で降りてきたことになる。下界は暑い。中に納め札がたくさんクリップで束ねて吊るされている。一番新しいのは長崎の人だった。1枚だけあまったお札があったので記念にここにおいていく。
片坂峠道の表示
徳島県ではよく見かけたが高知県では珍しい
あとは道なりに歩いてさすがに疲れてきた頃にこぶしのさとに到着した。立派な建物だ。フロントのにいちゃんはヤンキーっぽいけれど応対はしごくまとも。気さくに天気の話や明日の行程の話などをする。部屋は2階205号室。8畳和室に窓側に張り出した洗面台スペースがついている。きれい。布団がすでに敷いてある。やはり和室はくつろげて安まるな。すぐに風呂へ行く。日帰り入浴客が数人で空いている。他の宿泊客はまだ着いていないようだ。露天風呂でのんびり脚を伸ばす。まさに極楽。予定より大分早く着いたので、たっぷり時間がある。今日はほんとうに順調だった。
風呂上りにサーティーワンアイスとジュース。初回の神山温泉を思い出す。温泉はあれ以来だ。部屋にもどってのんびり。17時半が一番早いセッティングの夕食で、食堂へ行くとテーブルに部屋番号がならんでいる。満室のようだ。一番左奥の外からの入り口席。食事だけの客も来る。宿泊客は誰も来ていない。一番安い遍路コースは、大きなかき揚げ、カツオカルパッチョ、その他。ビール飲むわけじゃないしこれで十分だ。おかわりなしで腹いっぱいになる。18時になると他の客が来始める。後ろの席の女性は同じメニューだったけど、遍路には見えなかったな。遍路客いるのだろうか。なぜかまた寝つきが悪い。一日おきだ。
5.2015年10月27日(火) 黒潮拳の川~土佐入野駅=高知
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
黒潮拳の川,815,,1312,土佐入野駅(26.1 km, 4:57)
土佐入野,1331,2076D,1504,高知
黒潮拳の川~土佐入野駅
今朝はゆっくり。なんせ一番早い朝食が7:15だ。6:30に起きて7:10くらいに下りていくとセッティングしているところだけど入れてくれた。今朝は部屋札が少ない。朝食なしの人が多いのだろうか。また同じ席に着く。朝食メニューは和食、おにぎり、トースト、パンケーキから昨日選んでおいたトースト。ドリンクはコーヒーを食事と一緒にもらう。昨日のフロントのにいちゃんがカウンターにはいっている。何でもやるんだな。ほどなくワンプレートに野菜、卵、ベーコン、トーストなどが乗ってやってきた。山もりの野菜がうれしい。スープとコーヒーつき。久々のちゃんとした朝食だ。おいしくいただいて、部屋に戻る。ここもシャワートイレなのに残念ながら出ない。そういえば昨日も丸一日出てないしあまり気分がよくない。
8時半に出発。同じにいちゃんがフロントで、今日は入野までですよね、暑くなる前にかせいでおきたいところですね、と昨日の話をちゃんとおぼえている。外は晴れてもう暖かい。当然Tシャツ短パンだ。今日は夜から雨の予報だけど、昼までは天気よさそう。街道からすぐに右手に橋を渡って並行する山すその道にはいる。ここはとても気持ちの良い道だ。どんどんペースを上げる。キロ9分台。くろしお鉄道が沿っていて列車がやってくる。勢い余って国道へもどる分岐をやり過ごして少し遠回り。次の橋を渡って伊与喜の駅前へ。ここで今度は国道の左手に分岐。標識に地図がある。熊井からショートカットの道をのぼると熊井隧道。古くからの由緒あるトンネルらしい。短いが明かりもないし狭い。車など来ないけれどマグライトをつけて急いで通り抜ける。
熊井の遍路道入口
熊井トンネル
国道に下りてその先のローソンで休憩。そのすぐ先に道の駅がある。昨日もそうだったけど、せっかくの道の駅なんだから寄ってなんかグッズでも買えばよかったと後で思う。土佐佐賀の町内を抜けてまた56号線にもどると海に向いた高台に佐賀公園がある。絶景だ。足摺岬から室戸岬まで一望、できるかわからないけれど、そんな感じ。晴れて海が輝ききれい。太陽が雲に隠れると海が平板になり雲から出ると光がキラキラ輝く。日差しがじりじり照りつけ、昨日より気温は高く暑い。ここからずっと海沿いの道なので、時折立ち止まっては写真を撮る。ここまでいいペースで歩いていたけれど、その貯金を少しずつ吐き出している。歩いているときは少し急ぐ。大規模公園で車遍路がのんびり海を眺めている。その横をすたすた通り過ぎる。海を眺めている車遍路からは脇目も振らずに歩いて何が楽しいんだろうと思われてるかもしれない。先を急ぐばかりが能ではない。のんびり休みながら歩いたらそれはそれで楽しいだろう。だけどどれだけ時間があっても足りないよそれじゃ。限りある時間に全部歩いて回るとしたらやはり何かは切り捨てなければ。それが世俗を捨てるということなのでは。
その先、井の岬トンネル、伊田トンネルと続くトンネルは狭いけれど一段高い歩道がある。しかし暑い。上川口で自販機のコーラを買ったが休むところがなく、バス停のきたない小屋にはいって座る。この先に土佐東寺大師堂休憩所というのが地図にはあるけれどとりあえず座りたい。行ってみるとその休憩所がなんと、閉まっていたんだけど、自民党と共産党が日本をを滅ぼす、民主党から立候補しよう、という看板。とてもはいって休むところではなかった。
井の岬トンネル
伊田トンネル
浮鞭あたりから海岸に沿って左手が広くなって歩きやすい。自転車遍路がスーッと通り過ぎる。挨拶くらいしろよな。ここまでくれば入野は近く時間は十分間に合いそうなので、海辺へ広い段々になっているところで休む。もう高知の海も最後だな。その先で左手の入野松原への遊歩道にはいる。前方にのんびり二人連れ遍路がみえる。歩きにしちゃ荷物を持ってないし、なんだろう。なんちゃって遍路かな。微妙な距離だ。つかず離れずに後方を歩く。
有井川
王迎
浮津
浮鞭の浜で最後の休憩
入野松原手前
橋を渡った先で市街地の方へ曲がることにした。しかしそれからが問題だった。大方球場の横に出て直進する。線路と駅は右手の方向なのに右に行く道がない。遍路地図はおおざっぱで役に立たないし、公園内なのでスマホの地図で確認してもいまひとつわかりにくい。あれ、時間が間に合うんだろうか。変な方へ行ってもどったりするとやばいぞと焦り出す。やっと右に曲がる道に出て、何か大きな建物の敷地に出たら今度はそこから抜けられない。右手に曲がって細い隙間のようなところを抜けてなんとか普通の道に出られた。土佐入野駅は山側を向いているので線路の反対側へ渡らなきゃならないが、踏切は西側にしかなく迂回しなければならないので、そっちの方からぐるっと回ってなんとか駅前に出た。やれやれ、乗る列車の20分前くらいだった。
土佐入野=高知
駅は店舗併設で大きいが人が誰もいない。切符も売っていない。自販機でジュースとお茶を買う。下りの特急がきて客が1人降りる。やがて来た上りの高知行きは思ったより人が乗っていた。それでも20%くらいだろうか。進行右手の席を確保。特急車両はさすがに快適だ。土佐入野発車後に車内改札がくる。車内で朴訥なくろしお線車掌から車内券を購入。3920円、手書きの軟券だ。また来た道を巻き戻すかのように車窓が過ぎて感慨深い。あっという間に土佐佐賀を過ぎ、山あいに入ってループ線を上って窪川にもどる。ここから少し人が乗ってくる。影野から土佐久礼へ駆け下りて須崎までもどる。2日分があっという間だ。ここでまた乗ってくる。あとは佐川を過ぎたら仁淀川を渡ってすぐに伊野だ。交換列車が遅れていたせいで少しずつ遅れて、高知に到着。
コインロッカーの荷物を引き取って、通いなれた道をまたツーリストインへ。チェックインして明日の朝食券を買う。まだ風呂はやってないので部屋のシャワーで汗を流す。十分快適だ。平服に着替えて外へ。まだ降ってはいないけれど雲行きが怪しい。司本店は誰もいない。前々回のテーブル席でいつもの黒潮定食とビール。すこしずつ客がきはじめる。16時から17時半くらいまで長居して結局ビール4杯。なんか前もそうだったけど今一つ感。遍路の終わりだからかな。出ると外はすごい雨でびっくり。傘をさしてはりまや橋電停から電車に乗って高知駅へ。銘品館でおみやげを物色する。ホテルへの帰りはほとんど雨は上がっていた。
6.2015年10月28日(水) 高知=神戸=札幌
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
高知駅,742,高知EXP,1145,三宮ターミナル
三宮,1148,ポートライナー,1206,神戸空港
神戸,1305,SKY173,1455,千歳
高知駅=神戸=札幌
朝6:00に起きる。6:40にレストランにいったらちょうど始まったところだった。中の時計が5分進んでいる。例のばあちゃんがいてぶつぶつ言いながら料理をとっている。メニューはほぼ同じ。たっぷり食べて7:00に部屋にもどり、ばたばたと仕度して7:22にチェックアウト、7:30に駅ターミナル着。荷物をおいて横のトイレへ。すぐにバスに乗る。結構乗っている。運転手にそのまま載せてくださいといわれたので、キャリーバッグのハンドルに笠と杖をセットしたまま荷物室に積み込む。また快適な1A席。飛込み客が切符を買っているのでちょっと待ってくれと係員がいいにくる。そのわりにのっそり現れたオタクっぽいおやじ。ちっとは急げよ。
7:42に発車。市内が朝の渋滞でさらに遅れる。インター南10分延、吉野川9:05-9:15、今日は普通どおり徳島道藍住から高松道板野経由で、車窓から切幡寺も熊谷寺も見えた。室津10:45-10:55、舞子に11:10着、遅延は回復して三宮11:45着。バスは大阪行きだがここでほとんどが下車した。
三宮11:48発のポートライナーに駆け込む。空港に着き、チェックインして荷物を預け、手荷物検査へ。しまった、ハサミ。気がついたときはもう遅い、テーピングキットのハサミとアーミーナイフまでザックにはいったままだった。X線でしっかり検出され、どうしますか、いったんカウンターにもどって預けなおしますか、と聞かれ、面倒なので放棄することに。ハサミはともかくアーミーナイフは安くないが持っていても全く使ってないし。しかしパッキングのときに気づくべきだったな。ライターは移したのに。手荷物預け品と持ち込み品とできるものできないものが入り組んでいてほんとにややこしい。今度からメモを見て確認しないとだめだな。神戸空港を5分早発、千歳も早着。が、なんと着いてからターミナルビルまでバス連絡。千歳到着時のバスは初体験だった。