ヘリセンはこのシリーズの第一回にとりあげた面白化合物ですが、そのらせんが二方向に巻いた「ダブルヘリセン」という分子があるそうです。
その一つは、「S」字型のもので、たとえば10個のベンゼン環からなる下のような分子があります。この分子は両端の重なりぐあいによってdl-体とmeso-体が存在するそうです。
ちょっと見ると、両端が同じ側に向いている方がmesoで、それぞれ反対側に向いていて分子全体がねじれている方がdlのように思えますが、それが逆なのが面白いですね。なんか不思議な気がしませんか?
もう一種のダブルヘリセンは、「3」の字型に二つのらせんがつながった分子で、たとえば次の二種のようなものがあります。こちらは両端が同じ側に向いているものは、得られず(立体障害でしょうね)、互い違いになっているものだけが知られています。ややこしいのは、この「3」型は、この互い違いがdl-体になることです。う〜ん、頭が痛い(^^;。
キャラ図ではわかりにくい方は、是非原著をご参照ください。もっと色々な話が あって面白いですよ。
大須賀、鈴木、有合化、52(12)、1020 (1994)