このひまわりの花、どうやって合成されたかというと、まず3,4-ジブロモチオフェンから誘導可能な環状テトラチオフェンをLDAですべての水素をリチオ化し、イオウを作用させてポリチオラートとします。これを塩酸でクエンチしてポリチオールとしてからそのまま真空熱分解反応に供すると、テトラチオフェンから80%という高収率で1が得られました。合成法をみると今までつくられなかったのが不思議なくらいシンプルですね。16当量のLDAとイオウを同時に作用させて一気にポリチオラートにするところが鍵だそうです。
このsulflower、イオウがはいって黄色ければ文句なしなのですが、惜しいことに暗赤色の粉末でした。ほとんどの有機溶媒に不溶でNMRも固体測定で得られています。また良好な結晶を得るのが困難なのでX線構造解析も粉末回折によって行なわれ、きれいな平面分子構造が確認されました。一方、トリフルオロメタンスルホン酸には溶けて深紫色のラジカルカチオン溶液となるそうです。ポリチオフェンというと有機導電体などの機能性分子への展開が期待されますがそのあたりの応用はまだまだこれからというところです。
ref. K. Yu. Chernichenko, V. V. Sumerin, R. V. Shpanchenko, E. S. Balenkova and V. G. Nenajdenko, Angew. Chem. Int. Ed., 2006, 45, 7367.