第5期 2016年6月1日(水)~7日(火)
土佐入野駅~第38番金剛福寺~第43番明石寺~上宇和駅 200.2 km (累計 694.8 km)
0.出発まで
1.2016年6月1日(水)札幌=神戸=高知
2.2016年6月2日(木)高知=土佐入野駅~土佐清水
3.2016年6月3日(金)土佐清水~38番金剛福寺~下ノ加江
4.2016年6月4日(土)下ノ加江~39番延光寺~宿毛
5.2016年6月5日(日)宿毛~40番観自在寺~津島高田
6.2016年6月6日(月)津島高田~41番龍光寺~43番明石寺~西予上松葉
7.2016年6月7日(火)西予上松葉~上宇和駅=松山=神戸=千歳
0.出発まで
四国遍路も3年目にはいって今回でほぼ半分を越える。前回は土佐入野駅で終わっているのでそこからスタート。後のことを考えると今年中に最低でも松山へは達しておきたい。秋は例によって3日縛りの制約があるし、松山の手前には難所の一つ大宝寺・岩屋寺があるので、諸事を勘案して大洲まで歩くのを今回の目標とする。途中の土佐清水から宿毛を経て宇和島へ抜けるあたりは距離があるし宿も少ないので行程が制約される。結局のところ、初日に高知入りして翌日始発のJRで土佐入野にはいってそこから土佐清水まで歩き、翌日は足摺岬の38番を打って下ノ加江まで引き返し、4日目に39番を経て宿毛泊まり、次の日は40番から峠を越えて長駆津島まで、翌日に41~43番を経て卯之町、最終日の朝大洲まで歩いてJRでその日のうちに帰路へ、という6泊7日の結構ハードな案になった。
初日は朝のADOに乗れば余裕があるが、なんといっても5500円と破格の魅力には勝てずSKYにする。神戸便は3往復もあるのに一番早いのが神戸14:20着で、高知までバスで移動すると20時近くになってしまうが致し方ない。翌日始発は5:39と早いけれど普通列車の乗り継ぎなので土佐入野には9時過ぎになってしまう。神戸からJRでその日に中村まで行って翌朝土佐入野へもどれば早いが、費用対効果から見送り。9時過ぎだと土佐清水着が18時近くになりそうなので、制約の少ないBHに泊まることにする。翌日はその次の日に宿毛まで行かねばならないとすると下ノ加江に1軒だけある旅館しかほぼ選択肢がない。次の宿毛市内には大浴場つきのBHがある。そこから長丁場を経た津島は旅館もあるけれどやはり着くのが遅くなりそうなので町はずれに1軒だけあるBHとする。次の卯之町は大浴場つきのBH、ということでホテルばかりの行程になった。まあそれも気楽でよかろう。
そうこうしていると5月にはいってへんろみち保存協力会の地図の新版(11版)が発行になったので速攻で購入。元の10版2刷から宿屋の改廃が結構ある。なんと下ノ加江に新しいロッジカメリアというのを発見、ネットの評判も上々なのでこちらを第一希望にする。楽天経由で高知駅前のコンフォートH、宿毛の秋沢H、卯之町の宇和パークを順次押さえる。あとは2週間前の5/19に直接電話。土佐清水のBH南城は女の子が出て日にちと名前、電話番号を聞かれて、伝えときますと。え、誰に。子供の留守番風で不安になるが、ちゃんとBH南城ですと電話に出たし大丈夫だろう。下ノ加江のカメリアはおやじが出て3000円で夕食のカレーと朝のパンはお接待しますとのこと。津島高田のBHアイリンはホテルマン風の男性が、お遍路さんですかお気をつけて、と如才ない。食事はやってないんですとのことだが、徒歩10分の立寄り温泉施設へ行って食事もしようという目論見なので問題ない。というわけで今回はすんなり宿の予約を完了。あとは天気と足次第だが、今回は予想外の展開になった。
1.2016年6月1日(水) 札幌=神戸=高知
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
千歳,1230,SKY172,1420,神戸
神戸空港,1440,ポートライナー,1458,三宮
三宮ターミナル,1544,高知EXP,1949,高知駅
札幌=神戸=高知駅
朝7:30に起き、のんびり仕度して10:25に出る。今回のウェアは長袖トレーニングウェア上下に中は白Tシャツ。Tシャツは歩き用と兼用にできるし、ウェアは防寒対策用にも使えるので効率的。しかも着ていて楽だ。車で11:25千歳空港着。空いている。手荷物預けのカウンターで笠は箱がないので機内持ち込みしてくださいと言われる。こんなことは初めてだ。そういえば前回同じ機内のおやじが笠だけぶらぶら持っていたのを思いだした。あれはこういうことだったのか。杖は預かるけど曲がるかもしれませんとか、今回はいちいち細かくうるさい。担当者によるんだろうな。搭乗待合室へ。19番はずっと右はじの方。改装工事は大分進んでいて到着客がブリッジからすぐ階段で1階に降りるようになったのでイス席の列が減って狭く感じる。サンドイッチとお茶を買って軽い昼食とする。搭乗時、H席だから通路側だなとゆっくりしていたら3+3のSKYはABC-FGHで窓側なのだった。
ほぼ満席で12:35に出発、14:28に到着。手荷物受取りが回りだして杖が一番に出てきた。壊れ物だから早いのだろう。リュックは後の方だから結局待つのだが。それでも14:40のポートライナーにジャストで間に合ったし、座れた。三宮バスターミナルは相変わらず込んでいる。入口横の空スペースに荷物だけおいてJRガード下のセブンイレブンで予備食のパンを調達。ぴったりなのがなくて、チョコクロとパンケーキとデニッシュという変なとりあわせでおまけにかさ張る。バス待合室にもどるとやや空席ができていたのでしばし待つ。隣のイスに帽子が忘れられている。
15:40に大阪からバスが到着。意外に込んでいてびっくり、窓側席はほぼ埋まって中列にも客がいる。三宮からは4人かな。リュックと笠を荷物室の奥に投入れて杖は持ち込む。例によって1A席を確保してあるので余裕。途中、室津(16:30-16:42)、吉野川(18:14-18:25)と休憩。室津PAでおにぎりを2個買い、18時頃吉野川手前あたりの車内で簡素な夕食とする。高知道はトンネルが多く、全部で何個のうち何番目表示とか、この後3個連続みたいな表示が細かくあっておもしろい。高知駅19:40に到着。まだ薄明るい。駅前を左方に進んでコンフォートH高知駅前に投宿。大きくて立派なホテルでびっくり。733室ツインルーム。明日の早起きに備えて20時過ぎには寝る。
2.2016年6月2日(木) 高知=土佐入野駅~土佐清水
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
高知,539,4711D,759,窪川
窪川,827,511D,912,土佐入野
土佐入野駅,919,,1130,中村八束(10.4 km, 2:01)
中村八束,1130,,1358,下ノ加江(13.5 km, 2:28)
下ノ加江,1358,,1642,土佐清水(12.1 km, 2:44)
高知=土佐入野
朝4:30に起きる。もちふわパンケーキ2個も食べてしまう。ゆっくり仕度して5:20くらいにチェックアウト。外は晴天で半袖で気持ち良い。駅の券売機で土佐入野までのきっぷを買う。運賃地図にはより遠い中村まで載っているのに、券売機の金額選択に土佐入野までの2330円がない。横の窓口に声をかけて聞く。自信なさげな若い人の後ろから年配の駅員が出てきた。土佐入野はこれで買えないんですか、今からならこの普通で行くのが早いですね、それに乗るつもりです、この特急のボタン押して、え?特急じゃないんですけど、いいんです、(押すと選択画面に行先駅名と横に「特急券なし」のボタンが出てくる)、これ押して、はい。なるほど、デフォルトでは特急利用じゃないと遠方の地は選べないようになっていて、その後の画面で特急券なしというオプションが選べるようになる、という裏技だった。難しすぎる。初見で気づくのはまず無理だ。ホームに上がると、外から見えていた1番線の車両はいなくなっており、やがて1000系単行ワンマン車が2番線にやってきた。車内はロングとクロスの千鳥配置、徳島でも乗ったけど、クロスが固定向き2人席があったりしてあまり使い勝手はよろしくない。トイレがあるのは長時間乗車にはありがたい。乗ったのは3,4人。唯一の進行左手ボックスをおばさんにとられてしまったので、右手ボックスに陣取る。
早起きを強いられたけど、空いている各停でのんびり行くのもいいものだ。時折り交換する上り列車には通学生が増え始め、3両、4両と長い編成が込み合っている。西佐川くらいでもたくさん乗っている。ここから高知まで通うのだろうか。対照的にこちらに乗る通学生は少なく、佐川から土佐新荘までとか、土佐久礼から窪川までという感じ。単行でも終点の窪川まで空いていた。途中大間でお遍路姿のおやじが乗ってきて、須崎市内に泊まったのかな、どこまで行くんだろうと思ってたら土佐久礼で降りていった。謎だ。
窪川駅
土佐くろしお鉄道中村行き
終点の窪川で乗り換え。次のホームがわからない。運転手に尋ねると駅舎側の先のホームだという。そうかここからは土佐くろしお鉄道だからホームが別なのだ。駅の改札口の横を先のホームへ通り抜けようとしたら、改札係のばあさんが仏頂面で、きっぷ! 乗り換え改札というわけね。土佐入野行きの切符を出してスタンプを押してもらう。しかし、お遍路姿のよそ者とまるわかりだろうに、もう少し愛想よくできないものか。JRから委託されているのだろうが、こんなでは印象下落もはなはだしい。四万十川トロッコ列車の玄関口なのにね。くろしお鉄道の駅は利用客も駅の係員も喫煙者が多い。駅の分煙もいいかげんで閉口する。高知はタバコの産地のせいか喫煙率が高い印象がある、と北海道人がいうことではないか。折り返しの単行DCがやってきて乗り込む。乗ったのは5人くらい。バッタン式の転換クロスシート車で座席はすべてボックス型になっている。トイレもちゃんとある。海側に座って大きい窓からまぶしい陽光の中を前回歩いた海岸線を眺めながら懐かしい土佐入野駅に到着。降りたのは1人。相変わらずひと気のない駅舎だ。
土佐入野駅~中村八束
自販機でお茶を買い身支度してすぐに出発する。県道42号線へ出るまでの細い道がわかりにくいのでスマホのmapを頼りに歩くが、相変わらずこれが使いにくい。国道近くの交差点へ出て左折してあとは道なりにゆく。左手の入野公園の方からくる大きな道路と交差し、蛎瀬橋、山を越えて田野浦へ。遍路姿のおやじとすれ違う。その先で大きなT字路につきあたり、はたと悩む。遍路地図にはこんな交差点は載っていない。mapでもどこにいるかすらわからない。足摺岬方面は右と表示があるのだが右へ行くと山へ分け入って中村方面へ行ってしまいそうだ。遍路シールが1枚でもあればいいのだがこのあたりにはまったくない。迷った末、標識通り右へ行くことにする。しばらく行くと339号線と交わる大きな交差点があって遍路地図の位置が判明した。選択は正しかった。迷ったT字路は地図上はY字路になっていて予想よりずっと手前でわからなかったのだ。その先の登りにかかったところの自販機横の日陰に座り込んで休んでいる青年がいた。遍路らしくないけど、挨拶して過ぎる。その先でまたおやじ遍路とすれ違う。休憩所ありましたか、いやずっとないですね、そうですか。確かに遍路地図には休憩所のマークがあるのだが見当たらなかった。さっきのおやじといいすれ違うということは逆打ちしているのか、これも閏年効果なのかな。なんとか四万十大橋に到着。たもとのローソンでおにぎりを買って堤防の東屋で昼食とする。ふつうのおにぎりと肉巻きというやつを買ったのが失敗だった。脂でべとべとのが2個容器にはいっていて箸でもないと食べにくい。しかも温めデフォルトのようでごはんも固くえらく食感が悪い。
二度目の土佐入野駅
足摺岬への道
立派な道標
四万十大橋
四万十川堤防の四阿
伊豆田トンネル
中村八束~下ノ加江
四万十川を渡る。風が強い。このあたりは河口に近いせいか清流というよりは青い色素を流したように川面は真っ青。橋を渡り終えてすぐ左手の階段でループしている車道をショートカット、321号線にはいる。足摺方面は宿毛への往還56号線からは枝道になるので車はそう多くない。川に沿って下って行きやがて川から右手に分かれると左手に自然公園施設があってトイレもある。今朝は早かったしトイレをまだ済ませていない。昼食後だから寄って行こうかなとも思うが、気配ないしなと通り過ぎる。道なりに山へ分け入っていくと右手に大文字山がある。小京都中村にも大文字焼きがあるのは知っていたけれど、こんな町はずれだったのか。そこからほどなく伊豆田トンネル。右手に歩道があるので歩きやすいが1620 mはさすがに長い。トンネルを歩くと意外と近くに出口が見えるので、もうだいぶ来たなと思って振り向いてみると、入口はずっと大きくてまだまだ全然進んでいないということがままある。所々に入口と出口までの距離表示があり、←310 m/1310 m→とあってまだ1/5しか歩いていないのがわかる。歩いても歩いても出口が近づかない。気がつくと前をリュックおやじが歩いている。そのうち追いついてしまった。ひと声かけて追い抜く。遍路風ではないけれど、それ以外でこんなところ歩く人いるかな。やっと出口が近づいたところでリン、リン、とベルが鳴る。杖の鈴かと思ったら、またリン。何気なく振り向いたらすぐ後ろに自転車がいた。あ、ごめんなさい、と道を譲る。すみません、と通り過ぎる。後ろから追いつかれるのはまったく無警戒だったのでびっくりした。トンネルを出たところが市野瀬。レストラン?横の立派な公衆トイレに寄り、ついでに昼食のごみを捨てる。そこから下って下ノ加江の海岸へ出るまでが結構遠い。途中で右手の脇道にはいって橋を渡り川向うの細道をたどり、下ノ加江川を渡って明後日たどることになる県道21号線に出て、その先にやっと321号線の橋が見えてきて合流地点の右側にロッジカメリアがあった。平たい簡素な建物、ここには明日お世話になる。
下ノ加江~土佐清水
カメリアの前を右折してまた国道へ出る。左手には高い位置の国道から望む久々の土佐の海が広がる、前回の土佐佐賀あたりを思わせる海岸線だ。暑くて途中の自販機でコーラを買ったが例によって座るところがない。久万地で海岸へ降りる狭い階段を見つけて石ゴロゴロの海辺に降り、靴を脱いで休憩とした。時間を決めないとどんどん遅れてしまうので10分間と決める。階段を上って国道へもどり、民宿くもものある久百々海岸を通り過ぎ、やがて右手に廃屋のような大きなリゾートマンションが現れる。薪で沸かした源泉かけ流しと意味不明な看板があった。左手に美しい大岐の砂浜が広がる。サーフィンする人がちらほら。水着で海に入るカップルも。坂を下りてか細い木橋を渡って砂浜へ出る。まるで遍路姿が場違いだ。大きな波が陸続と打ち寄せる。これだ。前に四元奈生美の街道てくてく旅四国遍路編で観て感動した大波だ。いまぼくはそこにいる。
久百々海岸
大岐海岸
国道から降りて浜へ渡る木橋
大岐浜
大岐浜
浜の先は川で行き止まり
山側の出口
遊歩道へ
案内図
ずっと眺めていたいがそうもいかない。おまけに砂浜は歩きにくい。何とか端まで行くと川でさえぎられる。渇水時は渡れるらしいが、これはとても渡れる川幅ではない。少し戻って陸側をさがすと遊歩道の出口があり、そこから左手へ行くと国道にすぐ出られた。明日またもどってくるので何の標識もない国道からの入口をしっかり記憶しておく。あとは国道をまっすぐ歩くだけ。前方にゆるゆる歩く遍路じいさんがいる。追いつきそうだなと思ってたら旧道分岐手前のバス停小屋にふらりとはいっていったので、前を通過する。若干遠回りになる旧道はパスして新しい以布利トンネルへ。手前で犬の散歩中のおっさんから声がかかる、どちらから、北海道です、そりゃ遠い。トンネルは歩道が広くて快適。出て坂を下り、左手の山の法面工事中のところの右側にホテルらしいビルに南城と書いてあった。ああこれだ。手前の和風の建物に入口があるのでそこからはいるとそこがフロントだった。ビルとはつながっているみたいだけどホテルはそっちではなくこちら側だった。誰もいないがちょうど居合わせた道路工事関係の人が声をかけてくれておばさんが出てくる。予約してあるというと、うちですか南粋さんじゃないですかと不審そう(おいおい)、女の子の話が伝わってなかったのかな。予約があったのかなかったのかわからないけど、とにかく入れてくれた。2階205室ツイン。まあ広くて必要なものはあるがいかにもいなかのホテルという感じ。冷蔵庫がないのが難点だ。ヤスデの死骸には肝をつぶす。あけっぱなしの玄関から出て近くのローソンで夕食の買い出し。品薄だった。もどって風呂で今日着たものを洗濯。こんなところでも他の客の足音が何回か聞こえる。21時には寝る。
3.2016年6月3日(金) 土佐清水~38番金剛福寺~下ノ加江
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
土佐清水,700,,947,38番金剛福寺(13.9 km, 2:47),0:27
38番,1014,,1329,以布利,(13.6 km, 3:15)
以布利,1329,,1541,下ノ加江,(9.5 km, 2:12)
土佐清水~38番金剛福寺
5:30に起床。今日の行程は余裕があるので、ローソンで買ったチョコクロ食べて少しのんびり。7時に出発。玄関は開けっ放しで無人のフロントに先人の置き鍵が1本。外は快晴だ。昨日のローソンでお茶を買って西岸周りを行く。数年前車で通ったときは隘路が何カ所かあったが今は拡幅されて立派になった。右手には朝の港、あいさつを返してくれる人もくれない人も、ここはまだ高知だからか。
足摺岬へ
土佐清水港
山道の歩き遍路道はパスして歩きやすい県道をたらたら行く。中浜の大きな橋の手前右手の階段から細道を集落内へ下る。ここはジョン万次郎生誕地とか。そういえば中浜万次郎という名だ。生地跡などの遺構もある。土佐清水市では大河ドラマの誘致もしていて看板が立っている。ところで町中で徐々に便意が来訪。遍路地図にはこのへんにトイレ表示はないけれど、ちょうど通りがかった中浜会館にトイレマークがついているのを目ざとく見つけた。外から入れるトイレのドアがあり、お、と思って行ってみるとちゃんとドアが開いて中はきれいなトイレだった。トレペもちゃんとある。ありがたい。すっきりして出発。
中浜集落へ下る
中浜万次郎生誕地
トイレのある中浜会館
路傍の不思議な植物
民家の子供におはようと声をかけるといろいろ話しかけてくる。適当にこたえて歩き出すと後ろから呼びかけて手を振ってくれる。子供はいい。旧道は道がくねくね曲がっているうえに標識がないので方向を失って迷いかけたが何とかもとの県道へ出た。やがて今春開通したばかりの松尾トンネルがある。広い歩道があって快適。暑い日は涼しいトンネルは極楽だ。出たところの海を望むベンチで休憩。そこから岬まではまだ少しある。途中で右手の旧道を経て岬市街へ。小さな足摺岬小ではグランドで走りのタイムとりをしていた。児童は10人ちょっとくらいかな。見覚えのある岬駐車場手前左側に38番があった。中は池があって周りに堂宇が配され庭園のような小ぎれいさで観光地のようだ。久々のお参り。空いている。歩き遍路が1人いたので「声をかけてみると、野宿中で今日は以布利の何とか公園までとのこと。納経所のおやじは席を空けて灯明片付けをしていたので、呼んだらもどってきた。前の客にも言ってたけど、このトンネル通るといいですよと松尾トンネルをしきりに推している。いま通ってきました。ここまでのペースは予定より少し遅い。
立派になった県道
松尾トンネル
できたばかりできれいな内部
松尾集落
金剛福寺山門
池水のある境内
本堂
大師堂
足摺岬
38番金剛福寺~下ノ加江
岬展望台をちらりと見て林の中の薄暗く細い県道を東周りルートへ。暑い。やがて道幅は広くなりまた狭くなり、ところどころで拡幅工事中。海岸から離れていて海はほとんどみえず単調だ。休憩する場所もない。津呂の自販機でコーラを買ったけど飲む場所がない。左手のへんろ道入口の傾斜のところにへたりこんでお昼にする。デニッシュ2切れ。やれやれ。出発して少し行くと左側に遍路地図にはない立派な休憩所があった。小屋もイスも自販機まである。まあよくあることだ。窪津を経て以布利分岐のへんろ道入口からショートカット。薄暗い谷へ下ってまた上る。さらに細道を海の方へ下っていく。意外にも海岸まで出てしまいそこから以布利の港へ上がる。自販機でお茶を補給。またしても休憩できそうなところがないので県道までのぼり、しおさい前という老人施設前のバス停のイスで休憩する。バス停に小屋やイスがあるところはありがたい。残りのデニッシュを食べる。
昨日おぼえておいた大岐浜への道を右折して浜へ。そのあたりで今日二度目の便意が。浜の案内図に中央部と北端と2カ所に更衣所とトイレの表示があるのでそこへ行くことにする。浜辺中央の見張り台のところからはいるとすぐにトイレとシャワー施設の建物があった。トレペもある。今日は必要なところにトイレがあって助かった。こんなにいつもうまくはいかない。林内園路を北端まで行って浜辺にもどったあたりで2人連れの遍路おやじとすれ違う。大岐浜で遍路を初めて見た。細い木橋を渡って国道に上る。あとは昨日の道をたどるだけ。昨日とり忘れたリゾートマンションと看板の写真を撮り、久百々を過ぎて下の加江までの間に立て続けに4人の歩き遍路とすれ違う。久百々か大岐あたりで泊まるのだろうか。まだかまだかとうんざりしながら歩いて、やっとこロッジカメリアに到着した。暑いせいか今日はペースが上がらなかった。
廃屋のようなリゾートマンション
ふしぎな掛け流し
ドアを開けると狭い靴脱ぎのすぐ前のカウンターでおやじが文芸春秋のような本を読んでいる。インテリの脱サラかいな。杖はここにと横の壺に入れる。洗ったりはしない。どうも遍路宿にしては勝手が違う。上がってカウンターの横が共用ルームでその右手の廊下2つ目の部屋へ。その手前と正面奥と全部で3室ある。板張りの洋室で手前にベッド、奥の壁一面にテーブルとイスが2脚。右手に物干し。それだけの簡素なつくり。ドアが開いていて風が通って涼しい。宿帳を書いて3000円を支払うと、朝食用のパンが3個と冷茶、菓子の載ったトレーをくれる。パンはありがたいがヘルシーなただのパンで味付けも何もないので食べにくそう。風呂は10分くらいで沸きますからと言われる。どうやら一番乗りらしい。カウンター横の共有スペースにお茶セットやお菓子がある。その奥が右にトイレ、左が洗面所兼脱衣所で風呂になっている。脱衣所に洗濯機がある。風呂は家庭用ユニットバスで狭いけれどきれい。今回は日焼け止めを塗っているのでひりひりしないで快適だ。上がって、洗濯しようと思っておやじに聞いたら、やっておきますからと乾燥までやってくれた。愛想のないおやじだけど話してみるとそうでもない。風呂上りに何か飲みたいなと思って聞くと自販機はないというのでサンダルを借りて橋向こうのローソンへ買いだしに行く。玄関前に休憩用のイスがおいてあるんだし自販機くらいおけばいいのに。サンダルは歩きにくくて川向うのローソンは意外と遠かったけど、風呂上がりに風が心地よい。なんと右親指先端に大きなマメを発見した。テーピングがおざなりになってるというかテープのない場所ではある。迷ったけどあまりに大きかったのでつぶすことに。安全ピンを焼いて穴あけるとピュッと水が出てティッシュでおさえ、マキロンつけてバンドエイドを巻いておく。そんなことをしているうちに話し声がしてどうやら満室になったようだ。洗濯機を見に行ったら止まっていたので取りだして室内に干す。クツ下以外はほとんど乾いている。18時少し前に夕食の配膳がきた。共用スペースのテーブルは狭いので各部屋で食べる。トレーに大盛りカレーとサラダとスープでかなりのボリューム。レトルトだというカレーはいまいちだったけど完食。明日は次第に雨が降りだす予報なので早く出ることにして20時過ぎに就寝。
ロッジカメリア
簡素な洋室
チェックインセット
夕食
4.2016年6月4日(土) 下ノ加江~39番延光寺~宿毛
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
下ノ加江,541,,751,芳井橋(11.1 km, 2:10),0:11
芳井橋,802,,955,三原(9.2 km, 1:53),0:09
三原,1004,,1139,平田(8.3 km, 1:35),0:18
平田,1157,,1239,39番延光寺(2.7 km, 0:42),0:19
39番,1258,,1441,宿毛(7.5 km, 1:43)
下ノ加江~39番延光寺
4:50に目覚ましをかけていたが、4:00頃から奥の人ががたがた起きだして仕度している音で目が覚める。4:40くらいに出てみるとテーブルに朝食トレーが下げられて洗面所にいるようだ。共用テーブルに準備されていたインスタントのコーンスープとカフェラテをつくって部屋で持参のチョコクロ2個食べる。ここのパンは昼および非常用にもっていく。大ぶりなのが3個なので結構かさ張る。朝のトイレはなし。先客が先に出た後、洗面して仕度して5:40に出る。笠にビニールカバーをかけて雨の用心。オーナーと奥さんが見送ってくれる。もう1人同宿のおやじはどうしたのかな。外はどんよりと曇り。少し肌寒いが歩いているとじきに温まる。すぐに五味橋で下ノ加江川を渡り、左折して延々と県道21号線を行く。鬱蒼とした木の中を細い道がうねうね。川から高い位置にあるので深山感が強い。車は全く来ないしこの先に人里があるなど信じられない。突然後ろからおはようございますとジョギングおやじが抜いていく。こんなところに。どこ行くんだろうと思ったらじきに戻ってきてすれ違った。初回の鬼籠野を思い出した。今日は土曜日だ。
下ノ加江からの21 号線
五味橋
山間にはいり狭くなる
さらに狭く
最初のチェックポイントは芳井橋だがなかなか遠い。小雨がパラパラ落ちてきた。まだ笠で平気。やや疲れてきたころに橋、そして集落があった。地図にある休憩所マークをさがすとカーブの先の左手に遍路小屋があった。イスとテーブル。上にはお菓子やカップ麺とポットまである。奥の冷蔵庫には缶やペットがぎっしり。なんという設備充実。どうしようかなとサイダー缶をいただくことにした。奥の民家からおやじが出てきて挨拶。この人の接待小屋なのだ。カメリアのおやじがこの先の接待所の人はよく知ってるからカメリアから来たといえば歓待してくれるよと言っていたのがここらしい。おやじは鈴木章先生を彷彿とさせる好々爺。今日はどこまで、明日は、とこれから先のアドバイス。松尾峠は国道行っても大差ない。柏坂は登りも下りも道がよくなくて時間がかかる、国道は長いけど歩きやすいとか。天気によっては考えないとな。そういえばカメリアを先発した人もここに寄って今日は宿毛までだそうだ。この後も全然追いつく気配もなかったからよほど足が速い人だ。サイダー飲み終わってお礼を言って出発。なかなか楽しかった。
芳井橋
少し歩くと雨脚がだんだん強まってきた。この後は本降りになる予報なので、道端の木の陰でポンチョを着る。昨年の奈半利以来だな。着てしまえばあとはいくら降ろうが問題ないので楽だ。それから雨は強まったり弱まったりしながらずっと降り続いていた。やがて三原村中心部へ。右手にりっぱな農業構造改善センターの建物があり、軒先にイスがあって休めるようになっているので、ここで休憩とする。この裏がスーパー(じまんや)になっていて車がさかんに出入りしている。もらったパンと買い置きのカフェオレを食べる。
三原村農業構造改善センター
軒下で休憩
相変わらず雨は降り続く。ここから平田側は道が拡幅されて2車線になり車も多い。ばしゃばしゃ水しぶきが撥ねる。雨だと屋根のある所じゃないと休憩できないので歩くしかない。高知のローソンによくあるへんろ休み処は陽も雨もさえぎるものがなくて落第だな。途中のダム湖も雨の中で幽邃な景色となっている。トンネルをいくつか通って平田へと下る。トンネルにはちゃんと歩道があった。路面を小さな緑色の虫が跳ねる、とよくみると小さなカエルだった。うっかり踏んでしまいそう。
宿毛市に入る
梅の木トンネル
中筋川ダム
黒川トンネル
平田駅
平田の町にはいり、くろしお鉄道の高架が見えてきて平田駅に到着。無人駅だが元の駅舎が残っていて休憩できた。雨は少し小降りになったがポンチョを脱ぐと肌寒い。カメリアのパンと自販機のココアで昼食とする。温かいものが飲みたかったけど残念がら売ってなかった。お接待の朝食パンはありがたいんだけど、素のパンばかりなのでぼそぼそして味気なくわびしい。3個を2個にしてもいいからマーガリンかジャムをつけてほしかった。宿毛行きの単行DCが遅れてきて発車していった。駅を出てすぐの56号線を左折する。さすがに車が多い。右手の遍路道分岐から旧道へ。また強くなってきた雨の中を39番に到着。
山門を上がって正面に本堂左手に大師堂とコンパクトな配置。濡れない場所がないので山門横の軒下に荷物を降ろす。座る場所もない。笠だけかぶってそそくさとお参り。例によって笠からしずくが落ちて灯明や線香がやりにくい。雨のお参りは25番以来だ。山門の反対側に荷物を下している歩き遍路らしきじいさんがいたけどあとは車の人ばかり。右手奥の納経所には若い男とおばさんが並んでいて、おばさんがこちらへどうぞと。ゆっくり筆をはこんで、お気をつけて、愛想いい。びしょびしょの笠かぶって一目で歩きとわかったからかな。38番でもそうだったけど御影のほかにうるう年記念の札を別にくれた。あとで見ると真ん中が蓮華の形に切り抜けて88枚を台紙に貼ると大きな絵になるしくみらしい。今年中に全部回るわけではないからぼくには関係ないが。これで土佐16寺は終わり。長かった。
39番延光寺~宿毛
ここからの遍路道は山門を出て右手の山にちょっと入る。鬱蒼たる暗い竹林を上って下ると56号線に出る。あとは延々と行きかう車のしぶきを浴びながら歩くだけ。前々回の奈半利手前を思いだす。雨の56号線にはいい思い出がない。向こうからポンチョ着た歩き遍路がやってきてすれ違う。いやびっくり。挨拶しただけだけど、太った人で大変そうだった。やがて宿毛市街にはいるが宿にはまだまだ着かない。やっともう街はずれというところでホテルに到着。やれやれ。まだ14時過ぎだったけれど入れてくれて助かった。夕食は17時からと早くラッキー。ただし風呂も17時からというのが残念。205室は和室。結構広く窓際の張りだしにイスとテーブルもある。布団がもう敷いてあった。17時は待ちきれないので部屋のバスにつかる。湯船が大きくてまあまあ休まった。ついでに洗濯もしてしまう。今日はほとんど汗をかいてないし水も飲んでない。靴の中までびしょ濡れなのでフロントで新聞紙をもらって靴に詰める。3回取り替えたらほとんど乾いた。
それはそうとなぜか右脛前部が腫れていて痛い。ストレッチしてみたらビリリと痛みが走り伸ばせない。なんか不安だな。昨日治療したマメは大丈夫そう。食事はレストランのカウンターで1人。時間が早いせいか他に客はない。カツオやアジの刺身、焼き物、きびなごフライ、などなど結構豪華だった。雨は相変わらず降り続いている。窓から見える田んぼの向こうの街道を車が水しぶきをあげて走り抜ける。明日も早いので20時過ぎには寝る。
5.2016年6月5日(日) 宿毛~40番観自在寺~津島高田
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
宿毛,516,,753,松尾大師(9.5 km, 2:37)
松尾大師,753,,1008,40番観自在寺(10.8 km, 2:15),0:28
40番,1036,,1314,愛南内海(10.5 km, 2:38),0:05
愛南内海,1319,,1737,津島高田(17.6 km, 4:18)
宿毛~40番観自在寺
今日は今回最長の行程なので朝4時に起きる。外は未明から風がごうごう音を立てて不隠な天候だ。幸い雨はほとんど上がっている。そんなことより右脛下部前面が張って痛い。パンパンに腫れて熱をもっている。なんとか歩くことはできるけれど、はたして津島までの長丁場を歩ききれるだろうかと不安になる。これは峠道を回避して国道歩きしたほうがよさそうだな。カメリアパン2個目で朝食。1階の自販機でお茶を買い、無人のフロントに鍵をおいて5:15に出発する。国道沿いのローソンから店員が出てきて入口前でタバコを吸っている。落第だな。ホテルで買っといて正解だった。雨があがったばかりのようで路面はまだ濡れており、車がしぶきを上げて飛ばしている56号線を歩くのは気乗りせず、えいやと松尾峠道へ向かってしまう。足は痛いけれどだましだまし歩けないほどではないのでなんとかなるだろう。
松尾峠遍路道のフェンス
いのしかクン
峠道入口
山道
宿毛方面
しだいに急になる
遍路地図通りに山裾の集落を縫って進む。道は入り組んでいるがシールや標識があるので迷うことはない。雨の後で足元が多少悪いところもあるが総じて懸念したほどではない。足も上りは不思議と痛くない。どうも右甲を伸ばすのが痛いのだ。つまり上りより下りだ。山道にはいってだんだん急になりやっと松尾峠に到着。全然見晴らしは効かない。休憩所で少し休む。カンカンと硬い音が鳴りなんだろうと思ったら、竹同士が風で当たって鳴っているのだった。
松尾峠
大師堂跡
従是西伊豫國宇和島藩支配地
下る途中の竹林崩壊斜面
峠がちょうど県境で記念に写真でも撮りたいところだが、わかりやすい標識がないのが残念。ここから愛媛県側は勾配も緩やかで歩きやすい道になる。じきに人里へ出て舗装路へ。さてここで便意。地図には松尾大師の手前にWCマークがあるのでそれを頼りに進む。ほんとにその場所に立派な独立トイレがあった。水洗でトレペもあるし何より個室内につかまり棒があるのが足の痛い身にはことのほかありがたい。助かった。それはともかく人里に下りたら応急処置に湿布でも買いたいところだが、日曜の早朝という最悪のシチュエーションだ。簡素な松尾大師にお参りした後、ひとまず56号線沿いのローソンへ行ってみる。湿布ありませんか、んーないですね、薬類はここだけです。まあないだろうなコンビニは。あってもいいのにな。コンビニがだめとすると普通の薬屋は日曜は休みだろうから大きなドラッグストアかスーパーでも探すしかない。御荘の市街地まで行けばあるだろうか。
気を取り直して56号線沿いを歩く。松尾峠越えは予想以上に時間がかかって予定より15分早く出たのにすでに20分くらい遅れている。まあこの足ではしようがない。旧道の付け替えで立派な国道を愛南町中心部へ向かう。蓮乗寺トンネルを抜けてその先の交差点を右折して旧城辺町市街地へ。大きなスーパーらしき店があったので道をそれて行ってみたらホームセンターでがっくり。このへんに薬売ってるところありませんかと店員さんに聞いたら、お客のじいさんも一緒に考えてくれて、そっちの国道沿いにドラッグストアありますけど、いやそっちから歩いて来たんですけど、と要領を得ない。しかたなく元の道へもどる。町内の道が微妙な角度で曲がったり交わったりしていて、地図のどこにいるのかわからなくなる。拡大図があるのにわからない。方角がはっきりしないうえに地図の道の交差角度や太さが実態を反映していないので間違いやすい。愛南町役場の前に差しかかってやっと思っていたよりずっと手前にいることわかった。町続きの旧御荘町側へ橋を渡った先に大きなスーパーがあったので行ってみたけれど薬コーナーはなし。さらに狭い道を歩いて交差点から路地へ右折して正面の40番になんとか到着した。ここも小さな寺だ。グループ遍路が読経中。歩き遍路はいない。納経はていねいにしてくれる。イスに座って少し休憩。小腹がすいたのでカロリーメイトを食べる。
40番観自在寺~津島高田
山門を出るときに左手からじいさん遍路がすれ違う。歩きだろうか。霧雨が降ってきたけれど笠で十分しのげるし、かえって涼しくて歩きやすい。昼はどこかでコンビニに寄るとしよう。寺から右手に進んで国道に出るとほどなく左手に大きなスーパーがあった。駐車場の広告塔に取扱品が並んでいるけど薬は書いてないなあと見直すと、中ほどにヘルス&ビューティの文字が。お、と思ってはいってみるとなんと薬コーナーがあった。湿布もいろいろそろっている。やった。とりあえず10×8の7枚入りというのを買う。日曜日でレジはカゴ満載客の行列で待たされる。821円に1000円出して小銭増えるなとあとで見たらなんとEdyが使えたのだった。しまった後の祭り。レジ横にイスもあったけど人が多くて気恥ずかしかったので、貼るのはどこか先でしよう。
その先すぐ右手のローソンで昼のサンドイッチを買い、駐車場の車止めに座って湿布を貼る。やりにくい。このあたりのローソンにはへんろ休み処がない。あれは高知限定なのだろうか。減らず口をたたいたけれどあんなのでもあればやはり助かるな。とりあえず靴下の下に2枚貼り、どうも圧迫されているのが悪いようなので靴紐をゆるめにする。しばらく歩いてみると少しはいいような気もするがあまり変わらない気も。足摺あたりには結構歩き遍路もいたのにこのあたりにくると全く会わない。団体のバスばかりすれ違う。八百坂峠を越えて外室手のバス停小屋で昼食休憩。サンドイッチを食べる。折悪しく宿毛行きのバスがきて止まる。お客とまちがわれたか、すみません。宇和島バスが宿毛行き城辺行き宇和島行きなど結構走っている。1時間に1本くらいはありそうだ。いざとなればあれに乗ればいいんだと思う。ここからバスなら1時間ほどで着く宇和島に、ぼくは今日夕方まで歩いて1晩泊まって明日の朝またしばらく歩かないと到達しない。歩き遍路とはなんと過酷な営為か。
室手海岸
内海の集落からは険しい柏坂越えを回避して予定通り国道沿いに進むことにする。役場支所は日曜で明かりが消えていたが、人がいて入口も開いていたのでトイレを借りる。おしゃべりしている人はまったく愛想なし。時間外闖入者だから仕方ないか。それはそうと今回直前に新調してもってきたGPS(920XTJ)が山中で衛星ロストするとそのままずっと止まりっぱなしなのに気づく。オートポーズが効いて一時停止したまま再度衛星をつかまえても再始動しにくいようだ。気がついたら手動で再スタートさせる。起動時の測位は速いけれどリアルタイムペース更新のレスポンスもなんか遅いし今ひとつだな。少なくともオートポーズ機能は切っておくべきだった。ちゃんとログ取れてるといいけど。
そこからすぐに長い内海トンネルにかかる。ここは立派な歩道トンネルが別にあって歩きやすい。自転車での通学路とかなのだろうか。どういう基準なのかわからないがこういうのはとても助かる。ただし長いトンネルを抜ける間誰もいないのでちょっと怖い。人が来たら来たでまた怖いかも。その先の須ノ川にある観光施設ゆらり内海の外のイスで少し休憩する。脛の張りがだんだん広がってきたようで上の方に3枚目の湿布を貼る。これが効いてこのあとはほとんど痛まないで歩けた。もっと早く貼るんだった。しかし腫れは相変わらずひどい。霧雨が少し強くなってきて通り過ぎる車のワイパーも連続作動している。しかし雨粒が小さくポンチョを着るほどではない。この後雨が強くなる予報でもないし、笠の威力でそのまま歩くことにする。左手の海はお天気ならきれいな景色なんだろうけれど、この天気ではモノトーンの水墨画のようだ。後ろから来た車がスーッと止まる。窓が開いて、外国人の歩き遍路とすれ違いませんでしたか、インドの人?いやあ見てないですね、そうですかすみません。外国人どころかそもそも歩き遍路にはまったく会わない。後で考えると、その人が柏坂越えを歩いていればすれ違うわけはない。そうだったのかもな。
内海人道トンネル
内部
鳥越トンネルを抜けると行政区域上は宇和島市にはいる。なんとなくうれしい。しかしまだまだ先は長い。このあたりは道路沿いに100 mごとに距離表示がある。どこからどこまでの距離なのだろう。56号線だから松山までのかな。あっという間のはずの100 mがやけに長く感じられるのはまるでウルトラマラソンの終盤のようだ。左手のおだやかな湾内には真珠養殖の筏が並ぶ。ひときわ鮮やかな赤い木の花はアメリカデイゴだと後で知った。
鳥越トンネル
宇和島市にはいる
真珠養殖場
アメリカデイゴ
落花
最後の嵐坂トンネルも歩道トンネルが別にあった。山あいにはいって地図の通り山本商店から国道を離れて左手の脇道にはいる。歩きやすいけれど疲労が限界に近い。足が健全でも長丁場なのになんせこの足だからな。おまけに肩も痛い。ザックが重い。歩けども歩けどもはかどらない。休憩所も全然ないし。やっと金剛橋を渡ったところでたまらず道端に座って休む。まだまだ津島大橋までの長いこと。歩道上を太めの蛇がさっと草叢へ消える。あの体形、マムシじゃないだろうな。こんな人里にいるものか。
大場の鼻トンネル
嵐坂トンネル
高速道路の入口を迂回して進むとやっと津島大橋が見えてくる。橋を渡って右折し市街地にはいるが、ホテルは町はずれなのでまだ先だ。手前のサンクスの看板があんなに遠い。なんとかたどりついて夕食を買い、レジ袋をぶら下げて歩いてやっとのことで17:40くらいにホテルアイリンに到着した。まじ死んだ。とてもこれから温泉施設になんていく元気も足もない。ホテルはまあまあ普通。歩き遍路価格で500円引いてくれた。靴に詰める新聞紙ももらえた。シングルルームは狭いけれど電気ポットも冷蔵庫もある。疲れて動きたくないけれどまずは夕飯、そして風呂。靴下を脱ぐのが不安だったけど、見た目は昨夜からそう悪化しているようでもないので少しホッとする。この足でまだ明日も歩かねばならないのだ。風呂上りに一番痛いところに湿布を1枚貼り、右小指の小さいマメを処置する。靴紐をゆるめにしているのでマメができやすいのだろう。明日は厳重にテーピングせねば。20時就寝。何やら水音?とさらにカラオケの歌声が聞こえてきて気になって寝つけない。おまけに暑くて冷房を入れたり切ったりする。そのうえ右膝の内側にじんじんといやな痛みが出てきて輾転反側する。一層不安がつのる。5回目にして最大のピンチ。どうか明日も歩けますように。南無大師遍照金剛。
ホテルアイリン
6.2016年6月6日(月) 津島高田~41番龍光寺~43番明石寺~西予上松葉
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
津島高田,458,,801,宇和島(12.9 km, 3:03),0:08
宇和島,809,,1033,41番龍光寺(9.4 km, 2:24),0:27
41番,11:00,,1139,42番仏木寺(2.6 km, 0:39),0:36
42番,1215,,1510,43番明石寺(10.6 km, 2:55),0:19
43番,1529,,1646,西予上松葉(3.7 km, 1:17)
津島高田~41番龍光寺
眠りは浅く、4時に目覚ましをかけたが3:45に起きてしまう。まだ暗い。足は相変わらずだが何とか昨日程度には歩けそうで一安心。最後のカメリアパンと昨日買ったカフェオレで朝食。朝のトイレは出ない。4:45に出発。フロントはもちろん無人。ルームキーを置いてドアを出ようとしたが自動ドアが開かない。明日早出すると言ってあったはずなのにな。ガラス戸に手をかけて引いてみたら手動で開いたので外へ出る。外はもう明るい。今日はくもりで降水確率40%という微妙な予報だが、とりあえず降りそうな気配はない。56号線を北上、すぐに松尾トンネルの入口に着く。左手に峠への遍路道があるが迷わずトンネルを行く。早朝なので車は少なく、全長1700 mを通り抜けるまでに下り(宿毛方向)18台、上り10台しか通らなかった。かえってトンネル中央部で両端がカーブで見通せないところをポツンと歩くのは別の意味で怖い。抜けてから宇和島市街までは結構遠い。やがて便意がやってきた。地図にある街道沿いのWCマークは行ってみると蒲鉾屋の工場兼直売所だった。こんな早朝でも人がいてちゃんとトイレは開いていて、感謝しかない。ありがたく使わせてもらう。こんど島原蒲鉾を見つけたら買おう。
松尾トンネル
内部
市内にはいり通勤通学時間帯が近づいて宇和島自動車の回送バスとたくさんすれ違う。市街地は二車線の国道がそもそも狭いうえに両側の歩道がまた狭い。その狭い歩道を高校生の自転車がどんどんやって来る。歩いているとすれ違えないので、危ない車道に降りてよけてくれる。通学の邪魔をしているようで申し訳ない。車の通行量は多いし、こういうところでは自転車は車道通行をといっても無理だろう。町中に休憩所はないので、番城小学校前というバス停のイスで休憩。自販機にファンタ缶があったので飲む。信号待ちしている子供たちの間を、ごめんね通してね、と通り抜ける。中心部にある宇和島東高には全国大会で活躍する生徒名をずらりと塀に並べている。文武両道のようで百人一首大会なんてのまである。高校生と続々すれ違って見覚えのある宇和島駅に到着。2日ぶりの鉄道駅だ。ここまでたどりつけばいざというときはJRで松山へ出られる。
雨どころかところどころ青空が覗き少し日が差して暑くなってきた。ここまで峠道より2キロ近く短いトンネルを抜けたうえに予定より1時間早く宿を出ているのに1時間早いだけ。なんとか足はもっているけどペースはやはりあがってない。脛が張ってきたのでバスターミナルのいすに座って昨夜から貼りっぱなしの湿布を交換する。
市街地を縦断して北宇和島から予土線沿いに務田までは分水嶺への上りとなる。右手高いところの木の間に線路があり、単行DCが通りすぎる。なかなか風情がある。途中のコンビニで買っておいたサンドイッチで梅林口というバス停のイスで早い昼食とする。なんせ朝が早いので腹が減る。登り切ったところが三間の集落で田んぼの中の道を41番へ。長命水という大きな食堂の横を曲がると正面に石段と鳥居が見えてきてあれれと思う。ここは神仏合体しているらしい。石段を右折すると正面が境内。開放的でコンパクトな配置。今日はここまで全然遍路の姿を見ていない。おばさんがさらさらと納経して新しい新聞をはさんでくれる。
龍光寺本堂
大師堂
41番龍光寺~42番仏木寺
42番への遍路道入口はわかりにくいので注意というネット情報の通り、石段の途中から右折して細い道を駐車場の方へ抜け、さらに正面の墓地への狭い階段を上る。よく見ると遍路シールがあるのだがこれは事前に知らないとたどれない道だ。あとは墓地の裏山を上っていって下るとまた墓地があって街道に出る。車のほとんど通らない県道を直進すると42番はすぐで、右手に立派な山門が見えてくる。階段を上った境内は無人で、歩き遍路はおろかこうも誰もいないのも珍しい。森閑としている。ゆっくりと参拝する。納経所へ行くと若い坊主が携帯で電話中。かたわらのMacをパタンと閉じてちょっと待ってくださいと奥へ引っ込んでしまった。仕事の電話らしかったが、しかしどちらが優先なんだよ。もどってきての筆運びも気のせいかおざなりだ。せっかくの静かなたたずまいの好印象がぶち壊しだ。山門前の自販機つき休憩所でコーラを飲んで休憩し、歯長峠越えの確認をする。足の状態を考えてできる限り車道を行ってトンネルを抜けることにする。
42番仏木寺~43番明石寺
県道の途中から左手の側道にはいり、やがて山道になって石畳を上ってゆく。上りはわりあい足には楽なのが助かる。ほどなく車道へ出てトンネルへ。その手前の右手の峠越え遍路道入口はポールを寝かせてふさいであった。いずれにせよまだ通行不可らしい。トンネルは歩車分離していないので今回はじめてマグライトを点滅させて歩く。そもそも車などほとんど通らず、出口近くにきて1台通っただけだった。出口にある休憩所で少し休憩、そこから階段で始まる下りの遍路道へ。カーブの多い車道をショートカットする効率のよい歩き道だがこれが最悪だった。下り坂はもろに足に負担がかかるので右足に体重がかけられない。ズンと右足を着くと脛に激痛が走る。ほぼ左足1本で下ることになるので全然進まない。これでは上りより時間がかかる。下り道が早く終わらないか早く終わらないかとそればかり考えて、車道へ出てきた時はホッとした。もう山道の下りはこりごりだ。ヘアピンカーブを曲がって平地に出たところの歯長地蔵の休憩所でちょっと休憩する。バイク人がタバコを吸ってて迷惑したがすぐに行ってしまった。
歯長峠への登り道
石敷き
峠越え入口は封鎖中
歯長トンネル
そこから宇和川を渡って左折し川沿いに上ってゆく。この宇和川が肱川の上流というのが不思議だ。予想とは逆の山側の方へ流れて行って大きく迂回して大洲に出るという四万十川みたいな流れ方をしている。四国の山地の地形はほんとに複雑だ。しばらく歩いた先で右手の側道へはいりまた県道へもどる。43番まではだらだらと長い。歩き遍路とすれ違う。今日はどこまで行くのだろうか。43番の手前はいくつものルートに分かれていて遍路地図ではわかりにくい。そのうち一番短そうなやつをたどる。高速の取り付けをくぐって細い道を右折して上ると突然立派な球場横の工事現場に出た。左手の高校の方へ行くのだがダンプが並んでいて通れるのだろうか。工事の人に尋ねるとそっちから出られますよと教えてくれた。ダンプの横を通って歩く。おりしも出発するダンプの運ちゃんから声がかかる。今日はどこまで、この先までです、お気をつけて、これから松山まで帰るところとか。高校の横の道を上ってすぐに右手の遍路道へ。あとはまっすぐ行くと43番への参道に突き当たる。左折してさらに車道を上る。足がもう限界だ。左手に巡拝用品店。店員からごくろうさまですと声がかかる。右手の階段をのぼってようやく境内に着いた。
狭い境内にはちらほらと人。リュックしょって熱心に読経している若い人。風采は歩き遍路ふうでもないな。納経所のじいさんは、お願いしますと出すとやおら墨を磨りはじめ、新聞紙出して筆の具合を確かめて、納経帳の前の札所のページを眺めてうーむとうなり、ゆっくりと印判し、そして筆を運ぶ。事務的にぽんぽん進むところが多い中で、この悠揚迫らぬ一連の所作は異彩。42番の若坊主とえらい違いだ。今日の札所は終わり。あとはホテルへたどり着くだけだ。少しイスで休憩する。
43番明石寺~西予上松葉
次の札所へは山門横から山の中へ上りの道になっている。前をゆっくり歩く散歩おやじ。普段なら簡単に追い越せるのだが、今のぼくには追いつけない。途中あちこちに分岐があり、新四国霊場何番とかいろいろな標識があったりしてどっちへ行けばいいのかわからない。主たる行先はどっちへ行っても宇和文化の里という方へ下りてゆくようになっている。遍路地図にはそんなものは載ってないがとりあえずそっちへ向かう。上った分だけまた苦難の下りがあって足が痛い。養護学校のような学校横に降りてきて何とか卯之町の町内へ出られた。あとは右折してまっすぐ歩くだけだ。
このあたりは古い町並みが保存されていて好ましいが、狭い道を車が来るし人も通るし足は痛いし歩いても全然進まないしで苦しい。中心部の卯之町駅近くを通り過ぎて、今日の宿は次の上宇和駅のまだ先なのだ。昨日のアイリンも町はずれだったし、このちょっとが今の足にはつらい。ようやく56号線へ出てホテル横の交差点にたどり着く。セブンイレブンで明朝のパンとコーヒーを買う。ここまでコンビニというとローソンばかりだったのでセブンイレブンは新鮮だ。結局1時間早起きした貯金を吐き出してそこからさらに遅れて16:45くらいに宇和パークに到着。細長い建物でどっちが入口かわからない。下の方の細道からフロントへはいれた。まじ死んだagain。
宇和パーク
夕食
フロントで説明をきいて和室405の鍵をもらう。風呂はもうはいれるし夕食も17時からやっているとのこと。部屋は入口わきに洗面所つきの和室で秋沢よりやや狭いけど十分な広さ。冷蔵庫と電気湯沸かし、お茶セットがある。布団は隅にたたんである。バスはなくトイレは廊下の先に共用。荷物を放り出して畳に倒れ込んだら動けない。が、まずは風呂だ。1階フロント横の戸口をいったん出てすぐの大浴場はそう広くないけど幸い無人。湯船にザブンと浸かるとうぉーと思わず声が出る。まさに極楽。体中の疲労が溶けて流れるようだ。いつまでもはいっていたい。広い風呂はいいなあ。足も楽だ。たっぷり浸かって出てから18時少し前にレストランへ。ちょうどバイキングの準備が整ったところだった。すでに品定めしている若者あり。あとは無人。品数はそう多くないがまあ十分。刺身も新鮮だし他の惣菜もまあまあ。三々五々人が来はじめる。遍路らしきおやじもいた。部屋にもどり、明日はどうしようかと考えながら20時には就床。
7.2016年6月7日(水) 西予上松葉~上宇和駅=松山=神戸=札幌
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
西予上松葉,720,,735,上宇和駅(0.8 km, 0:15)
上宇和,746,4630D,1003,松山
松山駅,1030,松山EXP,1510,三宮ターミナル
三宮,1515,ポートライナー,1533,神戸空港
神戸,1730,SKY175,1925,千歳
西予上松葉~上宇和駅
寝つきは悪くなかったが、夜中に目覚めて眠れなくなる。冷蔵庫のコンプレッサー音がうるさい。それと連動して水音がする。昨夜の水音もこれだったのか。冷蔵庫の電源を抜くと静かになった。けれど眠れない。3時頃に雨音がしはじめてやがて激しくなる。一気にテンションが下がる。ポンチョを着て痛む足で雨の中4時間歩くのか。しかも朝のトイレの不安をかかえて。Yahoo地図の雨雲レーダーを見ても活発な雨雲が次々に通り過ぎる予報だ。どうするかな。
今回こういう経験をしては秋の計画は根本的に考え直さなければならない。当初案のように峠越えで内子から古岩屋へ40キロ超を1日で歩くのはどう考えても無謀だ。ならば今無理して大洲まで行く必要はないんだな。一昨日、昨日ともう十分頑張ったよとお大師様が言っているような気がして、今回はここで打ち止めとすることにした。上宇和駅を7:46に出る普通列車に乗れば10時過ぎには松山に着いて10:30のバスにちょうど間に合う。というわけで少しのんびり。前日買ったパンを食べてトイレも済ませて7:20頃にチェックアウト。まだ雨は降っているが上宇和駅までは歩いて10分ほどなので笠だけで出る。歩いてみると足は相変わらずだけど、このくらいの雨なら国道歩きなら行けたかもなとも思う。いやいいんだ、もう終わったことだ。
雨の上宇和駅
上宇和=松山=神戸=札幌
上宇和駅はホーム片面だけの駅。案に相違して駅舎すらなかった。ホーム上の待合小屋に高校生たちが待っている。やがて単行DCがやってきた。オールロングシートのキハ54だった。トイレはない。通学時間帯で高校生が乗っているが座席には余裕があり端っこの席に座れた。運転士は女性。発車時に折り戸が閉まると少ししてガタンと大きな音がしてびっくり。何だろうと次の駅で見ていると、折り戸上部のロック金具の下りる音だった。
八幡浜で高校生たちが降りてほぼ無人となる。それもそのはずなんと20分停車だ。少し寒くなったので駅舎側ホームのトイレに行って長袖上下に着替えてくる。交換の下り列車がきて高校生が降りてくる。こちらは185系だ。普通運用もあるのか。こんなので通学とは優雅だな。あとで調べてみると普通列車用改造された3100代車で、ワンマン化改造できないので(そりゃそうだろう)、朝夕の通学時間帯のみの運用とか。今回未踏になった大洲を過ぎ内子も過ぎてゆっくり松山まで。終始座席がさらっと埋まるていど。
松山に着いて駅横の小さなバスカウンターへ行く。雨はほとんどあがっている。10時半ので三宮までというと、席は前方後方どこがいいですかと。空いているみたいだ。前の方といって3A席をゲット。結果的に1Aも1Cも空いていたので指定すれば選べたかも。駅のお土産売り場に行ってみる。意外と小さい。そもそも駅の規模が小さくて何と2面3線しかない。松山は伊予鉄の松山市駅もあってそっちが中心だからJR駅は小さいのだ。それでも岡山行きの特急が毎時出ているのだし、お土産買う客だっていそうだけど。とりあえず昼食用のパンだけ買って来たバスに乗る。営業所が始発だけど空できて、駅から3名、大街道2、インター口2、その後川之江2、脇町2と乗車があった。
松山から川之江東までは初乗り区間だけど特に見るべき物もない。雨が降ったりやんだりで途中の山中は霧の中。吉野川SA12:26-12:36、雨なので降りない。室津SA14:19-14:30、雨が上がってゴミを捨ててトイレへ。三宮15:10着。15:15のポートライナーに乗れて神戸空港へ。カウンターでの荷物預けはこんどはちゃんと笠も預かってくれた。例によって神戸キッチンで早い夕食。しかしここは高い。前回のオムライスはいまいちだったし、中でサンドイッチでも買うことにして、とりあえずビールとソーセージだけにする。5日ぶりのビールの味は足の負傷もあっていまひとつ。最後を短縮したし、終了後の達成感など皆無だ。それでいて酔いだけがしっかりまわる。なんだかなー、この足どうなるんだろう。搭乗待合室へ入ったらサンドイッチどころか目ぼしい軽食は売ってなかった。帰りは行きよりも空いていた。ジェット気流に乗って20分くらい早着しそうな勢いだったけど、着陸前に時間待ちして結局5分くらいの早着。千歳は寒い。