別格第2期 2019年10月24日(木)~30日(水)
四国中央~別格第13番仙龍寺~別格第20番大滝寺~高松 歩行距離135.3 km (累計 253.2 km)
0.出発まで
1.2019年10月24日(木)札幌=神戸=四国中央
2.2019年10月25日(金)四国中央=新宮馬立~別格13番仙龍寺~別格14番椿堂~阿波池田
3.2019年10月26日(土)阿波池田=箸蔵~別格15番箸蔵寺~讃岐財田~別格17番神野寺~琴平=観音寺池之尻
4.2019年10月27日(日)観音寺池之尻~別格16番萩原寺~観音寺=多度津~別格18番海岸寺~多度津=坂出高屋
5.2019年10月28日(月)坂出高屋~別格19番香西寺~香西=多和中山~塩江安原
6.2019年10月29日(火)塩江安原~別格20番大滝寺~塩江温泉=高松
7.2019年10月30日(水)高松=神戸=札幌
0.出発まで
後半の部は前回終了の四国中央からのスタート。ここは松山エクスプレスが止まる三島川之江インターが便利なので、初日は神戸からバスできてこの近くのスーパーホテルに泊まる一択だ。2日目以降がかなり問題で、香川県は狭いとはいえあと8カ寺が微妙に不便な場所に散在していて効率よいコースが組みにくい。番号順にたどるとすると、2日目は13番仙龍寺、14番椿堂を打ったあと延々と阿波池田まで歩いて泊まり、翌日は朝15番箸蔵寺を上り下りしてからまた前日の道をもどって途中から雲辺寺山へ上って下りて16番萩原寺を打ってから観音寺泊まり、4日目が観音寺からJRで多度津経由善通寺へ出てそこから延々と歩いて17番神野寺を往復したあと、善通寺から多度津にもどって18番海岸寺往復、さらにもどって琴平あたり泊、5日目が琴電で高松市内の三条へ出てそこから19番香西寺まで歩いてまた市内の花園までもどり琴電で長尾へ、コミュニティバスをつかまえて大窪寺手前の多和小学校まで乗り、そこから塩江温泉まで歩いて泊まる。6日目は朝から20番大滝寺へ上って結願し、山を下りて高松市内泊、翌日帰宅、というようなことになる。
しかし...。15番へ東征したあと長駆もどるうえに難所の雲辺寺を越えての16番とか単に延々と同じ道を往復するだけの17番や19番とか無駄が多い。番号順にこだわらなければもう少しなんとかならないかとしばし熟考。結論からいうとどちらも行き止まりで非効率の元だった15番と17番を直結する箸蔵街道という山道を発見したのが鍵で、17番と16番を入れ替えることにした。16番の方が単純往復になってしまうがいたしかたない。何より難所の雲辺寺山を越えなくてもいいし、上った箸蔵寺から下りずに尾根歩きに出られるのもメリット。あとは宿との兼ね合いもあって、前回台風直撃で台無しだった五色台上の白峯寺から根香寺への遍路道を再訪することにした。途中3泊が温泉施設になるというのもポイント高い。というわけでなんとかルートを確定し飛行機、バス、宿の手配を済ませた。
なお、今回も最初に決めたように88ヶ所巡礼で歩いたルート上のどこかから歩き始めてルート上へもどるまでは歩くというルールを当然適用するつもりだったが、初日の悪天もあって残念ながらそのルールを守り通すことはできなかった。まさに言うは易く行うは難し。
1.2019年10月24日(木)札幌=神戸=四国中央
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
新千歳,900,ADO118,1100,神戸
神戸空港,1200,ポートライナー,1218,三宮
三宮,1244,松山EXP7,1558,三島川之江インター
札幌=神戸=四国中央
6時起き、普通に朝食の後7時出発。8時過ぎに新千歳空港着。空いている。チェックイン、荷物の扱い方をこちらが説明する。それももう慣れた。8:45に搭乗、満席だ。8:57扉閉め。強い向かい風といいながら定時に到着した。10:57扉開き。荷物はすぐに回ってくる、ここは本当に早い。バスまで時間があるので込んでいる三宮で待つよりはと1階の待合室で時間をつぶす。ファミマのパンで昼食とする。テレビがかかっているが、おもしろいことにリモコンがちゃんとあってお客が勝手にチャンネルを変えている。12:00のポートライナーは空いていて久々に先頭席に乗れた。ただ神戸は小雨で風もあり見晴らしはあまりよくない。四国中央に着いてから雨の中をイオンへ買い出しに行きたくないので、三宮セブンイレブンで夕食を買っておくことにする。ミントからはほぼ濡れないで歩けるので便利だ。
バスは12:50発。三宮から乗ったのは5人くらい。舞子で1名。いつものように室津SA(13:32-13:42)と吉野川SA(15:13-15:23)で休憩、途中もほぼ雨が降り続いている。三島川之江インター15:50着。今回はここで降りる。降車客は2名。小さな待合室はバス待ち客4人でいっぱい。入口でそそくさと支度して傘をさして出る。雨はけっこう降っていてホテルまで約10分の歩きで濡れる。二度目のスーパーホテ四国中央。チェックインはにこやかなホテルマン。ルームキーは暗証番号方式。そういえばそうだった。覚えておいでですかと説明は省略される。一昨年宿泊のデータを把握しているようだ。部屋はロフトベッドつきセミツインで狭いが機能的。すぐに風呂へ行く。今回は前ほどぬるくなかったから前がおかしかったのだ。部屋着もフロント横から各自もっていくシステム。合理化が徹底している。自販のビール缶が240円という安さ、コンビニでも225円だから破格だ。明日はどうするかなと考えながら夕食とする。当初予定はここからまず三角寺まで歩き、そこから裏山を越えて13番へ降りるというコースだが、大雨の後に沢筋の多い山道を歩くのは気乗りしない。さりとて前回の歩きルート上から山越えを迂回するエスケープルートは距離がありすぎて到底全部は歩けない。途中まではバスがあるからそれを使えば楽だがそれだと新たなコースは全部歩くというルールに抵触してしまう。さてどうするか。
2.2019年10月25日(金)四国中央=新宮馬立~別格13番仙龍寺~別格14番椿堂~阿波池田
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
一貫田,754,せとうちバス,819,堀切トンネル口
堀切トンネル口,827,,909,別格13番仙龍寺(3.4 km, 0:42),0:34
別格13番,943,,1103,平山(6.9 km, 1:20)
平山,1103,,1139,別格14番椿堂(3.1 km, 0:36),0:36
別格14番,1215,,1335,佐野(7.4 km, 1:20),0:11
佐野,1346,,1606,阿波池田(12.7 km, 2:20)
四国中央=新宮馬立~別格13番仙龍寺
前夜20時から5時半までよく寝た。遍路中にしては珍しい。外はまだ暗いが雨が降っているようだ。ネットでみると7,8時台は降雨10 mmの予報に変わっていて愕然。昨日までは夜半には上がる予報だったのに。まったくあてにならん。ポンチョ着て出るかなあ。初日から面倒だなあ。昨日からずいぶん降っているので、いずれにせよ三角寺から山道を歩くのは止めにして、堀切トンネルまでバスで行ってその先だけ歩くことにする。ということで6:30からの無料の朝食をありがたくいただくことにする。お客はたくさんいたが場所はかなり広いのでゆったりだ。パンとスープ、サラダの簡単な朝食という触れ込みどころか、内容は結構充実していてびっくり。これならビジホとして普通じゃないか。もっと宣伝すればいいのに。きちんと食べてトイレもすませ、7:40に出る。
雨は幸い小降りになったので笠だけで大丈夫だ。一貫田と書いていっかだと読むバス停はすぐで、新宮行きのバスは2分遅れで来た。先客は1名のみ。三角寺口で降りて行った。お遍路さんだったのだ、気づかなかった。途中乗降はなく、やがてつづら折れの道を上って堀切トンネルへ。出たところが堀切トンネル口でここで下車する。
ここから歩き遍路の開始。雨はほとんど降っていない。これならふつうに歩けそうだ。はじめはペースが上がらないが下りなので楽。車もほとんど来ない。やがて銅山川が見えてくる。水面は緑色でよどんでいる。トンネル口で分かれた国道との再合流点にバス停があった。知らなかったが、新宮町福祉バスで日に3本新宮から奥の院(仙龍寺)の先まで走っている。よほど時間が合わないと乗れないが、バスだけで13番まで行けるわけだ。そこから13番まではすぐ。右手の崖の谷間の狭いところに境内がはめ込まれている。濡れてすべる階段を注意深く上って上の境内へ。右手に堂々とした本堂があり、左手の崖から高い階段が下りてきている。こっちが三角寺からの道だ。他に目立った建物もなく、本堂には靴を脱いでお上がりくださいと書いてある。入口に荷物を置いて上がると左に曲がった左手に納経所があって坊さんが作業している。その先が拝殿のようだ。尋ねると拝殿の正面が本尊のお大師さまで、右手が不動尊、両方お参りできます、灯明も香炉もあります、鉦を叩いてお参りくださいという。なるほど。先に納経帳を出せというので荷物まで取りに戻る。本殿の正面に座って大きなお鈴を鳴らして読経する。坊さんになった気分だ。ただし正座すると足が痛いのでかえって落ち着かない。お参りの後、出来上がっている納経帳を受け取って少しおしゃべり。札幌からきたというと、浦河に知り合いがいて何やら送ってきた、子供の学校の都合で札幌にも家を持っているとか、むこうではカモメのことをゴメというんやねとかいろいろ。今日はどちらへと聞くので椿堂から池田まで歩くというと、たいていは岡田屋かその先なら白地荘で泊まる人が多いけど、池田に宿あるのと聞かれた。
仙龍寺入口
豪壮たる本堂
別格13番仙龍寺~別格14番椿堂
外へ出てまた来た道をもどる。この間参拝客にはまったく会わない。車の人もいない。トンネルまで上り返してこんどは長いトンネルを歩いてくぐる。新宮への往還なので軽トラなど車が多い。一応一段高い歩道があるがやはり長いトンネルは緊張する。直線だが拝み勾配なので出口が見えない。ようやっと出たすぐ左側に簡易トイレがあったのでありがたく使わせてもらう。ちゃんとトレぺもあった。ここからはつづら折れの下り。歩道がないうえにカーブで見通しが効かないので注意して歩く。途中でわき見でもしたのか崖に擦った車の事故処理をしていた。平山の集落まで下りてきて右に折れる。このあたりは標識が完備している。
川之江側出口の簡易トイレ
下り道から川之江市街を望む
平山の分岐
ここからは山里歩きになる。すぐ右手に下る遍路歩き道の指示があるが草が濡れていて歩きにくそうだったので多少遠回りだが車道をそのまま行く。横川からややしばらく歩いて川滝集落に出、遍路シールどおりに曲がると椿堂の裏手に出た。まっすぐ歩けば正面に出るのだと後でわかった。狭い路地に向かい合って建物があり、どっちが本堂やら大師堂やらわからない。狭い境内に珍しく歩き遍路の男女各1名が休んでいたので、こっちが本堂ですかねと聞くが要領を得ない。向かい側の立派な方は弘法と扁額が掛かっていたのでこっちが大師堂だとわかる。本堂はその向かいの寺務所の左手奥に見つけた。手水をつかっていると寺のばあさんが水が出ますかと声をかけてくれる。蛇口方式なのだ。お参りして納経所へ。ベル鳴らすとおばさんが急いでやってきてていねいに応対してくれる。ここは親玉配付所なのでそれも所望すると歩きの人はお接待ですと300円引いてくれ、ぽたぽた焼をくれた。これ懐かしいな。今回初お接待だ。パン小3といただいたせんべいで昼食とする。男性は行ってしまったので出がけの女性と少しおしゃべり、今日は岡田屋泊まりで明日雲辺寺だと。まあそうだろうな。さっきの男性もそうだが、88ヶ所回っている人は別格札所を通りかかっても納経しない人が多い。ぼくも前回はしたりしなかったりだった。だからどっちが本堂と聞いてもわからなかったのだな。今回ぼくは別格だけ回ってるというとびっくりしていた。
椿堂正面入り口
本堂
小路の向かいの大師堂
お接待のぽたぽた焼
別格14番椿堂~阿波池田
食べ終わって出発。すぐに国道に出て佐野までは前に歩いた道だ。すぐに女性を追い越し、その先のしんきん庵で休んでいる男も追い越す。天気が回復し、日が照ってきたので笠をかぶる。境目トンネルを抜けて佐野手前で前方に大きなザック氏の背中が見えてきた。なかなか速く、つかず離れず歩いていると、旧道分岐を折れていってしまった。こちらは国道を直進。今日はここまで無事だったが、昼食後でもあり便意を催してきた。佐野は一応集落ではあるがコンビニはおろか店らしきものもなく、どこかあるかなと思案しながら歩いていくと、中心部のバス折返し所に休憩所とバイオトイレがあった。ありがたく利用させてもらう。助かった。不思議なことにこういうときはお大師様が助けてくれることになっている。
すっきりして出発。ここまでだいたいキロ11分といいペースで歩いてきたので、出発の遅れを取り戻した。歩きも慣れてきたが、午後になるとやはり少し疲れてきた。この先まだまだ車の多い国道歩きが長いので精神的にもしんどい。佐野からは初めての道だが変わり映えしない。馬路で左手の細道をちょっと迂回。歩きやすさが格段に違う。また国道に出て進むと、正面の山の中腹に建物があり、山肌に大きくフクスケと書いてある。福助の工場があるのだろうか。短いトンネルを二つ過ぎてやっと吉野川手前に出る。まっすぐ橋を渡って国道を行くつもりだったが、対岸の車道は高いところを走っていて車も多く、あそこまで上るのがおっくうに思えて、箸蔵方面にのびる左岸の細道を行って途中の橋を渡ることにする。信号で左折。ずっと先に吊橋がみえる。あれを渡るのだけど意外と細い橋でやや不安。その取り付きまではかなり距離がある。こちら岸の道も川より高いところにあって、橋のたもとまできたが橋への道がない。T字路で分岐しているのだと思ったがそうではなく、少し手前に踏み分け道が下りて行って橋へつながっていた。完全な歩き道で、吊橋自体も人が歩くのがやっと。踏面は金網で下が丸見え。これで吉野川を渡るのだからけっこうこわい。しかも対岸は高いところの車道の下の方の木々の中につながっている。車道まで上がる道あるんだろうなと不安になる。とはいえここから引き返す気はしないのでままよと行ってみる。渡った先は小道がつづら折れの上りとなってなんとか取り付き階段で車道へでることができた。やれやれ。しかしこちら側の下り口にもいっさい標識がない。これでは地元の人しか利用できないだろう。
吉野川に架かる吊橋
対岸の国道からの下り口
ホテルイレブン
セブンイレブンのある大きな交差点を池田町市街へ右折。あとは町中歩きとなって信号からアーケードへ右折すると正面が駅だ。すぐ左手に今日の宿のホテルイレブンがある。チェックイン、フロント男性はていねい。エレベータで5階へ。下りてすぐに靴を脱ぐ変わったシステム。とっつきの501号室。広い。ドアから長い廊下の先にツインルーム、ソファもある。バスは洗い場つきで広く。湯船も足伸ばしてゆったり。しかし立派な部屋だ。朝食付き10000円は高いが納得。今日着た一式を風呂で洗濯する。
3.2019年10月26日(土)阿波池田=箸蔵~別格15番箸蔵寺~讃岐財田~別格17番神野寺~琴平=観音寺池之尻
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
阿波池田,642,JR4212D,653,箸蔵
箸蔵駅,654,,742,別格15番箸蔵寺(2.4 km, 0:38),0:57
別格15番,820,,953,二軒茶屋(5.8 km, 1:33)
二軒茶屋,953,,1143,讃岐財田駅(5.9 km, 1:50),0:21
讃岐財田駅,1204,,1353,別格17番神野寺(9.1 km, 1:49),0:23
別格17番,1416,,1535,琴平駅(6.3 km, 1:19)
琴平,1613,JR1246M,1628,多度津
多度津,1631,JR135M,1658,観音寺
観音寺駅,1700,タクシー,1715,観音寺池之尻
阿波池田=箸蔵~別格15番箸蔵寺
断続的な浅い眠り。5時のアラームで5:15に起きる。ホテルの朝食は間に合わないので、いつも通りパンを食べて6:30に出る。フロントに昨日の人がいて、お接待にそばぼうろをくれた。ビジネスホテルホテルでこういうことは珍しい。いいところだ。うす暗い外へ出ると予期せぬ雨でびっくり。朝のうちだけらしいが面倒なことだ。いかにも山の天気という感じ。笠だけで大丈夫そうではある。すぐ向かいの阿波池田駅へ。新たなルートはすべて歩くというルールでは箸蔵寺まで歩いて行かなければならないところだが、すでに昨日の朝バスに乗った時点で杓子定規なルールは破ってしまっている。なので歩くと1時間はかかる箸蔵寺登り口まではありがたくJRのお世話になることにする。待合室にハイキング姿の老人グループがいる。どこへ行くのだろう。今日は土曜日だ。6:42の上り普通は単行。どこからきたのか池田で3人全員下車、2名乗車。1人は観光客風おやじ。坪尻狙いかな。二駅乗って箸蔵で下車。ほとんど雨はやんでいてよかった。ここは以前来たことがある。そのときはロープウェイで箸蔵寺を往復した(箸蔵寺ロープウェイ縁起 )。ロープウェイに乗りに来たのでお寺はついでだった。お参りした記憶もない。こうしてお遍路にくることになるとは人生わからないものだ。
お接待のそばぼうろ
箸蔵駅
国道からの参道入口
すぐ左手のロープウェイ駅舎
途中の案内地図
そこからの登り口
次の車道横断点
無人駅、集落も早朝で人気がまったくない。すぐに出発する。乗ってきた列車は交換待ちしていて、下り特急がきた。駅前から国道に出、立体交差を渡って線路の反対側に出て注意して歩いていると、左側の線路からから階段がのぼってきてここが下の道からの出口とわかった。その右側が歩きの参道入口ということになる。左手にロープウェイ乗場をみてすぐにうっそうと暗い山道になる。雨はやんだが木からしずくが落ちるので笠をかぶる。道はわかりやすいがとにかく暗い。じわじわと上ってゆく。山門広場まで30分かかった。ロープウェイの支柱の向こうが二線乗継時代の駅跡のはずだが遺構は何もない。
山門広場、正面が参道出口
池田市街遠望
山門
山門から続く参道
石段手前の赤い橋
山門をくぐった先は広い参道がずっと続き左に折れたところに赤い橋がかかる。渡った先から石段がはじまる。400段超の石段をひいこらいいながら上りやっとの思いで境内に到着。さすがは金比羅さんの奥の院だけのことはある。広やかな中段は角に納経所があってもう開いている。左手の先がロープウェイ乗り場で、この時期営業は8時からなのでまだ動いていないが、うろうろしているうちにゴーという機械音が聞こえだした。もちろん寺の人以外に誰もいない。荷物をおいて一息いれ、参拝セットだけ持って正面をすすむ。本殿、大師堂はこの上の段にあり、この先歩く箸蔵街道の入口もそっちなのだが参拝してから納経してもらうのでまたここへ戻ってこなければならない。その上の段までは正面の本堂と見まがうほど立派な護摩殿の右手からまた延々と石段が続いている。各段左隅に般若心経を一字ずつ書いた丸いプレートがつけられている。ちょうど278段なのだ。帰って調べたらこのプレートはつい一週間前に設置されたばかりだった。上り切って無人の上段に出る。正面に本堂に相当する本殿。戸が閉まっている。灯明台も香炉もない。こういうものなのだろうか。お参りした後左手の広場の奥にある大師堂へ。途中左手にトイレがあった。用を足すにもここまで上って来なければならないのか。境内が広くどこへ行くにも歩かされる。こちらもロウソクも線香もなし。お経を上げた後左手にいくと広場を囲うように写し霊場がある。箸蔵街道の入口をさがしてうろうろ行き来して、一番左奥の切れ目に目立たない道標をみつけた。石段からは一番遠い端だった。広場を戻り、石段を下りて中段へ。納経所には囲碁の武宮九段を思わせるさばけた坊さん。筆を動かしながらおしゃべり。天気の話やらなんやら。終わって荷物しょって歩き出すと顔を出して箸蔵街道の入口はわかりますか、一番奥の角っこですよ、4時間かかります、となかなか親切だ。
中段に出る。正面は護摩殿
上段の本殿
大師堂
写し霊場奥の箸蔵街道入口
別格15番箸蔵寺~讃岐財田
般若心経を唱えながら一段ずつまた石段を上る。荷物があるとしんどさが違う。上段の奥から箸蔵街道へ。入口から左手に下っていく道と右手に上っていく道がある。道標に従って右へ。左は中段につながっているのかな。また暗い山道だが、道幅は十分にあり歩きやすい。しばらく歩くと車止めの鎖がしてあって舗装路に出る。2.5万図だと舟原から上ってゆく破線の道と550m等高線の交点あたりだ。右に進むと舗装はすぐに切れてまた土道に。あとはところどころ石くれがザクザクして足元の悪い道が続く。土が出ているところは一昨日からの雨のせいかぬかるんでいて泥にはまらないように慎重に歩く。轍が水たまりになっているので真ん中を歩くとずぶりと埋まるので。脇の草をかきわけて歩いたり。何カ所か大きな水たまりを迂回させられる。天気は回復しても雨の後は始末が悪い。突然、藪の中からブオッと鳴き声がしてびっくり。イノシシだろうか。こわいこわい。一升水分岐(2.5万図679m点の手前)を過ぎ、やっと馬除の廃屋が見えてくる。こんな狭いところに人が住んでいたとは。
車止めの鎖
その先の舗装路(暗くてぶれている)
石くれの道
古い道標
一升水分岐、右手前が一升水
その先ちょっとで車道にポンと出た。左へ行けば猪鼻峠だが正面に歩き道はない。標識もない。地図をよくみると右手の方から続いているようにみえるので右手に歩いていくと左にカーブした先に案内板があり、その左手に立派な歩き道があった。舗装路に出たところからは見えないので標識がほしいところだ。そこから少しいったところが二軒茶屋で、各種案内板がある。讃岐財田までのほぼここが中間点。四国のみちの猪鼻ルートもここが分岐点だ。ベンチもあるが霧で薄暗くじめじめしていて腰を下ろそうという気にならない。入口からここまで一時間半弱休憩していないがそのまま前進する。
車道に出る
左手猪鼻峠方面
右手(こっちへ行く)
箸蔵街道の続き入口
二軒茶屋
この先上りになって789.9m峰の裾を巻くところが街道の最高点約760m。そこから160mの讃岐財田まで標高差600mを一気に下る。右膝に不具合をかかえているので下りのほうがしんどい。急なところもあり時間をかけてゆっくり下る。それでも膝が痛い。車道をもう一度横切り(2.5万図468m点の先)、最後の下りへ。途中に大雨の後は危険だから通行禁止という表示板があった。そういえば二軒茶屋にも同じ表示があった。やがて人里に下りてきて、イノシシ除けの柵の扉を通って下界に出た。駅の裏を迂回して踏切を渡り讃岐財田駅到着。二軒茶屋からは四国のみちの表ルートだし土曜日なのでハイキング客に会うかと思っていたが結局ここまで誰一人出会わなかった。3時間20分歩き詰めでさすがに疲れた。ここで大休止。一部水たまりをよけて藪を漕いだので足が何カ所か切れてみみずばれになっている。マキロンで消毒しておく。ソックスにはひっつき虫がいっぱい。クツも泥だらけだがかろうじて中が濡れるのは免れた。パンを食べて自販のメロンソーダを飲む。無人駅で他に何もない。普通列車はほとんどない区間なのでやむをえないが、トイレすらない(あるはずだが見つけられなかった)。駅施設は規模が大きく中線をもつ2面3線の堂々たる配線だ。
二軒茶屋からの道(暗くてぶれている)
もう一回車道を横切る
最後の急坂の注意喚起
やっと山道の出口
説明板
その先の農道のイノシシ柵
讃岐財田駅
駅前の案内板
讃岐財田~別格17番神野寺
正午のチャイムがなったのを潮に神野寺へ向けて歩き出す。ここから9キロもある。そこからまた琴平駅までは6キロ。いつもながら午後の車道歩きはつらい。黒川あたりまでは道が曲がりくねっているので水田の小道を少しショートカットして節約。県道へ出てからはだらだらと直進し、塩入からまた右手に逸れて一路満濃池へ向かう。特段記すこともなく、山すそを回り込んでダム堤防に出たところの右手が神野寺だった。
神野寺入口
本堂
満濃大師
大師像からの眺め
満濃池畔
はいると狭い境内で正面に本堂。大師堂はと寺の人にたずねるとあっちのお大師像がそうだという。左手の小高いところにあがると大きな大師像があって、その前に灯明、香炉、賽銭箱、納札入れなどの拝観セットがそろっている。堂なしの大師堂というのははじめてみた。お大師様の正面には満濃池が広がっている。まさに満濃大師だ。日本一の溜め池と社会科で習った満濃池だがアクセスがよくないのでこの年になってはじめてみた。お参りして納経所へ。暑くなりましたねと若い坊さん。土曜日なので着いたときに一組客、その後パンを食べているとワゴン車で年寄りお遍路集団が立派ななりの先達に引率されてきた。別格に団体は珍しいなとみていると、お経だけあげてそそくさと立ち去ってしまった。ついでに寄ったのだろうか。
別格17番神野寺~琴平=観音寺池之尻
さて本来はここから善通寺まで歩かなければならないところだが、もう無理して歩きの環を閉じるのは止めにしたので、手前の琴平駅から電車に乗る。それでもあと6キロある。県道をまんのう町役場の手前で左に折れ、32号線を渡って琴平町にはいり、土讃線の踏切の先を右折して町中の細道をすすむと右手に琴平駅があらわれた。観光地なので観光客でにぎわっている。電車は16:13のつもりでのんびり歩いてきたが一本早い15:30というのがあって、ちょっとの差で間に合わなかった。知っていたらもうちょっとスピードアップして乗れたかな、いや難しいかな。まあいいや。コーラを飲んで改札まで待つ。ここが始発なので早目に入場して2両編成のボックス席を占める。だんだん込んできてロングシートはほぼいっぱいになった。こういう場合、よそ者との相席は避けられる傾向にあるが、善通寺からは相席になった。多度津では乗り換え時間3分で観音寺行きが来る。同じホームかと思いきやさにあらず地下道を通って乗り換え。こちらは空いている。こんどはボックス席のじいさんに相席させてもらう。半袖短パンでは少し涼しくなってきた。この時期は歩いているときはともかく乗り物に乗るとこの格好では涼しいことがままある。明日くる海岸寺を過ぎると海岸線に出て瀬戸内の海がきれいだ。写真を撮っている人がいる。気持ちはわかる。なつかしの観音寺に到着。駅に着くのははじめてだ。すぐに駅前のタクシー乗り場へ。先頭車で運ちゃんが3人立ち話。暇なんだろう。乗り込んでかんぽの宿へ。乗ってみると結構距離がある。これは歩けんわ。
琴平駅
かんぽの宿
チェックインして夕食食べられますかときくと食事なしのプランですと。いやそれはわかってるけどレストランで別に食べられますかというとできないと。ん、食事客は受け入れてないんだったか。フロントのおばちゃんは親切で一品料理ならこれから手配すればといって食堂に問い合わせ、19時ならできますとメニューを見せてくれたが、定食の類はなく食事というには不足だったので、申し訳ないけど断って外へ買い出しにいくことにする。朝食バイキングは申し込めるというのでそちらだけはお願いする。部屋に荷物をおいてタクシーから見えていたコンビニに行く。というわけで夕食を食いっぱぐれそうになったが、宿の人はみんな気さくで気持ちいい。ところで明日の宿ニューサンピア坂出も今日と同じに素泊り予約になっている。あっちは山の上でコンビニなどはないので下手するとマジで食いっぱぐれる恐れがあるので、事前に聞いておくことにして電話してみた。すると、食事なし予約だがなんとか御膳という定食だったら用意できるというので頼んでおく。やれやれこれで明日も大丈夫。予定立ててるときは朝食は時間的に食べられそうもないので食事なしプランを選んでしまうが(朝食のみはあっても夕食のみプランというのは普通ない)、こういうことになると二食付き予約しておいて朝食は捨てる方針にしたほうがいいな。
4.2019年10月27日(日)観音寺池之尻~別格16番萩原寺~観音寺=多度津~別格18番海岸寺~多度津=坂出高屋
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
観音寺池之尻,820,,926,別格16番萩原寺(5.5 km, 1:06),0:30
別格16番,956,,1133,観音寺駅(7.9 km, 1:37)
観音寺,1210,JR134M,1252,多度津
多度津駅,1257,,1340,別格18番海岸寺(3.6 km, 0:43),0:35
別格18番,1415,,1500,多度津駅(3.6 km, 0:45)
多度津,1510,JR144M,1523,坂出
坂出駅,1535,タクシー,1600,坂出高屋
観音寺池之尻~別格16番萩原寺
前夜22時に寝る。珍しく寝つきがいい。3時過ぎに目覚め、あとはうつらうつらで6:20起床。7:00朝食。ごく普通のバイキングで、ちゃんとパンもあった。会場は意外と広くゆったり。7:20にもどり支度。トイレもすませて8:20出発。以前の歩きポイントは500mほど先だが逆方向なのでもどるのはやめて16番へ直行する。体調良く快適。手前の萩の丘公園でグリーンフェスが開催されていて車がどんどんきては交通整理されている。意外と早く1時間ほどで16番に到着。はいると左手に萩庵という茶店があり風雅な感じ。夫婦連れの先客あり。左手の仁王門をくぐった石段の先の左手が本堂。お参りして下へもどり大師堂へ参ったときに納札入れをなくしたのに気づく。経本にはさんでおいたので本堂で落としたのだなと探しにもどると、お経を読んだ場所に落ちていた。茶店の反対側の門をくぐった先が納経所。おばちゃんが席をはずしていたので居合わせた友人らしい女が先にハンコだけ押しますねと勝手に捺す。なんなんだ。ケバいおばちゃんがスマホもって出てきて電話帳の出し方がわからんとか言っている。友人女性が私がやるわとスマホを受け取る。そんなことより応対が先だろうよ。筆使っている間も友人とおしゃべり。間違えないで書いてくれよな。まったくなんたる態度。別格は総じて愛想いいのにここは劣悪だった。
別格16番萩原寺~観音寺=多度津~別格18番海岸寺
あとは観音寺駅まで歩いて引き返す。距離はけっこうあるが朝なので問題なく歩ける。特記することもない。踏切を渡って駅前通りを右折。左手に前回泊まったパークホテルがなつかしいが、その先のミニストップがなくなっていた。駅で30分ほど待ち、始発のサンポートにゆったりと乗る。途中の交換待ちが多く、多度津まで昨日より時間がかかった。多度津は交通の要衝で構内は広く線路も多いが、町は小さいので駅舎は小さい。この駅で降りるのは初めてだ。一駅手前の海岸寺が文字通り海岸寺の最寄り駅なのでそこで降りればいいのだが、そうすると際限なく歩きの部分がなくなってしまうので、前回歩いた道に近い多度津まで行って歩いてもどることにした。歩きの環を閉じるという当初計画を放棄した以上、歩く距離が長くても短くても五十歩百歩なのだが、いやしくも歩き遍路を標榜する以上はできるだけ歩く姿勢は失いたくない、と自分に言い訳しても始まらないか。
観音寺駅
多度津駅
ここも前回のポイントへは寄らず18番へ直行する。何もない駅前を左折してしばらくは細道を注意深く折れ曲がり、街道へ出てからは道なりに歩くだけ。天気は良いが風があって体感はそれほど暑くない。今日は笠はかぶらずずっとザックにくくりつけて歩いている。18番手前の弘田川の橋を渡ったところでなんとじいさん遍路とすれ違う。別格の歩き遍路は珍しい。すぐ右手に狭い18番がある。山門に仁王ではなく力士像が立っている。仁王門ならぬ力士門だな。右が琴ヶ濱、左が大豪。なつかしい名前だ。どういういわれなんだろう。狭い境内の正面が本堂で張り出した左側に納経所があるだけ。寺域の左奥の方にいってみても大師堂らしきものはない。もどって納経所できくと、一旦山門を出て右に進み、左手に踏切がみえるのでそれを渡ると右側にある、そこで納経もやっているとのこと。別の寺のように分かれている珍しいシステムだ。本堂をお参りしたあと、荷物をおいたまま大師堂へ。こっちの方が立派で山門もあり独立した寺のようだ。奥の院という位置づけらしい。駐車場もあってお参り客もちらほら来ている。納経所にはじいさんが座っていた。もどって小さな本堂側の納経所へ。おばさんに記帳してもらう。そういえばここは学生時代に併設のユースホステルに泊まったことがある。右手の建物がそれっぽいが今でもやっているのだろうか。
海岸寺山門
本堂
一旦街道へ出てここを左に折れる
予讃線の踏切を渡る
立派な奥の院の山門
大師堂
別格18番海岸寺~多度津=坂出高屋
来た道を駅へ戻る。駅前のセブンで遅い昼食のパンを買って食べようと思ったら、予定より一本早い電車に間に合ったのでパンは持ったまま乗ることにした。やってきたのはまた7200系2連で今回はこればかりだ。一見新しので新車かなと後で調べたらなんと国鉄時代の121系の改造車だというからびっくり。丸亀を過ぎて左に瀬戸大橋線を分けると坂出はすぐで、降りてコンコース片隅の待合所でパンを食べる。こんな時間から缶チューハイもったじいさんがクダ巻いている。今日の宿は81番白峯寺近くの山の上で交通機関がないので、ここからタクシーに乗る。前回は、朝坂出駅のトイレを借りてから79番経由で山を登って81番まで歩いた。台風の大雨の中で難渋した。その道を今日は運ちゃんとお遍路話しながら自動的に運ばれてゆく。楽ちんで罰が当たりそうだ。ほぼ直進して五色台に突き当りうねうねと車道を上ってゆく。晴れていても難儀そうな道をよくも歩いたものだ。絶壁をゴーゴーと流れ落ちていた稚児の滝にほとんど水がない。中腹の階段登り口を横目に見て進み、ニューサンピア到着。部屋は一階だが山の上なので坂出市街から瀬戸大橋方面の景色は絶景。風呂はいってあがるともう時間でレストランへ。昨夜の電話がちゃんと通っていて食事にありつく。食事つき客用のコース料理準備がならぶ中、はしっこのテーブルで出し切りの讃岐御膳が出てくる。多少わびしいが文句は言えない。定食食べているおばちゃんが他に一人いた。
山上のニューサンピア
讃岐御膳
瀬戸大橋方面の夜景
5.2019年10月28日(月)坂出高屋~別格19番香西寺~香西=多和中山~塩江安原
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
坂出高屋,808,,817,白峯寺(0.8 km, 0:09)
白峯寺,817,,931,根香寺(4.8 km, 1:14),0:08
根香寺,939,,1055,別格19番香西寺(5.5 km, 1:16),0:34
別格19番,129,,1152,香西駅(1.8 km, 0:23)
香西,1218,JR5232M,1222,高松
高松築港,1248,高松琴平電鉄,1326,長尾
大川バス本社前,1334,さぬき市コミュニティバス,1420,中山
中山,1422,,1538,落合(6.8 km, 1:16)
落合,1538,,1608,塩江安原(2.4 km, 0:30)
坂出高屋~別格19番香西寺
20時就寝、やはり寝付けない、足が疲れている。朝6:15起床、7時にレストランへ。空いている。昨日と似た感じ。ここはもとかんぽの宿だったところなので、設備やシステムがやはり似ている。個別空調もないし。トイレもすませて8時過ぎに出る。好天。寒さは感じない。白峯寺まではすぐで、そこから山道へはいる。もうお参りの人がきている。問題の山道、前回は大雨で泥川状態だったのが、今日は拍子抜けするような歩きやすい道だ。ここはぼくがお遍路をするきっかけをつくってくれた掬水へんろ館のくしまさんが遍路道のベストワンと激賞していた歩き道で、ぜひ天気のいい日にリベンジしたいと思っていたのだ。渡る流れもほとんど水がない。あの日ゴーゴーと逆巻いていた奔流もほとんど小川状態。上り下りはあるものの気持ちよく歩いて車道へ。また歩道に入って根香寺へと下る。ちょうど便意を催して根香寺門前の立派なトイレを借りる。このあたりは観光地でもあり、朝から白峯寺も根香寺も車の客が来ている。根香寺には大型バスもいた。
白峯ドライブウェイからの遠望
白峯寺から根香寺への遍路道入口
気持ちの良い山道
根香寺車道から香西寺への下り口
下り道
高松方面の遠望
ここから香西寺への下り口がちょっとわかりにくい。車道を少しいったところのガードレールの切れ目がそれらしかったので空身で少し下りてみるとちょっと先に標識があった。どうして入口に立てないのだろう。荷物をもって出発。つづら折れの下り道。里に出てからはあちこち分岐しているが四国のみちの標識があるのでそれをたどってゆく。最後の方で遍路シールが右を指していたが往還に出てしまった方がわかりやすいだろうと直進。県道16号線に出て右折。少し行って右側に19番があるはずだが大ざっぱな遍路地図では入口の向きが判然としない。一本手前を曲がってしまい、神社に出たところで降りてきたじいさんに道を聞く。すぐの路地を抜けると山門横に出た。右手が意外とひろやかな境内で正面に本堂、右手に大師堂。お参りした納経所のボタン押すとじいさんが出てきて記帳してくれる。車客が2人ほど。パンを1つ食べる。
別格19番香西寺~香西=多和中山~塩江安原
本来はここから琴電長尾線の花園駅まで歩くところだが、根香寺からの下りで意外と時間がかかっていたし、そもそももう元の歩き道まで無理してつなぐ意味もないので、最寄り駅の香西から電車に乗ることにする。山門から出て県道を右へ。本津川を渡ったところで斜め右の細道を進むと踏切に突き当たりその左がすぐ香西駅だ。駅舎はなく上下対向ホーム上に小屋と券売機があるだけ。ICカード簡易改札があったのでSuicaでタッチ、しばし待つ。特急やマリンライナーが頻繁に通過してゆく。普通電車に乗ると一駅で高松。吹き抜けの天井が高く開放感があってきれいな駅舎がなつかしい。まっすぐ琴電の高松築港駅へ。行くとちょうど長尾線が発車するところだった。予定より一本早い12:28の電車だ。まあ次でもいいのでゆっくり券売機で切符を買ってから今春からSuicaが使えるようになっていたのに気づく。予定では12:38発だよなと時刻表を見て次が12:48なのに気づいてびっくり。そういえば20分ヘッドのはずだ。長尾からのコミュニティバスは乗り逃がすわけにいかないので一瞬あわてたが、これは下調べの間違いで12:48のがちょうど間に合うやつだった。琴平線はそこそこ乗っているが長尾線2連はガラガラ。ホームにクラフトビール屋台がある。かぶりつき席に座っていたら瓦町から白杖の老人を駅員が誘導してきていいですかといわれたので場所を譲り、向かいの運転席後ろへ移動。空いているのをいいことに車内でまたパンを1個食べる。しかしセブンイレブンのつぶあんパン4個入りはあんが多くしかも甘ったるくて閉口。もう買わないぞ。
香西駅
琴電のきっぷ、鋏入りは今どき珍しい
琴電長尾駅
大川バス本社内のコミュニティバス
長尾についてまっすぐ大川バス本社へ。道路上のバス停にはコミュニティバスの表示がなかったので、本社敷地内へ行ってみると中にバス停があって、その先にバスが止まっていた。コミュニティバスなので小型のかと思ったら普通の大型バスだった。運転席が無人だったのでバス停で待っていると、女性運転士がきてどちらまでですか、中山まで、小銭はお持ちですかときかれる。もう乗っていいのだ。乗ると先客のばあさんが1人。すぐに発車、途中2回道を外れてツインパルと行基ハイツへ寄り、あとは前山ダムから多和へ。歩いている遍路を3人追い越す。さすがにここへくると歩き遍路がいるな。竹屋敷でばあさんは下車。大窪寺をトンネルくぐってもどり多和までもどってほどなく終点の中山へ。車内表示も案内放送もいっさいないので着きましたといわれないとわからない。途中乗車客ゼロ。これでは採算取れないだろう。運賃箱に両替機もない。小銭うんぬんと聞くわけだ。
ここから三木町
ダンプが出入りする砕石工場
ダンプが往来する県道
歩き出すとすぐに市境で三木町の標識が立っている。歩くとすぐに長谷の三差路で右の193号線へ進む。あとは塩江温泉方面へ一本道をのんびり歩くだけのはずだったのがこれが大変だった。とにかく大型車なかでもダンプが頻繁に通り、歩道のない路肩歩きは恐ろしいことこのうえない。ここは高松から穴吹へ抜ける往還になっているのと、この先の椛川ダム工事関係のダンプが多いのだ。長谷のすぐ先に多和砕石場があってダンプが出入りしている。まったく人の歩く道ではない。試しに数えてみたら1キロの間に上下70台車が通ってうち29台が大型車だった。早歩きしてなんとか落合へ。ここからさぬき温泉へ左折。工事車両の誘導員が立っている。直進する県道106号線はダンプが通るので橋を渡って右の細道を迂回しようとそっちへ歩くとそっちはそっちで道路工事で通行止め。誘導員に話を聞いて元の県道を行くことに。少し歩くと新たな付け替え道路の分岐があり、工事車は新道へ行くのでそこからの旧道はもうダンプがこない。やれやれ。行く手にさぬき温泉の建物とその先にほぼ完成しているダムが威容を現している。この工事のおかげで古い地図は役に立たず予定を立てるのに難儀した。新道へのショートカット分岐のすぐ先で右手に下りる近道があるのを2.5万図でみつけていたのでそっちへ行ってみる。川を細い橋で渡ったところまではよかったが、その先が草被りでわかりづらく、なんとかホテル裏に出てこれたが、これなら素直に車道を行ったほうがよかった。
さぬき温泉のビルとすぐ左にダムポータル
さぬき温泉
夕食
さぬき温泉は意外と立派な建物で、おばちゃんが受付。朝食は8時からにえーっというと、ここだけの話だけどお遍路さんには6時半からできますとのこと。なんだびっくりした。山中の宿だがかんぽの宿と違って部屋のエアコンもちゃんとつけられる。露天が2ヶ所ある温泉は空いていて快適。17時半に夕食。ちゃんと部屋まで運んでくれる。なかなか豪華。鍋とは別に天ぷらの下にも火がついていて冷めないようになっている親切設計。それはそうと、低気圧の通過によって明日午前はへたすると雨の予報にげんなり。
6.2019年10月29日(火)塩江安原~別格20番大滝寺~塩江温泉=高松
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
塩江安原,750,,937,六角堂(10.0 km, 1:47),0:09
六角堂,946,,1010,西照神社(2.1 km, 0:24),0:06
西照神社,1016,,1018,別格20番大滝寺(0.1 km, 0:02),0:32
別格20番,1050,,1329,内場ダム展望所(13.8 km, 2:39),0:14
内場ダム展望所,1343,,1353,塩江温泉(0.9 km, 0:10)
塩江,1515,ことでんバス,1618,兵庫町
塩江安原~別格20番大滝寺
20時半に寝たがいつもどおり寝つき悪い。5:50起床。外は雨。予報見たら9時までは降りそうだ。朝食は一階のレストランなので6:30に食べに行く。1人ぶんだけ用意されている。質素だがまあまあ。和朝食はいつ以来だろう。1膳食べてもどる。トイレもすませて7:40過ぎに出発。玄関を出たところでポンチョを着ていると、車出発客から声をかけられる。この雨の中をご苦労なことだと思われたろう。GPS測位に手間取っていると追い越された。車の後を追って旧県道の橋を回る。正面のダムポータルの迫力がすごい。岡山にダム直下の温泉があるがここもあんなふうになるのだな。新道への短絡路分岐まではすぐだ。曲折路をのぼって新道へ。
さぬき温泉側から新道への短絡路入口
一段上の新道へ出て右折する
雨の中もうダンプが行きかっている。道はよく、ほとんど2車線あるのでダンプがきても余裕がある。何カ所か狭隘などころは誘導員がいて交互通行している。歩き遍路は優先的に通してくれる。もっとも歩行者はそもそもほとんどいないので、工事車が通行を支障しているというよりは、こちらが作業の邪魔をしているようで申し訳ない。右下のダム現場に下りる分岐が何カ所かあり、ダンプが出入りしている。工区がいくつかにわかれているのだろう。分岐ごとに新道を通るダンプ頻度が減ってゆきやがて奥の橋までくると旧道と合してふつうの山道になる。それにしても右下に見下ろす現場の広大なこと。まさにダム工事は利権だなというのがよくわかる。歩きやすくなったもののこの雨では黙々と歩くしかない。上りだがほぼキロ11分ペースと速い。途中1台車に抜かれただけで頂上まで人っ子1人いない。その1台もヘルメット積んでたから作業者のようだった。雨はあい変わらず降り続き、標高が上がるにつれ霧で見通しが悪くなってきた。歩いている分にはポンチョの下は汗で濡れているがこれは止まったら寒いだろうな。ひたすら歩いてやっと林道分岐の六角堂へ。地図には休憩所となっているが廃屋のようで板が打ち付けられてはいれない。別棟のトイレはかろうじて使用可だったので、軒先を借りて荷物を下ろし、用を足す。しかし腰を下ろすところがないので、また荷物を背負ってすぐに出発する。ここまでくるともうだいぶ頂上は近く元気が出る。少し歩いて県道分岐を左折、そこから少しで写真で見覚えのある神社前広場に出た。
ここは西照神社といって元は大滝寺と一体だったのが分離されたものだ。右手の神社参道から階段を上がる。左手にちゃんとしたトイレがあった。とりあえず本殿にお参り。神様に呼ばれた人しかたどり着けない神社だそうだから光栄なことだ。他には車の夫婦連れ1組のみ。車とはいえこの悪天にご苦労なことだ。お経読むわけにはいかないので賽銭だけあげてお祈り。大滝寺方向への下り口らしき階段をみつけたので、夫婦連れの相手をしていた禰宜さんに確認してから下りる。さきほどの車道に出て右手すぐが大滝寺の入口だった。階段を数段上ると正面に本堂。左に並んで民家の玄関風になっているところがなんと大師堂だった。あとは何もない。そこの軒先に荷物台があったので荷物を下ろしてまずはお参り。灯明台に扉がないが幸い風はほとんどないので大丈夫だった。しかしポンチョをぬぐと汗で濡れたTシャツでは寒い。ゆったりとお経を上げて結願の余韻にひたるどころではない。納経所は大師堂玄関の右手の小窓で、例によってボタンを押す。どうも中がそのまま住居になっているらしくすぐにおばさんが顔を出す。しっかし、それが極めつけの無愛想を絵にかいたようなおばあ。型どおりに記帳して念珠玉出すだけ。うんでもすんでもない。これはなあと思ったが、杖と笠をお納めすることはできますかとたずねたら、それはできません。ニベもなく断られる。ああそうですか、こんなところに大事な魂を納めるわけにはいかんよ、持って帰りますよ。ネットでは住職が歩きの人にはお茶くれたり接待がある書き込みがいくつかあったので人里離れたところだけど温かい寺なんだなと思っていたのが真逆だったよ。お接待してほしいわけではないが、応対によってこうも印象変わるものか。二度と来るものかという気になる。88ヶ所結願の大窪寺もなんだかなと思ったけど、ここはそれ以下だ。結願寺がこれでは遍路行の印象がガタ落ちだろう。特に別格はもともとお客が少ないのだから自殺行為ではないかね。
別格20番大滝寺~塩江温泉=高松
文句を言っても始まらないので下山にかかる。雨は上がったように見えたので白衣を着て歩き出そうとしたらやはりポツポツ落ちていたので、結局ポンチョを上に着ることにする。上りより白衣一枚余分だが下りは汗かかないのでこれでちょうどいいだろう。帰りはダンプ街道へもどる気はしないし、この天気では阿讃縦走ルートも夏子ルートも論外なので、おとなしく車道を塩江温泉へ下ることにする。塩江温泉への道は六甲天満原林道と県道153号線の二択で前者の方が少し短いが、大した差ではないのでわかりやすい県道をたどることにする。なだらかで歩きやすい。二ヶ所歩き道のショートカットがあるはずだが雨で視界が悪くよくわからなかったのでずっと車道を歩いた。垂れこめた霧の中をひたすら歩くだけだ。車も来ない。下りなので汗が乾くと寒いくらいだ。途中の立派なキャンプ場や自然公園センターももとより無人。やっと人里まで下りてきて美馬へ通じる7号線と合流してからはぽつぽつの車も通るようになる。雨もようやく上がった。途中の民家からばあちゃんが出てきてお遍路さんと声がかかる。立ち止まると、どこから来たんですか、オオニシさんじゃないですよね、と。ん、違いますけど。オオニシさんという知り合いが通る予定なんだろうか。よくわからなかった。内場ダム湖がみえてきてダムサイト近くに休憩所が二ヶ所あり、そこで休憩とする。
しかしここまでの間休憩所というものがない。もっとも正規の遍路ルートではないからしかたないか。遍路シールはいくつか見かけたけど。ここから塩江温泉中心部まではすぐで歩いてしまってもいい距離なんだけど。塩江温泉からのバスは15:15までないので急いでも仕方がない。考えてみると大滝寺でも座っていないし、さぬき温泉を朝出て以来はじめて腰を下ろした。こんなことも珍しい。パンを食べて、ポンチョをたたんでくくりつける。しかしバスまでどうやって時間つぶすかな、いっそタクシーで高松空港へ行ってリムジンをつかまえるか、どこかのホテルで日帰り入浴でもするか、と考えて調べると、飛行機の時間に合わせた運行のリムジンはうまい時間のがなく時間的に大差ない、ホテルはいずれも中心部からは距離があってこのうえ歩くのは気乗りしない。唯一ある行基の湯という立ち寄り湯施設は火曜日定休になっている。まいったね。しょうがないなと思いつつ、残りの少しを歩いて塩江温泉に到着。道の駅があるが規模が小さい。とりあえず荷物おいてトイレで小用。自転車旅行中の外人カップルが出発していった。駐車場から歩道橋を渡った先が行基の湯でそっちへ行ってみたらノレンが下がっている。あれと近づくと、第一第三火曜日休みと書いてある。今日は月末の第五火曜日だからやっていた。そういうところがグーグル検索では行き届いてないんだな。なんにせよラッキーだった。さっそく荷物をもっていく。
行基の湯
入口は狭く小規模なつくりだったので、杖はここにおいてもいいですかとカウンターのおじさんにきくと、こちらで預かりますよとのこと。ついでに笠もザックも預かってくれた。これはありがたい。ザックからタオル2本だけだして温泉へ。中は湯船と洗い場が5人分くらい、露天風呂もある。いやあ時間つぶしにもなるし極楽極楽。最初は4,5人客がいたが、そのうちほとんどいなくなってのんびりした。あがってカウンター横の休憩所に向かうと荷物をどうぞとおやじがザックだけ持ってきてくれた。あとは出発までおいておきますから。なんという心遣い。ついでにバス停はどこですかと聞いたら道の駅のすぐ先です。時間を調べて15時15分ですねと確認してくれる。休憩所で水飲んだりしていると向かいの老夫婦からどちらからですかと声がかかる。北海道からきて別格だけ回っているとかいろいろ説明。10分前くらいに腰を上げる。杖と笠を受け取りお礼をいって外へ。おやじとおばさんがカウンターから見送ってくれる。来てよかった、時間が余ってよかった、とつくづく思った。大滝寺の不愉快を忘れることができた。ここが歩きの終点でもあることだしここをぼくの結願所にしよう。道の駅の向かいのバスターミナルにことでんバスが止まっていたので乗り込む。運転手がちょうど来合わせたが無言。Suicaが使えるのでタッチして乗る。終点近くまで乗るので最後部席へ。誰も客はいない。定時に出発。途中2人乗ってきて降りて行っただけで空気輸送のようなものだ。廃止にならないか心配になる。兵庫町で下車。ホテルへ向かう。
7.2019年10月30日(水)高松=神戸=札幌
コースタイム
出発地,出発時刻,便名,到着時刻,到着地(歩行距離, 所要時間),滞在時間
高松駅,745,さぬきEXP,1028,三宮
三宮,1035,ポートライナー,1053,神戸空港
神戸,1235,SKY173,1425,新千歳
高松=神戸=札幌
20時半から輾転反側して5:30に起きる。個別エアコンがないので寒い。ホテルの朝食は6:45からなので急げば間に合いそうだがパス、残ったパン2個で朝食とする。トイレもすませて7時過ぎにチェックアウト。歩いて12分で駅へ。待合所に荷物を置いてセブンイレブンキヨスクへおみやげの買い出し。待合所にスズメがきて遊んでいる。バス停に行くと京都行きが止まっている。運転手に確認したら1本前の7:35発だった。それが出た後に四国高速の神戸行きバスが来た。やかましいおばちゃん5人組が荷物積んで乗り込む。他に客はいない。とにかくうるさい。運転手に2回も注意されていたが、あと5回くらい注意してほしいくらいだ。例によってこの路線は途中乗車客が多く、中央通り、ゆめタウン、インター、津田と客をひろってゆく。駅より途中が便利なんだろうな。緑PAで9:18-9:28休憩。四国高速バスだが運転手はいたってまとも。淡路島の途中は季節外れの黄砂でかすんでいた。道は空いていて定時に三宮着。すぐにポートライナーに乗り、空港でチェックイン。荷物はすべてそのまま問題なし。いつもより時間が早くまだ昼前だが神戸キッチンで祝杯とする。客は1人のみ。ここも今後来ることがあるかどうか。帰りの便は搭乗率70%くらい。千歳には早着したがなんとバス連絡。なので降りたら荷物がもう回っていた。